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87.最強の助っ人

 正直勝てる見込みがない。

 敵のレベルは65。

 俺達の最高レベルはメリーさんの38、次点でテケテケさんの37だ。

 さすがにこれは勝てる状況じゃない。

 レベルだけじゃ無く実力不足である。


 なんとか、起死回生の能力とかないだろうか?

 使えるとしたら遠距離攻撃になる早九字くらいか。

 ええい、これでどうだっ!


「一応、効いておるが早九字だけでは不足じゃな」


「ダメージ的にはそこまでなさそうね、ええい、触手邪魔!」


「ちょ、なんで私まで戦うことになってるのぉ!?」


「メリーさん、負けたら諸共消失だから絶対に勝ちましょう。一緒に」


「なんでそうなるのよーっ!?」


 なんか、メリーさん幸運値低そうだなぁ。

 まぁ、丁度いいので手伝って貰おう、ついでに勝てたら仲間に入って貰おう。

 いや、待てよ。


「メリーさんってここで死んだらそれまでな感じ?」


「そうよッ! まだ復讐も出来てないのにっ」


「確かテイムされたらAIそのままで復活だったよね」


「な。何が言いたいの!?」


 動揺するメリーさん。前がおろそかになっていたのでテケテケさんがフォローに入る。


「俺、テイム持ってるッす」


「な、あ……こんちくしょーっ、謀ったわねあんたーっ!!」


 ―― メリーさんが仲間になりたそうにしている。テイムしますか? ――


 YES!


「うぅ、騙された。私騙されたのよ」


「自分からここ来たんじゃん?」


 テケテケさんソレを言っちゃあ御終いだよ。

 

「マネージャーさん、相手の体力後どれくらい?」


「えーっとまだ5000以上」


「これだけやってか!? 減らんのぅ」


「相手の動きが単調だからまだなんとか出来るけど、コイツ多分モーション変化あるわよね?」


 テケテケさん、それメタ発言じゃね?

 プレイヤーならともかくAIボスが言っちゃダメな奴。

 って、そうだプレイヤー!


「今回もプレイヤーを呼べば……」


 ―― 戦闘中のため援護要請の受け付けは出来ません ――


 ガッデムっ!?

 良いじゃん別に戦闘中でもっ!

 ええい、プレイヤーの仲間呼ぶには一度撤退しないと無理なのか。

 でも逃げ切れるか? 絶対無理だろ。


「仕方ない、とにかくひたすら九字切りするしかあるまい」


 稲荷さんの言葉に俺と稲荷さんが九字切り攻撃に切り替える。

 一番ダメージがあるのがこれかよ、せめてレーザー銃が効けばまだ手はあるのにっ。

 それからどれだけの時間が過ぎただろうか?

 一分のようでもあるし、数時間戦ったようでもある。


「敵のHP3000切るぞ!」


 ようやく、半分に到達した。

 おそらくここで一回目のモーション変化があるはず……


「敵が回転し始めたわ。ヒロちゃん気を付けて」


「ワシが結界を張ろう」


 俺の前に結界が張られた、次の瞬間だった。

 物凄い衝撃音と共に結界が粉砕される。

 あっぶなっ!?


 ぎりぎりバックステップしたことが功を奏した。

 目の前のアスファルトを割り砕く三つのデスマスク。黒い涙を流し悔しげに嘆く。

 うるせぇ、そんな気味の悪い攻撃喰らってたまるか。


「ちょ、攻撃速度上がった!?」


「違うわよテケテケッ。触手が連携して攻撃し始めてんのよ!」


 メリーさんの言葉通り、触手を波状に打ち降ろすことで攻撃速度を上げるレギオン。その素早い攻撃に、テケテケさんが回避一辺倒になってしまう。

 なんとか攻撃をテケテケさんが集中的に請け負うことで俺達が攻撃できていたが。ここからは俺達にも攻撃が襲いかかってくるらしい。


「きゃあぁ!? ディーネの水が減っちゃうぅっ!?」


 くそ、避けきれないっ!?

 他の皆もダメージを負い始めた。

 これはちょっとマズい状況だ。


「これ以上は不味い、ツチノコさん戻って!」


 特に危険なのがツチノコさんだ。

 塩を全身に被って特攻を繰り返していたツチノコさんは、無数の触手が襲いかかってきたことで一気に不利になった。

 転がりながら逃げるツチノコさんに三つ四つと襲いかかるデスマスクたちを避け損ね一撃受けただけで体力レッドゾーンである。


 引き返してきたツチノコさんを背中に収納し、魔力切れになってしまったディーネさんを瓶に回収。

 これだけで二人分の戦力ダウンだ。ディーネさんは魔力回復薬飲んで。はいこれ!

 触手もそれだけ他のメンバーに集中しはじめ、さらにダメージが加算されていく。


「ヒロちゃんっ!」


 っ!? やべ、なんか無数の触手が波状にこっち向かって来た。

 二、三本は拳や蹴りでなんとか出来るけど攻撃後の硬直を狙われる量が襲いかかって来ている。

 このままだとマズい、やっぱり助っ人がいる。

 誰か、呼べないか?

 俺が呼べそうな助っ人?

 ハナコさんはまだか? メールしたらマイネさんか未知なるモノさんが助っ人来てくれるか?

 だが彼らが来るのはどれだけ時間がかかるか分からない。


 今すぐ来てくれる人。

 このレギオンに太刀打ちできる人。

 一人だけ、いた。


「スキル拝む、祈る、発動。俺は今、猛烈に相撲がしたい。来てくれ、頼むッ」


 だから、祈った。だから拝んだ。今すぐ俺に、相撲をさせてくれ!

 迫るデスマスクの群れ。

 俺に直撃するその、刹那。


「どすこいっ」


 相撲をしたい、その想いを受け取って、タヂさんが触手の間横から張り手を行った姿で出現した。

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