88.集え、今此処に!
「タヂさんっ!」
「ええい、やったなヒロキッ! まさか神……神聖な相撲で儂を釣ろうとはっ!」
いや、いけるかなって思ったんだけど、正直来てくれてホント助かります。
「相撲でしたらこの闘いが終わったら付き合いますから」
「よいわ馬鹿者っ。別にしたくもないのに相撲をしようとするでないわ冒涜者が! 全く。しかし、また面倒な相手と闘っているな」
近づく触手の群れを張り手で吹き飛ばし、タヂさんは俺達の前で盾役を買って出てくれる。
「本来なら無条件で手伝ってやろうかと思っておったが、相撲で釣るとは言語道断。今回のみ力を貸してやるが、以降は当てにするなよ? もしも儂の力を求めるのならばそれ相応の誠意を見せい」
相撲すると偽ってここに来て貰ったからタヂさんからの好感度が下がってしまったようだ。
しかし、そうするだけの価値はあると思う。
ここでタヂさんというカードを切ることは必然。そう納得するしかない。
「有効打がないんす、なんとかなりそうですか?」
「有効打がない? おいおい、その銃は飾りじゃねぇだろ。魔力纏わせりゃいいじゃねぇか」
魔力を、纏わせる?
「……おい、まさかそこまで進んでねぇのか? この峠来てンのに?」
「まだ開始して数日っすよ。スキルの使い方なんて殆ど未知のままっす」
「……やっべ、やっちまった」
頭を掻いて、タヂさんは襲いかかってきた触手をはたき込みで地面に打ち降ろす。
勢いを無くしたソイツを持ち上げ、本体向けて投げ飛ばす。
「まぁいい、やってみな。教えたのぁサービスだ」
「了解っす」
魔法はディーネさんの御蔭で水魔法が使えるようになっている。
レーザーに魔力が乗るように念じながら……撃つッ!
「ギャアオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」
マジで効いたし!?
おお、しかも一番ダメージがでかい!?
「攻撃手段は手に入ったな。儂は防御に専念するぞ?」
え、マジすか!? 俺らだけで攻撃して戦えと? いや、防御担ってくれるだけでも確かにうれしいけども。
『大丈夫よヒロキ。私が居るもの』
……え?
背後から聞こえた声に、思わず振り向く。
そこに居たのは……ハナコさんっ!?
『おまたせ!』
「おらもおるだ」
ネネコさんまで!?
「ネネコをお前の家に送って行ったら丁度ハナコと鉢合わせてな。一緒にここへ向う最中に儂だけ呼ばれたんだ」
えぇ、それってもう少し待てばタヂさん普通に参戦してくれたのでは!?
いや、タイミング的に俺がやられてた可能性が高いからむしろ今の状況が最善だったはずだ。
悔やんでも仕方ない。そこは切り変えて行こう。
『鬼火、連射!』
遠距離特化のハナコさんが加わったことと俺の遠距離攻撃ができたこと、そして魔力を纏わせればレーザーが効果的ということでディーネさんの魔力回復させてレーザー銃を持たせたことで火力が上がった。
「ディーネの魔法がレーザーと融合、これが夢の共演ね!」
「それ、ちょっと違うと思うだ」
ネネコさんは伸びる腕を使ってメリーさんを持ち上げ、特攻を手伝う。
メリーさんは急速に伸びる腕で前線に向って触手をチョッキン。
一撃離脱でネネコさんが腕を引き、メリーさんごと帰還する。
「おらの攻撃じゃこの位しか手伝えんだ」
「十分よ、私の攻撃が効果的に当たってるわ、やるじゃないネネコ」
稲荷さんが神通力で皆の速度を上げ、レギオンの速度を落とす。
タヂさんが迫る触手の群れを弾き、弾かれた触手をテケテケさんとメリーさんが撃破していく。
そんな触手たちが一時行動不能になることで、本体が無防備になり、俺達の攻撃が直撃し始める。
先程まで10以上のダメージが入ればクリティカル、だった攻撃が、一気に100以上のダメージへと変化する。
「そろそろ4分の1になるぞ」
「ちょっと!? あいつ回転し始めたんだけど!?」
「徐々に迫って来てる? ちょっとマネージャーさん、これマズくない!?」
回転移動し始めたせいで触手が撓る。
トンネルの壁にびしびしと当たりながら、徐々にこちらに近づいてくるレギオン。
さすがにここに不退転でいると確実に潰されるので、俺達は否応なく後退しながら迎撃戦を強いられる。
「さすがにこれは儂でも受け止めきれんわい。撤退するぞ」
タヂさんもさすがに止められないか。
それでも防衛してくれてる御蔭で相手の動く速度はだいぶ減っている。
「相手のHPはもう1000を切ってる! 行けるぞ!!」
「近づけなくなったから私とテケテケは攻撃無理ね」
「タヂさんじゃないとあの速度の連撃受けたら死ぬわよ絶対……」
回復出来るメンバーが居ないのが辛いな。ディーネさん回復魔法とか使えないの?
「残念、覚えてないんだなー」
ですよねー。
どうでもいい話ですが、昨日何の気なしにVR欄のランキングで次の小説何見ようと流していると、この小説が日間37位に入ってて二度見からのおっふ。と変な声でました。
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