903.呪いのゲーム3
「そういやトイレを探せって言ってたな。最初にそっち探そうか?」
「校内に入るのね。ええ。その方がいいかしら?」
もしかしたらサユキさん、選択肢次第ではすでに教室居るかもだしな。
っと、下足場に……不審者ぁ!?
下足場に着くと包丁持ったサングラスとマスクの不審者さんが俺たちと鉢合わせ。
ナイフをこちらに向けようとしたので即座に反応した俺の右腕がレーザー銃を発射した。
「さすがです旦那様」
「お、おぅ。今のはヤバかった」
少しでも遅れてたらあのナイフ、俺の心臓に刺さってたぞ。あっぶね。
こりゃ対抗する術のないサユキさんなら間違いなく死ぬわ。
というか、ここで死んでたら俺も取り込まれてた?
やべぇな、隕石衝突とかされたら逃げる暇もねぇぞ。
「意外と、この内部危険ですね」
「ああ。こっちも理解した。攻略法早々見つけないとこちらが詰むな」
この世界じゃレベル最強格のコトリさんもあまり意味がない存在か。
殺しに掛かってくるのはこの世界。
俺たちは世界を相手にサユキさんを救わないといけないのだ。
どうしたもんか……
「トイレ、ないですね?」
おかしいな、学校の中なのに教室しかない、というか所定の教室以外鍵がかかって入れない。
あとトイレ自体が存在してない。
ゲームの中で端折られてるせいかもしれない。
「参ったな、これじゃハナコさんと連絡取れないぞ」
「向こうとしてもそれが狙いカモしれないですね」
ともかく、こうなったら呪いの大元かサユキさんを探さないと。
でも両方どこにいるかわからないんだよなぁ。
せめて外と連絡が着けばどの辺りまで進んでるか分かるんだけど。
教室内にもいないみたいだし、他に居そうなのは……あ。
教室内を探してどこに行こうかとコトリさんと相談していた時だった。
窓の外にサユキさんが映る。
上から下に一瞬。あ、これ死んだわ。と思った時にはもう、世界が巻き戻った後だった。
「ここ、私たちの開始地点です」
「マジか。サユキさんが死ぬとここに戻される、と」
「時間的には数分しか経ってなかったはずですよ」
「つまりその間にサユキさんが一機死んだ、と」
これ、辿り着けるのかサユキさんに。
というか、不審者また復活してるの?
忘れないように倒しとかないと。
「とりあえず急いでサユキさんと合流しよう」
「それがよさそうです」
再び学園へと向かう。
速足で向かった俺たちは不審者の居る下足場に。
ここ、そういえばマイネさんがやってた時に選択肢出てたな。
校舎に、正面玄関から入る、オア、窓から侵入する、だったか。
正面玄関から入ったら不審者に刺されて死亡フラグだっけ?
じゃあその選択肢をぶっ潰すために……不審者死ねぇ!
今度は出会いがしらにレーザー射殺。
よし、これで先に進める。
「なるほど、窓から侵入したのですか、その後の選択肢は?」
「えーっと、確か教室に向かうか屋上に向かうかの選択があったぞ。その選択前にドロップキック受けてマイネさん倒れたんだ」
ということは、その選択肢的に、屋上に向かって死んだわけか。
「教室、ですね」
「多分な」
早速先回りして教室に向かうことにした。
前回も教室までは行ってたからな。すぐに辿り着けたぜ。
それからしばしコトリさんと待ちぼうけ。
そろそろサユキさんが落下した時間かな、と思った矢先のことだった。
窓の外をサユキさんが落下していった。
「なんでだよ!?」
そんな言葉を吐き終えた時には、再び最初の場所へと巻き戻った後だった。
「これは……もしかするとサユキさんの選択肢が屋上に行った後にもあったかもしれませんね」
「早速総当たりイベントか。めんどくさい」
仕方ないので今回は屋上へと向かうことにした。
三度目ともなればもう移動時の邪魔者排除は作業となり、屋上に辿り着いた俺は、その強風に何が起きたかを理解する。
「そりゃ吹っ飛ぶわ」
「強風が過ぎますね。開いた鉄扉が飛んでいったのですが」
台風でも来たのかな? さすがに酷い風過ぎるだろ。
仕方ないので一度引っ込み屋上手前の階段で彼女を待つ。
「……来ませんね」
「どーなってんだよ!?」
可能性としては今回教室を選んだのかもしれんけども。
これじゃ合流出来ないぞ。
さすがにここに来るの諦めて教室に向かうか?
「どうする? 教室向かう?」
「今回は待ってみましょう。教室に向かったとして次の選択肢で死に戻るでしょうし、教室内で次の機会なら会えるのでは?」
そう願いたいね。
しかし、簡単に出会うと思ったけど意外と面倒くさそうだな。
あ。サユキさんまた死んだ。
俺たちがこっち来てからすでに三回。
ほぼ同じような場所で足止め喰らっているようだ。




