818.男子高校七不思議3
『やぁ、君たちがハナコさんの知り合いかい?』
がふァ!?
トイレから出てきた無駄にイケメンな高校生二人組を見たせいで吐血した気分になった俺は崩れ落ちる。
お、おのれイケメン、貴様等にハナコさんは絶対にやらん、やらせはせんぞぉ!!
無駄にチャラいイケメンの次郎、正統派イケメンのタロウを前に、女性陣がにわかにざわつく。
韓流アイドル前にしたみたいに騒ぎやがってよう、爆死しちまえクソッタレ!
「太郎さんと次郎さんはここのトイレ限定ですか?」
『ああ。僕らの担当は男子高校のみなんだ。他にも何人か男性霊はいるんだけど、どうにも彼らはあらゆるトイレに出てくる希少性のある浮遊霊らしくてね。学校霊として固定化されているのは僕らだけなんだ』
『だから遊びに行きたくてもハナコさんの元へ遊びに行くとかはできないんだ。とても残念だよハナコさん』
『いやー、高校生二人に来られてもねぇ』
そうだそうだ。ロリコン共はお呼びじゃねぇんだ消えちまいな。
え、俺もロリだぁ? 違う、俺はロリータ大好きじゃねぇ、ハナコさんが好きなんだ。
他の幼女はどうでもよろし、ハナコさんなら幼女体型だろうが老女体型だろうが、俺は大好きさ!
『いや、ヒロキ、さすがにお婆ちゃん状態は好き、なんて言いすぎじゃないかしら? 嬉しいけど』
「いや、たとえ今ここでハナコさんが老化の呪いを受けたとしても、最後まで愛し抜くと誓います!」
『そ、そう?』
若干引いたような顔をしてるけど内心は絶対に惚れてるな。
恥ずかしそうに髪弄ってる姿、可愛いです。
いじらしいです、ハァハァ。
「う、うーん。ヒロキさんちょっとキモい」
「たまにこんな感じなるから放置でいいわよ」
『それでハナコさん。僕らに何の用?』
『あ、そうそう。私たち各学校の七不思議を回ってスキル集めしているの。私のスキル強化に付き合って貰えないかな?』
『ああ、構わないよ。僕でよければ付き合おう』
ぐほぁ!? なんだ、今の言葉だけで俺の何かが激しくダメージを受けた、だと?
『しかしスキルか。次郎、何か与えられるスキルはあるかな?』
『そうだね……ハナコさん、こっちに、そこのトイレを背にしてくれるかい?』
こうかしら? とハナコさんがイケメン二人の間に向かい、トイレを背に振り向く。
すると、左右から壁ドンする太郎と次郎。
ドォッと俺の目から血涙が噴出した気がした。
あれはスキル、スキル集めのため。
決してイケメン二人に言い寄られてハナコさんが……俺のハナコさんがネトラレギャル化するはずないっ。
『何、これ?』
『確かこうすればよかったよな?』
『ああ、こうやってパワー送ればスキル開花するはずだ』
それ本当にパワー送るための動きなの?
俺にはヤリ○ンチャラ男二人が得物を逃がさないようにしてるようにしか見えないんだけど? 処していい? ちょっと俺のレーザーが火を噴いてしまうけどいいかな? かな? 許可貰えたら遠慮なくぶっ殺すぞーあははははは。
「ちょ、ちょっと少年君? お、おおお落ち着いて!? なんでレーザー銃取り出してんの!?」
「タツキ、手伝え、なんかヒロキさんが乱心してる!?」
「殿中、殿中でござるぅぅぅっ」
「わけわかんないよヒロキさんっ、とりあえず落ち着いて!?」
『彼は何をしてるんだい?』
『気にしなくていいわ。うん、スキル入った。ありがと二人とも』
『構わないさレディ。僕らとしても可愛い女の子の願いなら喜んで叶えるさ』
『ああ、普段男だらけだしね、可愛い子猫ちゃんなら大歓迎さ』
殺す、ぶっ殺す! テメェら俺のハナコさんに色目使ってんじゃねぇ! 五体引きちぎって屋上から晒すぞクソがぁ!!
「わわ、レーザー撃った!?」
「ちょ、ヒロキの腕誰か押さえて!」
「ヒャッハー、ヒロキさんハッスルしすぎっす!?」
「うおお!? 俺のモヒカンがレーザーに撃たれたぁ!?」
「穴あきモヒカン、逆に珍しいからいいんじゃね?」
「そうかぁ? ひゃは、俺だけのモヒカンになっちまったぜぇ!」
「ダメだコレ、収集付かないや」
「……コレ、不倫現場にならないかしら?」
イケメンたちは歯を煌めかせながらバイバイ、と爽やかに手を振ってトイレに戻っていく。
い、いなく、なった?
『あはは、ヒロキわかりやすいくらい動揺してたわね』
「ハナコお姉様も意地悪です。わざとそれっぽくやってたでしょ」
『ヒロキの反応が結構面白くて。私ってそれだけ大事に思われてたんだなぁって思えて、こう、なんか、ね?』
ハナコさんはどうやら俺の反応見て楽しんでいたようだ。
なんて小悪魔なんだ。好きっ。
それにしても、太郎と次郎って丸坊主野球部少年とか鼻垂れ坊主じゃなかったのかよ。
あんなイケメン兄弟だと分かってたら呼び出したりしなかったというか、ハナコさん近づけたりしなかったのに。




