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863.高校七不思議4

『ふー。頑張ったー』


 ハナコさんが爽やかな笑顔で戻ってくる。

 ここの運動会、毎日やっているようで、来るもの拒まず、人間でも参加していいらしい。

 優勝したチームへの報酬や個人褒賞もあるのでちょっと参加するのもありだけど、俺的には褒賞そこまで欲しい物ないからなぁ。


 まぁハナコさんが楽しんでいたからそれで良しとしよう。

 ところで……ダイスケと人面犬はどこだ?


「タツキ君、連絡済みだよな?」


「あ、はい。ちゃんと既読も付いてます」


 ならここに向かってるはずだけど……

 タツキ君が電話を始める。

 あ、一応電話には出られるのか。


「……あの、あいつ捕まったっぽいです」


 えぇー。


「捕まったって、あの教室に?」


「今逃げ出したプレイヤーの代わりに二人で授業させられてるそうです。電話に出た一反木綿とかいうのがこれが復讐だ人間共、みたいなこと言ってました」


「あー、僕の代わりですね」


「ってことは、腹くくらないとだめか」


「腹をくくる? ヒロキさん、それってどうするの?」


「これよりあの教室に襲撃を掛ける。仕方ないから殲滅するしかあるまい」


「ゲコォ!?」


「ジジーッ!?」


「良いかね蛙娘さん、シマエさん。我々はただ七巡りの為に教室を見ただけだ。それを無理矢理拉致して仲間を捕縛していくような相手に、仕方ないと諦めていいと思っているのかね? 目には目を、侵略には侵略を、殲滅には殲滅を。我々が悪いのではない、奴らが手をだすから悪いのだ! 異議あるモノは手をあげよ!!」


 なんとなく扇動者っぽく告げる。

 味方は皆手をあげることはなかった。

 つまり、我が意を得たり!


「では殲滅戦フォーメーションHで行く。アカズさん、よろしく」


「まぁいいけれど……」


『あんたたち、ヤバいの敵に回したわね。あ、あんたたちは味方なのか』


 ヤミコさんは何言ってんの?

 ヤバい奴なんてどこにいんだよ。俺ら何を敵に? ん、味方? どっちだよ。


 体育館を後にした俺たちは早速先ほどの教室へと向かう。

 廊下を歩いて最短距離で辿り着くと、確かに教室内は再び授業を開始しているようだった。

 ダイスケと人面犬確認。

 犬の癖に座席に座らされてやがる。

 見ろよ、おっさん犬が授業受けてるよ。


「ああ、人面犬、おいたわしい」


 アミノサンだけなんか感覚がおかしいんだよな。

 人面犬相手に凄く辛そうだし。

 というか、そういやあの赤ちゃんルックのおっさんどうしたの?


「ん? 居るよ? これ」


 アイテムボックスから取り出したのは……移動用のペットケージ? 中が見えないタイプだけど、まさか……いや、想像するのも怖いので見なかったことにしよう。しまってください。

 さ、さぁ気を取り直してアカズさんよろ。


「じゃ、ちょっと行ってくるわ」


 一人、アカズさんが教室へと向かう。

 そのままドアを開いて教室に入る。

 突然の闖入者に教室内の怪物たちが驚き視線を向ける。

 しかし、彼らは動くのが遅すぎた。


 なによりも、すでに開かずの間と化した教室から脱出しないなど、死亡フラグにしかならないのだ。

 にわかに騒がしくなる室内。

 こちらからはドアの小窓部分から見えるだけだけど、かなり焦ってるみたいだな。

 逃げ場はないからもう脱出も無理だぞ。ドアに体当たりしても無理だって。だってそこ、開かずの間なんだから。


 アカズさんにより内部の者皆が恐怖のずんどこへと落とされることしばし。

 話が付いたようでドアが開かれダイスケと人面犬が脱出してきた。

 その後、アカズさんがしずしずと歩きながら戻ってくる。


「うおぉぉぉんっ、終わったと思ったァ!!」


「タツキぃぃぃ、助けてくれてありがと――――っ、心の友よォ!!」


「ぎゃあぁ!? 抱き着くな暑苦しい!」


 アミノサンというクール眼鏡っ娘に抱きしめられるキモカワ系オッサン面の人面犬と、タツキに迷いなく抱き着き涙するダイスケ。

 お前ら、せめて男女で抱き着けよ。男同士は暑苦しい、というか、男子校の保健室がチラついてちょっとそっち系じゃないかと疑っちまうぞダイスケ。


「話はついたわ。彼らはもう、二度と私たちにちょっかい掛けないって」


「はわわわわ、何したゲコォ……」


「開かずの間、私も体験したからわかるけど、あの中に入ったらもう死ぬしかないのだから、恐怖よね」


 あんたら怪異でもそうなのか。

 アカズさん、かなり強いのは分かってたけど、俺らほんとによく勝てたなぁ。

 まぁその辺りはハナコさんにきつく言うなって言われてるから口噤んどくけど。


「確か、次の誰も座らない机と椅子はこの近くだったよね」


「その近くに首吊り女学生もいるんだけど、アレは後回しになるんだよな?」


「俺らはヒロキの行きたいように向かうのを付いていくだけだしな」


 俺は順番通りに回ってるだけだってば。

 取り合えず、なんか揺れてる女学生の教室は素通りさせて貰い、誰も座らないという噂の机がある教室へと辿り着く。


「私たちも入るのは初めてですぅ」


「ゲコッ、私さっき探索中入った」


 なんでそこでマウント取ってんだ蛙娘さんは?

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