868.高校七不思議9
舞台は廊下から教室へ。
ジャックナイフを操る切り裂きジャックは一振りするごとに疾風が駆け抜け遠く離れた場所まで切り裂いていく。
それを悉く避けて受けて反撃を繰り出すギーァ。
やはり夢の守り人としての実力を徐々に付けつつあるのか、ギーァの動きが人外じみて来てる。まぁ容姿からして人外なんだけどな。
それにしても、器用にステップするなギーァ。
相手の攻撃避けるのも、切り裂きジャックの体が一瞬ぴくっと動いた瞬間に回避行動に移ってるし。
机を切り裂き椅子を破砕し、教壇を細切れにする。
切り裂きジャックの連撃が教室内部を破壊していく。
崩壊する教室のなかで、なぜか黒板だけ無傷だけど、多分偶然だろう。
机が舞い散る中、黒き影が疾走する。
ギーァの連撃が襲い掛かるが、切り裂きジャックはジャックナイフ一本で受け止めてしまう。
両手が鎌の二連撃放てるギーァが悉く防がれてる。
あの六連撃二連みたいなの使わないの?
下手に使うと隙を突かれるのか。
とはいえ、さすがに手伝う訳にもいかないしな。
俺たちは応援するしか……っ!?
『きゃっ』
今、何をした?
ハナコさんの頬に、切り傷?
『あ、ハナコ、頬斬れてるわよ』
『え? あ、ほんとねヤミコ……って、ヒロキ?』
「悪いなぁギーァ。たった今、そいつは……俺の獲物だ」
両手にレーザー銃を取り出し戦場へと突撃する。
ギーァの攻撃を受けた瞬間を狙いレーザーを打ち放つ。
「!?」
「ギーァ!?」
「ハナコさんへの攻撃断じて許さねぇ! 潔く死ね!」
確実に仕留める一撃だったのにあの野郎避けやがった!?
ならば数で攻める!
クソ速ぇ!?
俺の連射が当たらないだと!?
「ええいギーァ! ぼーっとしてねぇで攻撃再開だ!」
「ぎ、ギーァ!」
俺が参戦したからって俺任せにする必要ないからな、ささっとぶっ殺すぞ! 一対一で戦わないといけない訳じゃないだろ。お前のスキル取得条件は切り裂きジャックの撃破、つまり倒せるなら誰でもいいってことだよな!
俺の連撃で動きを阻害された切り裂きジャックに側面から襲い掛かるギーァ。
さすがに二人から攻撃を受けると切り裂きジャックも避けきれないようで、ギーァの攻撃を受けてしまう。
さらに魔の悪いことに、仰け反った先に俺の放ったレーザー。
一度受けるとノックバックが起きてしまい、レーザーの連射が次々と彼に風穴を開けていく。
「ギーァ、トドメを!」
「ギァ!」
もはや死んでんじゃないか? と思わなくもないが、ギーァにトドメを譲る。
跳躍からの一撃必殺。
切り裂きジャックの首が飛んだ。
一応、俺が介入したせいでスキル大丈夫か……お、新しいスキル今覚えたっぽいな。
良かった良かった。
とりあえず目的達成だな。
「ギーァ……」
「いや、目的は達成しただろ。そもそもハナコさんに傷負わせるあいつが悪い、俺の介入がダメだというなら介入させないようにしないとだぜギーァ。ハナコさんに流れ弾当てる時点で失敗だと思ってくれ。俺が当たっただけなら一発反撃だけで済ますがハナコさん相手じゃもう止まれねぇよ」
「ヒロキさん、ほんとハナコさんに攻撃する奴には容赦ないなぁ」
『全くよ。ハナコだけなら私が勝つのに、下手に手を出すとダーリン怒るからハナコ攻撃できないのよね』
『しなくていいじゃないヤミコ。私はヤミコと仲良くしたいわよ?』
『どうだか』
「それより購買行こうぜ。防刃ベスト人数分買っとこう」
「俺、ヒロキさんがいればそういうのいらない気がする。落ち武者も近づく前に消し飛ぶだろうし」
「ははは、否定できねぇや」
「でもヒロキさんからのプレゼントは喜んで貰うの」
「プレゼント? まぁお金はヒロキさんが出すし、プレゼントか」
そういわれてみればなのさんたちにベスト渡すのはプレゼントになるのか。
まぁ別に問題ないし、だからどうなんだって感じだけども。
購買に辿り着いて防刃ベストを人数分購入。え、人面犬にもいるの? そっちのおっちゃんのも?
ペットケースから出さないならいらんだろ。
お揃いがいい? 知らんがな。ったく、ほら、これでいいか?
金は有り余ってるんで仕方なくアミノサンの主張通り、赤ん坊ルックのオジサンと人面犬にも防刃ベストを買ってやる。
装備できるのかそいつら? まぁいいけども。
購買で買う物を買ったら、校庭へ。
さて落ち武者さんはどこにいるかなぁ……って、えええええ!?
確かに校庭には武者がいた。
幽霊の武者たちが、左右のゴールポストを本陣とし、合戦状態で待機中。
双方口論戦を始めているようだった。
口での戦いを最初に行い、その後双方が激突、それがここの落ち武者たちの怪なんだろう。
まさか日々合戦してるとは思わなかったけど。




