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794.女子中学校七不思議5

「次は紫鏡だっけ?」


 トイレの怪談を撃破した俺たちは一度適当な教室に身を寄せて休憩していた。

 

「紫鏡って、アレだよな。二十歳になるまで覚えてたら死ぬっていう怪談」


「え? そうだっけ? あたしは紫が冥界に繋がってるから覗いたら死に顔が見えるとか聞いたけど」


「あれ? 向こうに引き込まれるんじゃなかったですっけ?」


 紫鏡も結構派生してるからなぁ。話のネタとしては紫の亀とか、イルカ島とか、赤い沼とか血まみれのコックさんとかがいるらしい。都市伝説の本に載ってたので無駄に知識として覚えてしまった。

 でも20歳まで覚えていれば、だけど20歳以上で覚えた場合はどうなるのだろう?

 ちなみにイルカ島は20歳と30歳と50歳の覚えていれば、があるらしいけど、なぜ40歳はないのだろうね? 


 紫鏡の概要としては女の子がお気にの鑑を紫色に塗るという謎の行動をしたことで取れなくなり、成人式前に交通事故で死んだ。のちに紫色の鏡が部屋で見つかった、というだけの話なんだけど、これ、紫の鏡関係性なくね? ただ見つかったってだけじゃん。


 まぁ紫は黄泉路と繋がりが深い色だからって話らしいけどな。

 それよりも紫鏡を覚えていても水野温斗とか唱えると解除されるとか、合わせて白い水晶とかホワイトパワーとかピンクの鏡とか覚えていたら不幸にならず幸せになるとか言われてるのが気になるところだ。これって、後付けだよね? 水野温斗ってなんだよ?


 あ。そうだ。せっかくだし一応これ作っておくか。

 皆に紫鏡の場所に向かう前に、と美術室に寄らせて貰う。

 不気味な美術室で絵の具を手に入れ適当な鏡をピンク色に塗っておく。


 鏡はトイレから拝借させていただいた。

 ダンジョン破壊みたいな感じになるけど、まぁ許せ。

 明日の学校ちょっと話題になるかもだけど。


「よし、ピンクの鏡完成!」


「なんでピンク?」


「正直ないわー」


 なんだよ紫鏡の話だけ知ってて対処法知らん口か。まぁ俺もあの本読んでなかったら知らなかったけどな。

 

「さて、んじゃもっかい休憩入ろうか」


 準備が整ったので次の紫鏡攻略の為に一度空き教室に集まって方針を決める。

 トイレの時にキョウカさん突っ込ませたら殺された掛けたから今回から一つ一つの怪談でしっかり方針決めてから対処しようって話になったのである。


「んじゃま、ここの紫鏡に付いてだが、二十歳うんぬんはかんけいないっぽい。むしろ紫の鏡に引き込まれてどこかに連れていかれる、という噂の方が採用されてるらしい」


 コン……


「だから近づきすぎないようにして紫鏡を見つけること、その後は交渉、無理そうなら鏡の破壊を最優先することにしよう」


 コン……


「もしも鏡に引き込まれた場合だけど……」


 コン……


「……さっきからなんだ今の音?」


 アパポテトが小首をかしげる。

 ……嫌な予感しかしないな。


「アカズさん、開かずの間お願い」


「ん? わかった」


 開かれたままだったドアが独りでに締まっていく。

 窓の鍵も自動で掛かり、誰一人出ることの叶わない部屋へと変わっていく。

 アカズさんが教室を開かずの間へと変貌させる、その一瞬後。


 ガタっ


 教室のドアが音を立てた。


 ガタガタガタガタ、音は次第大きくない、扉が小刻みに振動する。

 

「どぉこぉかぁなぁ~?」


 楽しそうな女性の声が聞こえた。


「ここでしょぉ~いるよねぇ~?」


「あ、しまった。私の個室空間、外から入るのには無防備だ」


 あ。

 すぐさま理解した稲荷さんが神通力で開きそうになった扉を閉め付ける。

 あっぶね、ちょっと目が合ったかも!?


「あぁれぇ? 今開いた? 開いたよねぇ?」


 相手はついさっき放置してきたコンコンコン・クィシン。

 なんで三階のここにまで来てんだ?

 一階のみの敵じゃなかったのか?

 というか喋れんのかよ!?


「会話は不可能だと思うわよヒロちゃん。アレは多分見つかったら終わりの怪談だわ」


 なるほど、ただ遭遇するだけじゃ意味は無くて、教室等に移動してしまうと発動するトラップ型怪異か。

 ってことは、教室内でかくれんぼか? 無理じゃね?

 ……あ。そうだ。


「アカズさん、ちょっといいか? それと人面犬ちょっと手伝え」


「お、マジか、おいちゃんの出番か?」


「んじゃ二人にやってほしいのは……」


 彼らにお願いして、準備を整える。


「稲荷さん、神通力解除!」


「うむ、任せた人面犬!」


「まかせや」


 神通力の解除、そしてオッサン犬から放出されるむわっとした霧。


「さぁ、みぃつけ……あれあれぇ? もやもやで見えなぁい?」


 それはコン、コンっと室内へと入ってくる。

 そして俺たちはそれと入れ替わるように、逆の扉から教室を脱出。

 全員の脱出を確認すると、内部に残った彼女に連絡。

 すると、再び扉が自動で締まり切る。


「あれ? あれあれあれぇ? なんで閉まるの? ねぇ、なんでぇ」


「そりゃそうよ。だってここは……開かずの間なのだから」


 コンコンコン・クィシン、開かずの間に封印完了!

 あとはアカズさん次第だな。個室空間無双対見つけた相手特攻、勝つのがどっちかなんて、分かり切ったことだよな。成仏、しろよ?

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