814.黄泉の国より5
「ほっほぉー。それでここに連れて来たのかダーリン! 黄泉生物だとぉ、オラァわくわくすっぞ」
シコメさんをそこいらじゅうから見回しているのはスレイさん。
UFOに戻ってきて彼女を紹介したらスレイさんがおかしくなった。
シコメさんも困惑気味だ。
「あー、とりあえずシコメさんアムリタ手に入るまでUFOの蘇生システムに入れてみようかと思ってさ。あの辺りスレイさんたちが調べてたでしょ」
「ああ、あれなー。アイネと相談しながら使い方はなんとか理解したぞー。でも蘇生というより再生装置だなこれは。死ぬ前の体を復元するための装置だったぞ?」
ってことはシコメさんには使えないのか? ついでにヘンリエッタさんは?
「出来てたら使ってるけど……さすがに肉がないのに復元は難しいかな。細胞がないし」
ってことはヘンリエッタさん戻すためにはやっぱりヘンリエッタの魂使って再召喚みたいな感じしないとダメか。
まぁヘンリエッタさんは下手に復活させるより今の状態の方が戦いにおいては有利だけどな。
何度でも復活するし。
【あのー、私復活したくないのですが】
「でも黄泉に戻れないんじゃそのままだと生活できないっしょ」
【むうぅ】
「それにこの家だと仕事で徹夜なんてないんで、なんならニート生活もできるぞ」
随分と悩むシコメさん。
しかしこのままだと彼女には帰る場所もやることもないのだ。
結論などすぐに出るのだった。
「じゃ、俺は輝君にシコメさんの復活方法聞いてくるので」
【期待はしないのでごゆっくり】
「あ、一応、朱莉ちゃんは再生装置に入れといて」
「了解。多分虫に内蔵とか食われてるだろうからしっかり回復させとくわ」
黄泉からの蘇生に関して、復活はできるが体内に残った虫はそのまま。
やがて食われて黄泉醜女となる。
あるいはアムリタなどで体内の寄生生物を駆逐したとして、すでに食われた内臓を戻すことはできない。
それこそ、肉体蘇生のエリクサーや、こうして再生装置で体を直さない限りは、徐々に弱って死んでいき、結果的に再び黄泉の住民となるのである。
なんつー悪辣な手法だろうか。
復帰は出来るけどアムリタとエリクサーがなければ完全復活出来ずに数日で逆戻り。
ほんと運営はこういうことたまにやって来るよなぁ。
何も知らずに死んだNPCたち助けたら、数日で苦しみ悶えて死に戻るとか……
とりあえずこの辺りはスレに書いておこう。トラウマ量産する必要はあるまい。
悪辣運営は正義のネット警察様に叩かれるがよい。
あ、でもゲームの停止はやめてほしいな。
楽しんでるのは楽しんでるわけだし。
朱莉ちゃんとシコメさんをスレイさんにお任せし、俺は一度家を出る。
もうそろそろ夜間になるから次の七不思議攻略が待ってるわけだが、その前に輝君に会うくらいは時間があるだろ。
「あ、そうだアイネさん。せっかくだし着いてきてよ。幽霊だけど合わせておきたい奴がいるんだわ」
「ワタシにか? 暇だしよき」
お前もなんか最近話方におかしな言い方混じってきてないか?
まぁいいんだけどさ。エルエさんともども変な日本語学ぶなよ?
アイネさんだけを引き連れて、俺は普通小学校へ。
輝君はいつも教室にいるので適当な教室に行けばすぐ会える。
「お、また来たのか。君が一番よく来るね」
「そりゃどうも。困ったときの輝君で頼らせて貰っているよ」
「今回はなんだい? 黄泉の国から戻って来たみたいだけど」
どうやってその辺りを知ったのかはわからんが、まぁ聞いても教えてくれないんだろうな。
「シコメさんの復活方法について、あと朱莉ちゃんの完全復活にかんして、かな」
「ふむ。まぁ分かってると思うけど、完全復帰するならアムリタとエリクサーだね。ちなみにこの世界だとエリキシル剤っていうのもあるんだけど、あれは完全回復薬じゃなくて数日ぶっ通しで活動できるようになる薬だから間違えて使わないように。過労死しても知らないよ」
やべー薬を紹介しないでくださいませんかね。
「んじゃ、アムリタとエリクサーの入手に関してだな」
「そうだね。この近くだと……君の御近所のファラオと鬼が持ってるんじゃないかな。あとは天界や幽世のアイテムボックス。魔物のドロップとしては魔界の深層か天界の深層かドリームランドの地下、ああドリームランド内ならたまに流通してたはずだよ」
持ち帰れないだろ。
いや、夢のクリスタライザー使えば持ち帰りはできるらしいけど、神に目を付けられるのはさすがになぁ。
夢の管理者が神様に連絡取ってるらしいからそこから会えたら交渉してみるか。
とりあえず近場から、ってことで明日はファラオと酒吞童子に会いに行くか。
このレベル帯で会って生きて帰ってこれればいいけどな。
「あとはそうだねぇ……十種神宝の勾玉を揃えることかなぁ」
なん、それ?




