862.高校七不思議3
茶釜さんをもふってしばし、せっかくだということで蛙娘さんももふってみた。めちゃくちゃぬめった。
手を当てた瞬間ぬちょっと、ちょっとガマ油多すぎじゃありません?
ぬとっとした手を拭こうとしたらアカズさんの着物だったのでもの凄い形相で拒否られた。
仕方ないので近くを漂っていた一反木綿をふん捕まえて拭かせて貰った。
外道とかいわれたけどすぐ近くを漂ってたのが悪い。
本人曰く、深夜の教室に居たらしい。
人間を捕まえるために近づいたら自分が捕まってぬっとぬとにされたということだ。
泣きながら教室に帰っていったよ。
必ず報復してやるからなぁーとか捨て台詞残して。
それにしても、味方とは逸れたままなのに俺の周囲は味方が多いな。
まさか三人も味方を増やせるとは思ってなかった。
それなりに戦えそうなメンバー……かどうかは別として華はあるので悪い気はしないな。
「ヒロキ。とりあえず皆に体育館集合の連絡しておいたわ」
「ありがとアカズさん。んじゃ早速向かおうか」
「はぁ、システムから逸脱するってこんな感じなのね。いいことなんだろうけど、なんだか嫌だわ」
「グァー。めーさんに騙されなければ私たちはテイムされてなかったんだけどー」
「ねー。巻き添えだよ巻き添え」
蛙娘さんと茶釜さんはジト目でめーさんを見る。
めーさんは視線を逸らして体育館はこっちですわーっと聞かなかったことにしたようだ。
「お、誰かいる?」
「あ。プレイヤーですか!?」
「おう、プレイヤーです。そっちも……ああ、教室に拉致されてた奴か」
「よかったぁ、一生あそこで勉強会かと思いましたよ。夜間の学校に潜入したはいいけどまさかあんなことになるとは思ってなかったので。皆が出払った隙を見て逃げてきました。あの、脱出迄ご一緒しても?」
と、物陰から現れたのは、高校生、ではなく見た目小学生の少年だった。
「なんで小学生?」
「あ。僕一応高校生ですよ。高校に入学してるので」
「ああ、なんかそういう奴たまにスレで見たな。高校小学生だかなんだったかの」
「そういうことです。というか……もしかして教室に連行される途中?」
「ん? ああこっちの三人はテイム済みだから警戒しないでいいぞ。ついさっきテイムしたんだ」
「嘘でしょ!? どうやったらその強力な妖怪たちをテイムできるの!?」
嘘でしょとか言われても、俺普通にテイムオアデッドしただけだし。
三人娘も互いにアイコンタクトしつつ微妙な顔をしている。
話す気はないらしい。
「七巡り中なんだ。これから二つ目の幽霊運動会を見に行く予定」
「そうなんだ。なら、いいか」
教室にさえ戻らなければいいらしい。
同行を願われたので一緒に向かうことにした。
しばし廊下を歩き、渡り廊下に出て体育館へ。
おー、本当に運動会やってる。
今は玉入れの最中らしい。
幽霊たちが楽しそうに玉を掴んでは投げている。
玉……というか火の玉?
『お姉様がんばってー』
『任せてブキミ!』
って、ハナコさぁん!?
うおぉ。まさかの体操服とブルマー姿だと!?
旧式体操服とはまた素晴らしいシャッターチャンス!!
「え、何? ヒロキの奴走り出したんだけど?」
「あー。ハナコさんが運動会に参加してるから仕方ないわ」
アカズさんはしょうがないな、と呆れながらも後を追ってくる。そんなアカズさんの背後を恐る恐る三人娘と高校小学生が付いてくる。
「お、ヒロキさんこっちです」
「タツキ君たちも来てたのか。でもすまん、今はシャッターチャンスなんだ!」
「えぇ……」
「他のメンバーはまだですか。ハナコお姉様とヤミコさんが別のチームで遊んでるのはいいとして、ブキミさんとシマエナガとラズナさんだけ?」
「ジュルル」
「あたしはこの鳥と一緒だったのよ、導くように飛んでくから着いてきただけなんだけどさ」
それで辿り着いたってことならシマさん優秀ってことだな。
くおぉ、ハナコさんが飛び跳ねてる! 最高のシャッターチャンス! 輝いてるよハナコさん!
『ちょっとダーリン! こっちも撮ってよ! 私だって普段と違う体操服なんだから!』
最近の体操服じゃねぇか。肌面積が少ないんだよ、ぺっ。
「おー、すでに結構来てるわね」
「テケテケさんのおかげでなんとか辿り着けたな。アイツしつこ過ぎるだろ」
「ヒツギちゃんがスコップで殴ったりしなきゃ襲ってこなかったでしょ」
「いや、殴るだろ、いきなり教室行こうぜ! とか爽やかスマイルで近づいてきたんだぞ」
ヒツギ君とテケテケさんは一緒だったのか。
後いないのはマイノグーラさんとなのさんとギーァか。
タツキチームは人面犬とアミノサン、ダイスケがいないな。
まぁもう少しここにいたらやって来るだろ。




