815.十種神宝
十種神宝とは、饒速日命が天降りする際に、天神御祖から授けられたらしい。輝君よく知ってるねぇ。
鏡2種、剣1種、玉4種、比礼3種の十種。
神の世を照らすとされる遠視の鏡、沖津鏡。
逆に近場あるいはこの世を見通す、辺津鏡。
信念のもと全てを薙ぎ払う剣、八握剣。
蛇のような地を張ってくるような物質的な障害を追い払い、身を守る、蛇比礼。
精神的・スピリチュアル的・霊的な災厄や障害などを打ち払う、蜂比礼。
人がもたらす災厄や悪人侵攻を払い、身を守る、品々物比礼。
ちなみに比礼は女性が身に着けるスカーフみたいなものらしい。
俺からすれば鼻かっぽじながらふーん。という程度の話である。
どうでもいいが、蛇比礼がアスタリスクみたいな形の布で、蜂比礼がバツ印形の布。
品々物比礼がバツ印の書かれた大きな布だそうだ。
ま、その辺りは今回どうでもいい。
必要になるのは残りの四つ。
上部が尖った形の玉、生玉。
肉体の中に、生きる魂や霊魂を入れる玉らしい。
人と神を繋ぐ玉という役割もあるらしいが、そっちは今回どうでもいい。
下部が尖った形の玉、死返玉。
死んだ魂を生き返らせる効果を持つ玉だとか。
上向きが特徴の三つの玉、足玉。
五体満足の状態を与える、または周辺の生活環境を整える役割を持つ玉。
そして、下向きが特徴の三つの玉。こと道返玉
心身や道徳的、社会的なところで道から外れた時に、道に戻してくれる玉。
また、離れ行く魂を肉体に留めおく力があるのだとか。
この四つの玉を用いることで死者蘇生が可能になるそうだ。
死者の蘇生方法いろいろあるんだなぁ。
「と、まぁこんな感じでね、十種神宝がこの世界各地にあるんだよ」
各地にあるってことは、つまりどっかにあるのを探してこないといけないのか。
「で、どこにあるの?」
「いや、そこは冒険者なんだし自力で探すべきでは?」
「おいおい輝君よ。冒険者といえども何の情報もなく探すのは辛いものがあるのだよ。指標がなければ冒険は始められんよ。できれば見つかる場所、あるいはそこを指し示すためのヒントがなければね」
「えー、それを探すのも醍醐味だと思うんだけどなぁ」
むむぅ、と考えた輝君だけど、ため息交じりに諦めたようだ。
「一つはライザン道場。一つは虫相撲景品、あとは、確か暗黒なんとかの軍かな。ほら、秘密結社の一つ。最後に……ゴミの島かな」
あっれぇ、なんか聞き覚えのある場所ばっかだなぁ。
ライザンって確かダイエット用の道場だっけ。確か誰かのスキル取得に必要だったはず。
ふーむ。皆のスキル強化場所になぜか強制的に行かざるを得ないような感じになってないか?
必要なモノが出来ていく気がなかった場所にもなぜかいくことになるとか、いや、まぁいいんだけどさ。
「おーけーおーけー、とりあえずその辺りは皆で話し合って決めるとして、俺たちはこれから進学小学校の校長先生会って来るよ」
「ああ、アイネさんのスキルかい。まぁアレが相手でも問題は、ないかな?」
ん? なんかダメなのか?
ああ、やっぱり本物のミ=ゴじゃなくて幽霊だからダメなのか。
いや、でも輝君問題はないとか言ってるし、別に幽霊でもいいのか。
輝君に別れを告げて、俺たちは進学小学校へと向かう。
もうすぐ夜になるから急いでいかないとな。
いや、むしろ夜になってからの方がいいのか?
時間的には辿り着いたら放課後だし、問題はないか。
校長室へと向かうと、すでに会話が始まっていた。
久しぶり、とか言ってくる校長たちを放置して、ミ=ゴ校長に視線を向ける。
「こんちゃっす、彼女、ミ=ゴと会うことがスキル獲得条件なんすけど、あんたに会うだけでもいいのか?」
『え。どうだろ? そっちの人どう?』
「ん? あ、新しいスキル生えてる」
マジかー。
会うだけでいい奴か。
『それよりもチミ、我らミ=ゴに会いたいのならアトランティスに行き給え』
またスキル入手場所に別のイベントが!
っていうかミ=ゴって人間にとって天敵みたいな位置にいるヤバい種族じゃなかったっけ。
あいつらアトランティス大陸にいるのか。
知りたくない情報知っちゃったな。
とはいえ、これで俺たちがここで手に入れるべきもの全てが終った。
あとは七不思議、えーっと今回は男子校か。
ん、待てよ、確かこの高校は、あのヤベェのがあるのでは。
地獄の保健室ベッド、確か男性二人以上居た場合、保健室で二人きりになると睡魔に襲われ、起きると二人全裸で横たわっているという世にも恐ろしい悪夢の保健室があったはず。
方法、考えておかねば、無策で向かうと地獄を見るぞ。
となれば、助けて輝えもーん!!




