920.にゃんにゃんにゃにゃん
屋根から降りた俺たちは、一旦ログアウトするかーという話をしていたんだが、ダイラス・リーンの眼メンバーがせめて代表に挨拶してから帰ってください、とのことで、急遽ダイラス・リーンの眼本部に顔出すことになった。
ダイラス・リーンの眼メンバーはここで他のメンバーたちと合流してムノチュワが他にもいないかの探索と今回の原因が他にないかの捜索をおこなうのだとか。
大変そうだけどがんばって。
「ちゃーっす」
「来たか。どうだ? 犯人は見つかったか?」
「あれ? 連絡来てない?」
ダイラス・リーンの眼本部にやってくると、さっそく代表さんがやってきた。
しかし情報は最新ではないらしい。
彼の中ではまだ犯人捜しをしている最中のようだ。
原因生物特定して一戦やらかしたことは知らされてもいないらしい。
仕方ないのでさっきまでの状況を説明しておく。
「なんだと!? まさか犯人を見つけてすでに討伐済み!?」
「消えちまったから証拠はねぇけど、あの三人が見てるからあとで聞いてくれ。あ、待てよ」
ドロップアイテム、アイテムボックス内に入ってないか?
えーっと、アイテムボックス内もよくわからなんアイテムが多くなったな。そろそろ整理しないとだめかもしれん。
とりあえずドール討伐終わって落ち着いた時にでもするか。
っと、これこれ。
えーっとムノチュワの残骸?
これ提出すりゃいいのか?
「これ、一応犯人の残骸だけど」
「お、おう、ありがとう。この残骸だと何が何やらわからんが。一応証拠としての提出として受け取って置く。鑑定掛けても問題はないか?」
「むしろ敵性生物の残骸だと証明してもらうためにも鑑定してくれ」
その方が向こうも安心できるし、ムノチュワがいた証拠にもなる。
参加メンバーの三人からも証言貰えるだろうし、後は報酬としてバハルナへの船用意して貰えれば問題はない。
なので、報酬として船を用意してくれるようにお願いすることにした。
ダイラス・リーンの眼本部にを後にすると、宿に戻ってからログアウトしよう、ということになった。
つまり、ここで猫たちとはお別れである。
理由を告げてみると、にゃーにゃーと話し合った彼らは、俺に視線を向ける。
「我々はバハルナへも同行しよう。君たちがこっちに来た瞬間が分かるようにしておく。手伝わせてくれ」
「正直な話土星の猫が君たちに同行する理由がわからない、ただ興味を覚えて向こうに誘おうという魂胆は透けて見えるので私も同行することにした」
「ヒロキについていくのは面白そうだからね。ぜひバハルナにも同行させてくれたまえ」
三匹の猫はテイムされた訳じゃないけど俺に付いてくるらしい。
ふっふっふ、見たか案内人君。俺だって猫に好かれ……ぐはぁ!?
頭の上に垂れネコ、両肩に猫を乗せて腕や足に猫にしがみ付かれ、背中にも猫が……
全身で猫を鎧のように装備した案内人君が動くに動けず困っていた。
「す、すごいもふもふ装備ね」
「いいなぁ」
「なんでそこまで好かれるの?」
お、おのれ案内人!? なぜ猫塗れに!?
お、俺が三匹で自慢しそうになったところへ圧倒的物量さを見せつける、だとぉ!?
「もー、なんで猫は僕に群がってくるんですか」
「ほんとにな」
「うらやまけしからんっ。私にもよこせーっ、もふらせろぉ!!」
「はいはい、ステイ、ステイあるりんりん」
どうやら悲しきバーサーカーが生み出されちまったようだな。二体も。
「はい、旦那様、どうどうですよ」
ええい止めてくれるなコトリさん、あの野郎自分の恵まれた状況を一切理解してやがらねぇ! 一発殴らせてくれ!
「では私たちは部屋に戻りますね皆様」
「しかしコトリさん!?」
「はい、こちらです旦那様。昨晩はお楽しみでしたね、を致しましょう」
「ちょ、ちょっと待ったなのぉ!?」
あ、やめて、俺を取り合わないで、両腕裂けちゃう!?
「さ、今回の冒険はここまでだな、船が出るのも今日は無理だし、ログアウトしちまおうぜ」
ニャルさんたちもそれぞれドリームランドから出るらしい。
俺もさっさと出るとするか。
なんかこのままここに居るとコトリさんとなのさんに垢バン案件されそうだし。
つーわけで、宿の部屋に入った瞬間、ドリームランドから脱出。
「ああ!? ご無体な!?」
「逃げたの!?」
……
…………
………………
というわけで、目が覚めるとベッドの上でした。
ドリームランドって結局どういう構造になってんだろうな。
まぁいいや、とりあえず今日の冒険はここまで、さっさとログアウトしちまおう。
コトリさんが俺に抱き着いて眠っていたので、頭を撫でてやる。
少しくらいは、コトリさんに何かしらお返ししておきたいな。最近助けられてばかりだし。
明日は何か似合いそうな小物でも探してみるか。




