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930.秘密結社の後始末

「さて、とりあえず宝物の分配も終わったし、残りは残存戦力の撃破くらいか?」


「もう逃げてるんじゃないですかね?」


「とりあえず地図手に入れて隠し通路も探索していくしかないか?」


 プレイヤーたちがそれぞれ散っていく。

 残存戦力の駆逐を行うようだ。

 しばしゆったりしていると、俺たち以外いなくなってしまった。


「カルカさんスレイさん、とりあえず他の皆指揮して残存戦力の殲滅手伝ってきなよ」


「ふむ、資料を調べたくはあるが、そちらを優先しておくか」


「別の組織に拾われても面倒だしな。手伝ってやるかぁ」


「プリピュアさんたちも、とりあえず残りを見つけてきなよ。俺は……マイネさん何とかしてみるわ」


「そう? じゃあ皆、最後のひと踏ん張りだよ。暗黒大魔王軍の生存者探索開始! 倒すかどうかは相手を見て決めよう」


「もー、レッドは甘いんだから」


「敵にも情けをかけるのはあまり褒められたことじゃないよレッド。何度も言うけどそれでピンチになったことだってあるんだから」


「そうなんだけど、どうしても、ね。これから先、就職先もない人たちになるから困ってるだろうし、悪いことしないなら就職活動手伝ってもいいんじゃないかなって」


 どうせ就職先は秘密結社だと思うぞ。俺も悪人に情けは無用だと思います。

 どう思うマイネさん。最近かなり悪行しまくってるけど。


「うぅ、握手会……」


 ダメだこの人。プリピュア握手会に一年間出禁なだけでこの絶望感よ。


「なぁマイネさん。最近投げやりになってね? 元のマイネさんはもう少し常識人だっただろ」


「なによぅ。私に正義の味方倒させた張本人の癖に」


 まだソレ言ってんの?

 あれはイベントだったんだから仕方ないだろ。

 そもそも正義の味方倒そうとせず誰かにお任せしとけばよかったじゃん。

 完全に自業自得だって。


「あんたのせいよ、あんたの! なのに一度も殴れないし!」


 そりゃ殴られたくねぇし?

 つか逆恨みだよマイネさん。

 いくら知り合いだっていっても限度があるよ。

 いいかねマイネさん。俺だって別にマイネさんに恨みがあって正義の味方と敵対させたわけじゃないんだぞ。


 あのイベントに参加してくれたのは正義の味方たちの方なんだ。

 手伝ってくれるって言うから、よろしくお願いしますって言っただけ。

 マイネさんだって自分主催のイベントに正義の味方が手伝いに来てくれたら、どうする? 断るか?


「断らない……」


 だろ? つまり、正義の味方たちはイベントを楽しむためにプレイヤーの敵に回ったんだ。

 つまり、アレは正義の味方の敵となって戦うんじゃなくて、正義の味方たちと模擬戦出来たんだって思って欲しかったな。


「じゃあ……私、正義の味方の敵じゃ、ない?」


「当たり前でしょ。敵だったらグレートマンさんもキカンダーさんもジェイクさんも見限ってるよ」


 言われ、はっとしたように顔をあげるマイネさん。

 その視線の先には、三人の英雄の姿。

 マイネさんとよしみを交わし、彼女と共に正義を成すために集った仲間たち。


「ようやく、我々を見てくれたなマイネ」


「キカンダー……さん?」


「グレートマンもジェイクも声に出すのが苦手なのでな。必然的に私が代表になってしまうが……皆、ヒロキ君ではなく、キミを選んだんだ。その手で正義を成したいと告げたキミを」


「ジュア」


「森を燃やすでもない、他人のテイムを邪魔するでもない。キミがやりたかったことを思い出してほしい」


 あ、これイベントみたいになってる。

 マイネさんプレイヤーだけど、改心イベントだろこれ。

 下手に話に入るとややこしく成る奴だから、そっと場を離れるのが得策っぽいな。


 抜き足、差し足、忍び足ーっと。


「グレートマン、キカンダー、ジェイク……私は、なんてことを……」


「やり直そう、マイネ」


「俺らが付いてる。また一から、皆を救おう、マンホール少女」


 そこマンホール少女はダメだろ。まぁマイネさんは気付いてないみたいだけど。

 立ち上がるマイネさんと三人のヒーローが手を取り合う。


「ごめんね皆。私、間違ってた」


「マイネ……」


「私、頑張る。皆に胸張って正義の仲間だって言えるようにっ」


「ああ。手伝おう、この命に懸けて」


「乗り掛かった舟だ、最後まで面倒見るさ」


 うわ、マイネさん泣き出した。

 こりゃ本気でちょっかい掛けたら俺殺されるな。

 あと少し、もう少しで部屋出られ……


「ぎょぁ!? まだいたのか貴様りゃぉ」


 突然真横の壁から怪人さんがこんにちわ。

 クソッタレがぁ!!

 ぎりぎり反応出来たがレーザー銃打ち込んでしまったせいでマイネさんたちの視線がこっちに向けられた。


「ああもう、あと少しでマイネさんに悟られずにお暇出来たのによ! このクソ怪人が!」


「ヒロキ……だいなし」


「仕方ないだろぉ!?」


 そう叫ぶ俺に苦笑して、マイネさんがグレートマンさんたちと共にやってくる。

 こりゃ部屋から出られそうにないな。


「悪かったわねヒロキ。とりあえず、掃討作戦手伝いましょ」


「お、おぅ?」


 なんか憑き物落ちたみたいに爽やかな笑み向けられたぞ。逆にマイネさんっぽくなくてぞわっと来たわ。

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― 新着の感想 ―
ヒロキの反応速度極限まで上げたらコンマ◯秒の壁も撃ち抜けそうね
マイネさんは穢れた闇を光輝くほどに浄化したように見せて内側により深く溜め込んだのかもしれない
ヒーローと和解 マイネ「でもやっぱり殴らせて、マンホールで」 ヒロキ「闇が抜けきって無い…」
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