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882.祀ろわぬ神

 ヘファイで装備を整えた俺たちは巨頭オ村のある森へとやって来ていた。

 んー、うろ覚えだけど確かこっちだった気がする。

 森の最初の方だからか兎や鹿が多い。


 逃げる動物ばかりなので放置していくと、額に宝石埋まったような兎が跳ねていた。

 あっと気付いた時には向こうが気付いて逃げ出したあとで、あっという間に視界から消え去ってしまった。

 あれ、カーバンクルじゃないか? 額の宝石、めっちゃ高価だって噂だったのにっ。


 幸運値の高い俺が見逃すなんて、嫌な感じしかしない。いや、むしろここで運を使わないことで不幸な状況から逃げてるのか?

 むー、まぁ今回は奴の幸運が勝ったってことで見逃してやるか。


「巨頭オ村久しぶりある」


「あんまり覚えないんだよねー。経験値も美味しいステージじゃなかった気がする」


「マッピング表示されないの」


「ああ。樹海系とか位相世界が被ってる場所だとたまにあるんだ。知らないうちに別世界に迷い込んでたりな。巨頭オ村もそんな感じの奴だから……っと、看板みっけ」


「巨頭オなの。本当にオになってるの」


「でも本来は村がかすれてオに見えるだけなんだよねー。確か」


「巨頭村だかがあったんだっけ?」


 その辺りは本当にあったらしい。どこにあるのか今は知らんけど。

 しかしまぁ運営さんもこういうのゲームで再現するの好きだよなぁ。

 

「それでヒロキさん、確か今日って秘密結社破壊するとか言ってませんでした? マイネさんがあの野郎裏切りやがったって憤慨してましたよ」


「しゃーないだろ。優先事項出来たんだから。マイネさんにも伝えたけどなんか不機嫌だし」


「魔法都市で好き勝手出来ないからフラストレーション溜まってるある。そろそろ爆発しかねないからささっと秘密結社破壊に誘ってやるね」


 まぁそれもそうか。マイネさん、最近暴走しがちだからなぁ。なんであんな性格になっちまったのか。

 もともとヤバい人だったのかもしれないな。長く付き合いだしたことで地が見えるようになったのだろう。断じて俺のせいじゃないはずだ。


「それにしても、相変わらずね」


 コトリさんが結界張ってくれてるから何かがぶつかっては死んでいく、がしばらく続く。

 おそらく巨頭人が突撃死亡してるんだろうけど。ほんとなんなんだろうなこいつら。


 森を抜けてようやく村へ。

 そういやここにも神社あるのかな?

 村だしあるよな多分。


「せっかくだし村長の家行く前に神社探そうぜ」


「巨頭が住む場所の神社って御利益あるのかな?」


「さすがに廃神社になっておるだろ。神が住んどるかどうかすら怪しいぞ?」


 まぁいるかどうかは稲荷さんが判断してくれるだろ。

 

「相変わらずすげー体だな。ムーンビーストの方が可愛げがあるぞ」


「頭でかすぎ、なんで腕足に付けてるの? 動ききもいの」


 虚空見つめたまま迫ってくるから正気消失もんだよな。

 実はこいつらも外の神関連の危険物じゃないだろうな。


「お、神社というか祭壇あるぞ!」


「あらぁー? 神社じゃないみたいですよぉ?」


 シェリーさんの言う通り、こいつは神社というより邪神崇拝の祭壇だ。

 ふむ。言語読解スキルのおかげである程度は読めるな。

 えーっと、この贄をアブホースに捧ぐ? うん、まるっきり外の神案件じゃねーか。


「ふむ、神社仏閣の気配はせんが、なにやら神々しさはあるような? ニャルやらクトゥグアがたまに漂わせている神格に似ておるな」


 ってことはここに生贄捧げるとアブホースさんへ直通するのか。

 しかも下手すりゃ向こうから神の眷属として何かしら生贄捧げた相手に変化をもたらす、と。


「えっと、お祈りした方がいいのかな?」


「やめとけりんりんさん。多分これに祈ったら人としての生命活動終わるぞ」


「えぇ?」


「ここの崇められてる神はアブホース。外の神案件だわ」


 アブホースとは何か、といえば、よくわからない神である。

 どこぞの地下で水たまりみたいな姿を取っていて、そこから灰色の塊、アブホースの落とし子が生まれるのだが、これを捕食して自給自足してるらしい。

 一応ウボ=サスラの子だとか言われてる外宇宙から来た神らしい。

 そして念話みたいな方法で会話が可能で、皮肉屋であるらしい。


 そんで、近づく存在を食しているらしいけど、自分の子以外は食べないらしい。

 どっちだよ? とりあえず、下手に生贄や供物送ると大変なことになりかねないから……って、そこのツチノコさんども、何してんの!? え、壺の中にマダにーさんいるから供物にしてみるって?

 いや、だからそれはダメだって……あぁ――――っ!? 魔法陣光った!?


 俺たちは慌てて祭壇から距離を取る。

 ツチノコさんたちは光に飲まれ、姿が消える。

 光が収まるとそこには……びっくり仰天のやらかし蛇共と、全裸の少女が一人、目を閉じた状態で佇んでいた。

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まさか変化してマダねーさん!?(違う)
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