928.発動、PVPシステム
「ありえない! ありえないのよ! こんな外道が正義の味方を従えるなんて!」
おい、俺が外道だなんて誹謗中傷だぞマイネさん。
今のマイネさんの方がよっぽど外道じゃないか?
「プリピュアは私のものだ! やらせはせん、やらせはせんぞぉぉぉ――――っ!!」
―― プレイヤー:マイネマイネから条件付きPVPの申請がありました。プレイヤー:ツチミカドヒロキは、勝敗条件、敗北時プリピュアのテイム権放棄の条件でプレイヤー同士の一対一バトルを行いますか? YES NO ――
おいおい、なんか天の声来ちゃったよ。PVPだぁ?
「何してんですヒロキさんたち」
「ああ、丁度良かった格ゲー少女さん。マイネさんからPVP申請受けたんだけど、なんぞこれ?」
「え? PVP知らないんです?」
プレイヤー同士の戦いってのは知ってるけど、やるの初めてです。
「そうなんだ。じゃあ説明するね。って言っても大したことじゃないんですけど。PVPはプレイヤー同士で戦う特殊空間で一対一で戦闘を行います。事前に勝敗条件を決めておけば勝負が着いた時に互いに納得した条件で支払いが始まります。勝利条件なども設定可能で、基本は相手のHPを0にする、が勝利条件ですが、体力の10%以下とかに設定し直すこともできますよ」
今の条件で受けたら俺は勝利条件なしの負ければテイム権の放棄になる訳か。さすがにそれがひどくね?
んー、テイム権放棄に相当する条件、何があるかな?
マイネさんに効きそうな敗北条件……
「なら、こんなのどうだ」
―― 条件の変更が確認されたのでプレイヤー:マイネマイネはPVPを受けるかどうか再確認をお願いします。勝敗条件、勝利時プレイヤー:ツチミカドヒロキのプリピュアのテイム権放棄、敗北時プレイヤー:マイネマイネのプリピュア握手会一年間の参加禁止の条件でプレイヤー同士の一対一バトルを行いますか? YES NO ――
「な、な、なぁ!?」
「さぁ。どうするマイネさん?」
「こ、この外道!? わ、私が負けたら、プリピュアの握手会に一年間も参加できない!? そ、そんな拷問、酷すぎる!?」
「プリピュアのテイム権放棄ならこれでも安すぎるくらいだろ」
「ぐぬぬ……」
「ねぇ、イエロー、あんなのでいいの? 本当に?」
「私はヒロキさんを信じる」
「ダメだ。目が恋する乙女モードになってる……」
パープル君何言ってんの?
んなわけないでしょ。
「いいわ、あんたとは一度絶対に決着付けないといけないと思ってたのよ! 徹底的に殺してやるから覚悟しろ!」
うわ。この条件で受けるのか!?
「ちなみに、PVPでHPなくなって死亡しても空間から弾かれるだけでここに戻ります」
そりゃ安全だ。死亡扱いにならずプレイヤー同士の戦いができるのか。
「ったく、しゃーねぇ」
正直俺にとってメリット一つもねぇけども。
やってやんよマイネさん。その狂戦士生活に終止符を打ってやる!
とはいえ、普通にやったらおそらく負ける。
開幕一番にマンホール投げてくるだろうし。
となると……
「あ、そうだ格ゲー少女さんや。これどうなん?」
格ゲー少女さんにとりあえず疑問をぶつける。
お、マジで。ラッキー。んじゃそういうことで……
俺はPVPを受ける選択肢を押し込んだ。
視界が切り替わり、電脳空間といった何もない世界が広がる。
いや、何もないというか、四角に区切られたマス目空間とでもいうべきかな。
目の前にはマイネさん。
すでにマンホール少女化しており、手にはすぐ投げられるようにマンホールを構えている。
「なっ!? 卑怯者!?」
「マンホール抱えておいてどの口が!」
当然の如く、俺は盛れるだけバフを盛ってミラージュスキルで自分の居場所をかく乱。
下手に投げられないように巧妙に自分の居場所を隠させていただいた。
【READY】
お、視界の端に白文字が。
【GO!】
「死ねっ!」
マジで全力投球しやがった!?
あっぶね。
マイネさんの目の前にいた俺の幻影をぶっちぎってマンホールが飛んでいく。
すかさず俺はレーザー銃を引き抜く。
手加減は要らない。ただひたすらに、撃つべし撃つべし撃つべし!!
「マンホールは一つじゃないのよ!」
防御用マンホール!?
クソ、レーザー弾くとかマンホールじゃねぇだろアレ!?
曲射でどうだ!
「薙ぎ払う!」
ちょ、マンホール連続投げ!?
あんたどんだけマンホール持ってんだ!?
って、最初のが戻ってきた!
「クソ、以外と面倒くさい!?」
「ふふ、マンホールだけが全てじゃないわよ! くたばれ外道! 燃えちまいなっ!」
「やべ!?」
マンホールに火炎放射器でも付けたのか!? なんで真ん中から炎が噴き出るんだよ!?
八大魔法使えなかったら今ので詰んでたぞ。
風魔法で炎を拭き散らしながら水魔法自分に被ってなんとか脱出。
クソ、少しHP持ってかれた。




