801.ドリームランド入場試験1
ふぁー、夢の中だけど眠い。
UFOに戻って来た俺はすぐさまベッドに向かって夢の中。
自分のイデアへとやってきた。
ほんとに、一度自覚してしまえば眠った瞬間イデア内に出現するんだな。
「ギーァ」
おっす、おはようギーァ。
って、なんでいんの!?
「ダーリン遅いぞ。吾輩待ちくたびれたのである」
って、ベンチにはティリティさんまでいるし、っていうかその帽子の上に乗ってるのはニャルさんか。
何なの? お前らわざわざ迎えに来たの?
「貴様が試験を受けると聞いてわざわざ来てやったんだ。ありがたく思え我が主」
「あははテインさんツンデレー。ヒロキさん、私も来たよ。それほら、マイノグーラさんとクトゥグアさんも」
くねくねさんまで加わって、ドリームランド組全員集合じゃん。なんで俺のイデアに来てんのさ。
どうやら全員で応援に来てくれたようだ。
というか、そのオッサン知り合い?
「ん? こいつは我々が来る前に居たぞ? お前のイデア内に居た存在じゃないのか?」
「これはこれは初めまして。いや、一度死んだぶり、ですかな?」
そいつは特徴のある顔を持つ男。
夢の中でのみ出会うとされる男であった。
というかディスマンじゃん。あんたティリティさんに飛び蹴り食らってスプラッターになったんじゃないの?
「ははは、私は殺しても死にませんよ。何しろこの場所は夢の中、夢で死んだところで現実に死ぬわけではないんだよ」
なるほど? じゃあこいつって現実世界に本体がいると?
「なるほど、こいつがティリティが殺した奴か。確か夢の守護者を殺したり、卵を奪ったりしているそうだな」
「……なんのことやら。どうやら今日は日が悪い様子。ヒロキ殿、また日を改めて」
そそくさ逃げようとしたものの、ギーァに追いつかれて瞬殺されていた。
うん、まぁ、よくわからんがこいつは敵だと思った方がいいのかもしれない。
一応話は聞くけど賛同は難しいかも。
今回も死んだけど、おそらくまた出てくるんだろうな。
正直気味の悪いおっさんだからできればもう会いたくないんだけど。
「まぁいいや。ディスマンはまた来るってことで、そん時に判断しよう。今日はテスト受けに行かないとな」
「まぁ気楽に受ければよかろ」
「暇だ。その二人組の居る場所までは付き添ってやる」
そってやるっていうか、暇潰しにきただけだよなテインさん。
まぁいいか。皆で行くか。
せっかく来てくれたのでぞろぞろと皆で地下へと降りていく。
「うっわー、駅があるってどうなの? 自分のイデアに駅? どっか行きたい系?」
俺はむしろ家でじっとゲームしてたい系だけどなぁ。
むしろ俺のイデアなのにハナコさん好き感がまるでないのがおかしい。
俺のイデア、というよりは初期イデアは大体皆こんな感じなんじゃないかな。
あとでマイネさんたちに聞いてみるか。
おそらく自分のイデアはドリームランド内のアイテム使って内装好きにやっちゃって、っていうタイプなんだと思うんだ。
脳波を測定して独自のイデアを作るってなったら俺のイデアないにはハナコさんが大量に生み出されてトイレヶ丘みたいなフィールドになってるはずだから。
「たまに見かけるこのギーァの亜種みたいなの、何?」
「くねくねは知らないのか? それは自己イデアの修復装置だ。このイデアが崩壊しないよう維持管理してくれている、いわゆるメンテナンスロボ、だな。多少壊れても新しく生み出されるから元であるヒロキが消滅しない限りはここで見かける存在だ」
やっぱりこれ、メンテナンス用の生物なのか。ごめんよ。初めに出会った時危険生物と判断して殺しちゃって。
「ヒロキのイデアなのにトイレとかないね?」
「アレだけハナコハナコ言っててイデアないには一つもないとか、薄情だなオイ」
「それだよマイノグーラさん、これ、本当に俺のイデア? 多分俺のイデアを脳波から読み込んでるってよりはいくつかのパターンイデアの一つを割り当てて、あとは自分でカスタマイズしてね、って感じじゃないかと思うんだが」
「ほぅ。そういう風に考えたか。確かにそれはありそうだな」
―― 機密事項なのでおしえませーん ――
なんか話に変な声が混じった。
多分運営系AIだろう。やっぱりこの辺りは触れるべきじゃないらしい。
さて、ここの階段降りたら炎の祠だぞ、っと。
「やぁ、今日も来たのかいヒロキく……えぇ?」
「なんで自己イデアなのに大量のお客さんが!? しかも結構な神々がいらっしゃるじゃないか! お初にお目にかかりますティンダロスの女王、それにニャルラトホテプの姫、マイノグーラ様、クトゥグア様、ショゴスロード様」
一目見ただけで相手の王族度合いが分かるのか!?
「ギーァ」
いや、くるしゅうない面をあげよ。じゃないよギーァ。君は呼ばれてないだろ。




