800.女子中学校七不思議11
―― ワールドイベント、女子中学校七不思議がヒロキ、タツキと愉快な仲間たちチーム、ヒツギ、ラズナにより七巡り達成されました! ――
チャイムの怪から脱出したことで七巡りが達成されたようだ。
アカズさんが残れなかったのは残念だけど、とりあえずクリアってことで。
おお、裏返ったはずの階段も戻ってる。
「七巡りは終わったかな?」
「ええ。それじゃ俺らは帰るっす」
「ああうん。いや、もう一つあるみたいだね」
もう一つ?
バイキン先生が茶色い手袋をしたままの左手をポケットから取り出す。
何をする気だ? と思ってみていれば、地下通路の先を指さす。
ん? 暗がりに何かいる?
徐々に近づいてくるそれは、人の形をしていた。
ただ、人型なのに頭が俺の腰より低い。
そして、足を使うことなく、手を突きながら廊下を徐々に近づいてきていた。
俺たちは戦慄する。
まだ、まだ何か危険な学校霊が!?
「ケケ、ケケケケケケケケケッ」
「ギャ――――――――ッ!!?」
おっさんの野太い悲鳴が響く。
っていうか、暗がりからでてきたのテケテケさんじゃねーか。
上半身だけで現れるから一瞬驚いたけど、そういえば紫鏡のところで別れたままだった。
ふと、背後を見れば、みみを隠すように両手で頭を抱えて蹲り震える人面犬。
いや、さっきの悲鳴はお前かいっ。
むしろ悲鳴に驚いたわ。
「ほぅ、これは凄い。君下半身がないのに生きてるのかい!?」
「あらぁ、なぁにこのダンディな先生っぽい人は」
「テケテケさん、それ噂のバイキン先生」
「あらまぁ、そうなの? 私は死者よ先生。上半身は生身だけれど」
「なんと素晴らしい、ホムンクルスでもここまで上手く受肉は出来ないんだ、どうか研究させてくれないか?」
なんか研究者魂に火をつけてしまったようだ。
困惑するテケテケさんの周りをつぶさに観察し始めるバイキン先生。
テケテケさんが低身長なので腹ばいになったりしてバイキン先生怖いです。
「見たまえヒロキ君、この切断された内臓の切り口を! なんということだろう。力任せに引きちぎったような、ものすごい力で一気に千切れている。これは車か何かとの衝突だね!」
「やだもう、先生ったら、そんな奥までみちゃやだぁ、恥ずかしい」
なんだこれ? セクハラかな?
「ふふふ、そう恥ずかしがらないでくれたまえ。これほど綺麗な色をしているモノを見るのは初めてなんだ。素晴らしい。素晴らしいよテケテケ君、キレイなサーモ「はいそれまで!」なんだいヒロキ君、今いいところなんだが?」
何がいいところかは知らんがいろんな意味でアウトになりそうなんでそういうのは許可取って個人趣味の範囲で調べてください。
今日のところは帰りますんで。
「む、仕方ないな。テケテケ君、もしよければアドレス交換しないかね?」
「まぁいいですよ。しかし先生も物好きですねぇ」
「人体の構造を調べられるまたとない機会だ。君の体を調べればホムンクルス制作にも更なる進展があるだろう。ぜひ頼みたい」
「私は高いわよぉ」
お巡りさん、なんかイケナイことしそうな二人なんで捕まえといてください。
「これで女子中学校のイベントは全部終わったかな? 疲れたし帰るか……」
ふふ、これからまだやること残ってると思うとなんかこう、疲れるな。
夢の国関連はまた今度じゃダメだろうか?
ダメだろうなぁ、皆いるもんね、ドリームランド入場を確定させとかないと怒られそうだ。
まぁ今日は試験受けるだけのはずだし、問題はあるまい。
「それでテケテケさん紫鏡はどうなったの?」
「紫の世界で二人きり、思い切り斬り合ったわ。私も彼女も互いに譲らなくてね。三日三晩の戦いを経て、強敵となったの!」
絶対ウソだろ。そもそも三日も経ってねぇよ。
まぁここにいるってことは勝ったのか仲良くなったのかってところだろう。
テケテケさんのレベルがあればよほどのことがなければ負けないだろうし。
ただまぁ今後衰弱死の呪いみたいなのがないとも限らないから浄化薬みたいなのは常備した方がいいだろうな。
となると、稲荷さんのいる社で作ってもらうか。
明日はそちらに行くのがメインになりそうだな。
社に向かって、無理そうなら別の社を紹介して貰う。
あるいは天界に行った方がいいかもしれんな。
「あら? そういえばアカズちゃんどこいったの?」
「ああ、アカズさんは……」
『衰弱死の呪いで死んじゃったのよ。自宅に戻ってるから早く戻りましょ』
そうっすねハナコさん。さっさと戻ろう。
そんでさっさとドリームランド入場許可貰ってログアウトしよう。
さすがに体に負担が来るだろうからちょっと多めに寝ないとな。
夜更かししすぎは体に毒だし。




