802.ドリームランド入場試験2
全部わかるかな?
「これ、試験受ける意味、あるかな?」
「これだけ外の神がいるなら推薦だけで許可していいんじゃないか?」
えぇ、せっかくいろいろ覚えて来たのに。
「ま、せっかくだからテストしてあげてよ」
ちょっとくねくねさん、なんで君まで上から目線なの!?
「あ、そーだ。せっかくだしくねくねさんたちもテスト受けようぜー」
「なに?」
「どうせ暇なんだろ。ドリームランドの基礎知識なんだし、全員100点取れるんだよな?」
しばしの沈黙。
互いに視線を合わせあう。
そして、ピリついた空気が漂い始める。
「くく、当然だ、私がニャルラトホテプよりも優秀なところをみせてやろう」
「はぁ? クトゥグアなんて私の足元にすら及ばないし、無知を見せびらかせたいってなら仕方ないから相手したげるし。マイノグーラ、やるよ」
「え? いや、関係なくな……マジかよ」
ニャルさんとクトゥグアさんが釣れたら他の面々も暇だし受けるか、と了承。
全員でテストを受けることになった。
ナシュトさんとカマン=ターさんが凄く複雑そうな顔してたけど、すぐに机と椅子を用意して全員分の試験場所を整える。
「本当にやるんです? 暴れないでくださいよ?」
「一応、集団で受けるなんて初めてですが、他人の答案を盗み見たりしないように」
普通に模擬テストとかの注意事項を告げるナシュトさん。
時間制限は存在せず、好きなだけ見直しオーケーだそうだ。
その代わり、手を挙げて終わりを告げた後の変更は不可。
「それでは、筆記テスト、開始!」
筆記用具と答案用紙と問題用紙が配られ、テストが始まった。
答案用紙をひっくり返して回答開始。
まずは第一問、自己イデアから七十段の階段を降りた先にある場所にある門を何という?
うん、これここのことだな。ここにある門?
ああ、深き眠りの門か。
二問目、ここから十問目までは名称を書く問題か。
ええと、人間種族によって地下に追いやられる前の、古代ヴーアミ族記録を何という?
うーん、この辺りは勉強してないな。
古代ナムールで取れる旧神の印をなんというか?
猫を崇拝する町の名は?
鼻で地面を掘る人間大の虫? ベーヒアルじゃないの? あいつは鼻で地面掘らないか。
シャンタク鳥の始祖が棲んでいる国?
イレク=ヴァドの王の名は?
黄衣の王の別名を一つ述べよ?
調べてればわかるけど、普通わからんだろ。
とりあえず覚えてる範囲で埋めていこう。
次は?
十一問目から二十問目は、下にアからソまでの都市の名前が書かれてるボックスがある。
この中から問題文に適切な都市を選べ、と。
十一問目、大昔にムナールの地に存在したとされる強大な鉱業都市。
これはウのサルナスだな。
次は……オリアブ島の港町? その島覚えてねぇよ。余った奴適当に入れておこう。
金色燦然たる千の塔を持つ都?
セレネル海に面した大交易都市?
スカイ河を下った南の海岸にある港湾都市?
もうちょっとヒントありません?
次の問題もボックスから選ぶ系か。
今度はドリームランドに生息する生物の名前か。
犬を思わせる顔立ちとゴムのような弾力性のある硬い肌、鉤爪を備えた手を持つ屍肉喰らい?
屍肉喰らい書いちゃってるじゃん。サービス問題かな?
額も鼻もないが妙に人間に似た顔をした子馬ほどの生物?
小柄で茶色いネズミに似た生物で、鼻の下に小さな触手が生えている知生体?
顔の部分にピンク色の多数の触覚を持つ大きな蟇蛙に似た灰色がかったゼリー状の怪物?
レン人の乗馬・家畜で、卵は食用になる。馬頭と鱗に覆われた巨鳥?
ドリームランドの入口で、目覚めの世界からの訪問者の入国を見定めるカマン=ターの相方?
最後のって人じゃね? まぁ生息する生物ではあるか。
次の問題はっと、おお、これドリームランドの地図か。ああ、場所の名前を書き込めと。
ここがタナール丘陵だろ。んでこの先にあるのがオオス……おおすなんだっけ?
ここが深き眠りの門だから、えぇとこの森は……
ズィンの窖が傍にあるし、ここ街だよな。名前、名前……
ナスの谷近くの山? あー、えっとあれ、トゥース! 違うな、なんかそれっぽい奴。
次は穴埋め問題か。
大地の神々は、月の輝く夜になると雲の船に乗って○○○○の山頂に降り立ち、往時のやり方で舞い踊りを愉しむ?
目覚めの世界とドリームランドを行き来する手段を心得ている人のことを○○○と呼ぶ。
カマン=ターたちの試験を抜けた者は○○〇段の階段を降り、門に到達し、ドリームランドへと至る。
地球のみならず○○○○や○○○○にもそれぞれのドリームランドが存在するが、それらに人間が到達することは非常に困難であるとされている。
うん、難しいなこれ。100点は諦めよう。




