850.廃神社の怪異
「とうちゃーく」
俺たちは場所選択で一気に廃神社へと跳んだ。
相変わらずさびれた神社がある。
神社を守るはずの狛犬のようなものは一つが砕け、もう一つは首から上がない。
なんか、前回よりさらに寂れてね?
こんなもんだったかなぁ。
確か前回は……あ、メレオン星人どうこうのせいで神社自体はそこまで詳しく見てないか。
この裏山にメレオン星人のUFOがあったんだよな。
今は俺が接収して自宅にしてるけど。
「おー、これが廃神社か」
「あんまり遠く行くなよ。神隠し起こっても助けられないぞ」
「え、そんなの起こるの!?」
ミツヅリが神社を覗こうとしていたが、すぐに慌てて戻って来た。
どうやら一塊になって調べた方がいいらしい。
「とりあえずここでのイベントは、俺の専用英雄武器がどっか埋まってるのと、稲荷さんとツチノコさんの参拝、ローリィさんも参拝したらスキル貰えるかな? それとナスさんの英雄伝承関連だね」
「むぅ。外出たくなかったのに」
「師匠、そういわずに、私は師匠と一緒で嬉しいですよ」
「む、そ、そう?」
ナスさんと芽里さん、なんというか百合百合しいのも、いいなぁ。
二人にはぜひ休日にナスさんを連れまわして遊びに出かける芽里さんの姿を見せてほしい。
映画館とか行ったり、道端で売ってるアイスを分け合ったり、うん。とりあえず提起してみて俺たちは裏から観察係をさせて貰おう、あとで皆に放映してやるんだ。バズるぞー。
んじゃまー祈るか。
「ふーむ。なんの神社じゃったかの?」
稲荷さんは祈る前に神社を見定めるようだ。
稲荷さんの知り合いの神社とか?
「ん? いや、そんなではなかったと思うんじゃが。お、ご神体が中に残っておるぞ。んー、黒天?」
黒天? なんだそ……
「きゃぁ!? なんか動いた!?」
「え? あ、あそこ、アレ、ネズミじゃないか?」
ネズミ? そういえば、ここの御使いの姿、頭とかなかったりで判別しにくいけど、ネズミの像っぽくなかったか?
ご神体近くに居たネズミは赤い瞳を不気味に光らせこちらを観察する。
誰かネズミ語理解できればいいんだけど、さすがに無理だよな。
「とりあえずお祈りしようぜ。そこのネズミさんよ、俺ら祈りに来ただけなんで気にしなくていいぞー。ああ、あとなんかこの辺に俺の専用武具らしい英雄の何かが埋まってるらしいで発掘していきます」
四十五円を投げ入れ二礼二拍手一礼。
―― このような場所にか? 神と悪魔を引き連れて? ――
うお!? なんだと思えば、念話? これ、まさかあのネズミから来たのか?
「神と悪魔って、ああ、稲荷さんとナスさん? なんか廃神社お参りするとスキル覚えるらしいから連れて来たんだ」
「ヒロキ? 誰と話しておる?」
誰って稲荷さん、そこにいるネズミとだけど?
―― ここは誰にも相手されず落ちぶれた神の社、そこに他の神を連れてくるとはいい度胸だ。なぁ稲荷神! ――
「っ!? 貴様、大黒鼠か!」
え、何それ!?
―― 違うな阿呆め。ここの神体とは関係ない、ネズミ関連で居心地がよかっただけだ ――
違うんかい!?
ちょっと稲荷さぁん!?
あ、バツが悪すぎて視線逸らしやがった!?
―― ふん、まぁいい、貴様らは我が反逆の狼煙に丁度いい! 地獄を味わえ人間共! 我らの恨み、貴様等人類はネズミによって滅びるがいい! 我が名は頼豪! 頼豪鼠!! またの名を、鉄鼠である!! ――
妖怪関連じゃねぇか!?
うげ、周囲に敵性反応!? ネズミ共に囲まれた!?
何だこの数!? どれだけ居るんだ!?
「確か、延暦寺を襲った鉄鼠は8万4千程のネズミを操ったとか聞いたことがある」
(V)o¥o(V)さんまさかこの妖怪知ってんのかよ!?
「うむ、妖怪は昔よく調べた。確かに、頼豪という僧が延暦寺を恨んで生まれたのが妖怪鉄鼠だ。戒壇を作ろうとして延暦寺に邪魔されてな、死後に彼らへの憎悪で化生となった」
おお、得意な話なのか珍しく饒舌じゃん。
「何、問題はない、猟師はここにいる」
銃を構えて、って待って、何するつもり!?
ズダン、(V)o¥o(V)さんは迷うことなく境内の奥に居る鉄鼠向かって引き金を引いた。
猟銃が火を噴き鉄鼠の額に風穴が……空かない。
「なにっ!?」
―― 我が体は鋼の如く、そのようなモノなの効かんわ! ――
でもひりひりしたのかしきりに頭さすってるな。
「しゃーない。全員戦闘開始だ! ナスさん芽里さん、期待しちゃうぜ!」
「弟子の前で不甲斐なさはもう、見せない」
「師匠が見てるんだから不甲斐ない真似できないわね」
無数の糸が乱れ舞う。
ローリィさんが魔法を唱え、ツチノコさんが迫りくるネズミに火を噴いて対処する。
シェリーさんは危ないから俺の傍に下がっておくように。
 




