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788.デスゲーム委員会の存亡7

「これはまた……」


 闇のゲームに取り込まれた俺は、周囲を見回し思わず呟く。

 真っ暗闇の中、仲間に声をかけてみるが反応はない。

 ふむ。索敵系が動く気配なし。おそらくだけど特殊空間のせいでスキルの大半が使用不能になってるな。


 やみくもに動くのは不味いけど、とりあえず周囲の状況を……ををぅ? なんかいまむにっとしたものを掴んだ?

 ふむ、見えはしないけど誰か近くに居るっぽいな。

 敵、ではないだろう、あいつ男だったし。これは、多分胸かな? とりあえずあまり揉むのも悪いからあと二回だけっと。


 うむ、誰かは知らないけどありがとうございましたっ。

 さて、となると迂闊にレーザー銃撃つわけにもいかないな。

 誰か撃ったりしないだろうな?


 とりあえず俺の現状スキルだと防御系とか反射系はないのでやれることといえば当たりませんように、と祈るくらいしかできない。

 うおぉ!? なんか背中に飛びかかって来た? おお、このむにゅふわ感、女性だな。

 あ、いたっ、ちょっとぽかぽかしないでくれません? 俺のせいじゃないし、なんなら君の方から抱き着いてきたからな。


 しかし、闇のゲームならルール説明があるはずなんだが、まったくないな?

 しばしの暗闇。

 瞑想しながらどうしたものかと考えていると、ようやく説明が始まった。


「やあツチミカドヒロキ。残念ながら私の勝ちだ」


「いきなり勝利宣言かよ委員長さんよ」


「そりゃあそうさ、すでに他の全員を降させて貰った。後は君を倒せば私の勝ちだ。二度と私に手を出せないようにさせて貰うぞ」


「なるほど、他の奴を各個撃破してたわけか。で、俺が最後と。ゲームの条件を聞こうか?」


「なぁに簡単だ。私のゲームは個人同士でのコロシアム。相手が死ぬか負けを認める、あるいは意識を失えば負けだ。さて、君の勝利報酬について聞こうか? それが始まりの合図になるのでね」


「そうだなぁ……じゃあ俺が勝ったら……テメェは二度とデスゲームに関わるな。見る側にもやる側にもだ」


「くくく、いいぜ、それで契約成立だ」


 む、状況が変化なし?

 つまり見えない状態で戦って勝てと?

 まさに無理ゲーじゃねぇか。

 しかも気配察知も看破も使えないとかどうなってやがる?


 ふむ? あれ? これ……ほぉう、確かにこれは想定外だ。

 敵の姿、普通に見えるわ。

 どっからどうやってこっちに来るか、これ、多分視界バグのおかげだな。

 確かに黄衣の王がいうように、直す必要なかったようだ。


 なるほどなぁ、これがあいつの奥の手か。

 そりゃエルエさんでも手も足もでねぇわな。

 闇の中で自分だけは自由に動ける、か。


 計器全て狂わされたエルエさんだと無茶苦茶撃ちまくって牽制してたんだろうな。

 まさか位相世界に逃げ込まれてるとかは露ほども思うまい。

 さて、あとは位相世界から俺に対してどう攻撃してくるか、だけど。

 攻撃時には位相世界からこっちに来るだろうから、俺がやるべきことはこれだけでいい。


 音もなく近づいてきた委員長。

 手にしているのはナイフだろうか?

 無防備な俺に向け、真正面から襲い掛かって来たらしい。

 接敵の瞬間、一瞬だけこっちに戻ってくる。


 位相を戻し、ナイフが現実に俺に届くように。

 だから俺は、そんな彼が逃げられないタイミングで、嘆きの皮仮面を相手の顔面前に出現させる。


「は?」


 急に視界を塞がれた委員長。

 逃げることすらできずにソレを顔面に被る。

 黒布を装備したままだったが、呪われた仮面にとっては問題なかったようだ。

 人の顔面に密着した瞬間、ぎゅばっと仮面の側面が蜘蛛足のようにせり出し、頭を固定。そのまま肉を貫き襲い掛かる。


 うーん、俺は人間を止めるぞー、くらい言ってくれればよかったんだけど。

 どうやらそういう仮面の類ではないらしい。

 ナイフを突き刺す動作のまま倒れ込む委員長をサイドステップで軽く避ける。

 倒れた彼の背中に足を乗せ、逃げられないように固定。

 アイテムボックスからレーザー銃を取り出し、静かに構えた。


「辞世の句はいるか?」


「ぎ、ぎぎぎ、があぁぁぁぁ」


「言葉すら出せないか」


 すまんな、ソレ、どんな効用があるか俺も知らんのだ。

 なので、苦しんだり化け物になる前に、息の根止めておくな?


「デスゲームでさんざん他人の命奪ったんだ。自分の番が回って来たと諦めな」


 たった一撃。後頭部に接触しての逃れられない一撃だ。

 びくん、目の前の男が一度だけ痙攣し、力が抜けていく。

 仮面が相手の死に反応したのか、触手を引いて顔から離れた。


 闇のゲームが消え去る。

 決着が着いたと判断されたようで外へと放り出されたようだ。

 ……あれ? 足元に居た奴誰だ? 俺の前に普通に委員長いるじゃん。


 なぜかぺたんと尻から座り込んだ委員長。女性ならあざとカワイイ座り姿だが、生気の抜けた男にされても困惑しかない。

 周囲を見れば、他の皆も無事らしい。

 自分の体を見て困惑しているようなので、闇のゲーム中に死亡扱いされても復帰してくるゲームだったのかもしれないな。チッ、殺したわけじゃなかったのか。

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― 新着の感想 ―
過去の闇のゲームにおける負けたら女体化従属が発動したっぽい?
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