831.ドリームランドで待ち合わせ2
階段を降り、炎の祠を潜り抜け。さらなる階段と巨大な門を通り過ぎる。
いちいちこれするの面倒だな、と思ったら視界に映る移動端折るダイアログ内に普通に魔法の森が普通にあった。
くっそ、最初に気付いてればこれ選択するだけでここに来れたのにっ!
曲がりくねった木々と光るキノコたちの森には、すでに未知なるモノさんが待っていた。
随分とお早いお付きですな。
片手をあげて合流する。
「ちーっす」
「よぅヒロキ。さっき案内人君がクリアしたって連絡があったぞ」
「未知なるモノさんいつからここにいるんです?」
「格ゲー少女が帰って来た辺りだな。入れ違いでこっちに来たんだ」
「そういや二人同じ家に住んでるんでしたっけ?」
「今はな。なんか知らんうちに一緒に住むことになってんだ。親戚なだけなのにどうしてこうなった?」
ソレは俺に聞かれてもこまるんですが。
んで? 格ゲー少女さんはゲーム疲れで就寝中で、その間に仕事か何かやること終えた未知なるモノさんがログインして夢の中、と。
「ゲームしに来たのに結局寝てるっつーな」
「まさに夢の中の国ですもんね」
そしてそのドリームランドから出られなくなった女がいたんですよー。
「あ。未知なるモノさん、ヒロキさん!」
扉が開かれ、案内人君がやってくる。
他のメンバーは?
ああ、待ち合わせしてるのはこれだけだ。
「ヒロキ、テイムキャラは?」
「とりあえず森出た場所で集合できればいいかな、と」
皆外の神関連の味方ばっかりだからな。過剰戦力になってしまう。
こんな初歩の森で集まり過ぎたら焼け野原確定である。
「それにしても、夢の中なのに外の世界と変わらないって凄いですね」
ほんと、このゲーム世界どうなってんだろうな。
「そういやヒロキ、お前気付いたか?」
「ん? 何がです?」
話を変えるように未知なるモノさんが尋ねてくる。
このまま三人で移動するようで、俺たちは話をつづけながら歩き出す。
「俺もドリームランドについていろいろ調べて気付いたんだがな。ここのナスの谷? ドール族ってのがいるらしい。これって、アレじゃね?」
「あー、確かに居ますね。たぶんこれから戦うドールと同じ奴だと思います」
「だよな。せっかくだし試しで一匹倒しとくか?」
「あー、でもここから結構かかりますよ?」
「今日は近場に向かうだけでもいいだろ。数日掛けてナスの谷まで行こうぜ」
「確かに相手の実力を知るにはいいかもしれませんね。ヒロキさんは味方数名連れていくんですよね?」
まぁテインさんたちも話を聞けば喜んで行くだろうけども。
「あの、なんだかあの辺り焼け野原になってません?」
「ああうん。ちょっとあってな」
「悲しい事件があったのさ……」
焼け野原とはいえ、魔法の森の一部なのでズーグ族とかいう生物が結構な数いらっしゃる。
戦闘にはならないようだけど、あまり出会わないようにしないと、ちょっとしたことで敵対してそこいらじゅうにいるズーグと戦闘になったら俺らでも死に戻りが発生しかねないからな。
「ズーグでしたっけ、すごく多くないですか?」
「ここで生活してんだろ? あんまり気にしない方がいいぞ」
「それは、そうみたいですけど」
下手に刺激する方が危険だ。
あいつらこっちのこと観察してるみたいだからな。
ちょっとでも敵対行動を行えばたちまち襲い掛かってくるだろう。
つまり、触らぬ神に祟りなしという奴だ。
俺たちはズーグたちに見守られながら魔法の森を後にするのだった。
しばらく森を抜けて歩いていると、テインさんたちが待っているのが見えた。
ずっとここで待っててくれたのか。
「遅い」
んなこと言われても!?
ここで勝手に待ってるのはテインさんたちの方じゃん。
そりゃ暇してたんだろうけどさー。
ニャルさんとクトゥグアさんが地形変えるくらいのオイタしてるとか、ギーア抱えたくねくねさんが踊ってたりと、ちょっとカオスな光景もあるけど、全部背景だと思えば気にならない。
ドリームランドで地形変えないでくれないかな外の神二人組よぉ。
ちょっとテインさんなんで注意しないの!
「クトゥグアを止めろ? 無茶を言う。なぜ我々が燃やされるのを覚悟でニャルラトホテプを助けねばならんのだ。面倒くさい」
「えぇー」
「なぁ、地形変えたせいか、あそこに猫の一団近づいてきてねぇか?」
「マジかー」
ウルタールからやって来た一団に理由を話して、俺たちは関係ないことをしっかりと告げる。
俺たちはニャルさんとクトゥグアさんを売り飛ばし、ささっとその場をあとにするのだった。
さすがに外の神といえども地形変えるようなことをすると怒られるようで、甲冑を着た猫さんに二人して正座させられくどくどと怒られ始めていた。
これを機に二人は自分たちがやったことをしっかりと反省して貰いたいものである。




