787.デスゲーム委員会の存亡6
エルエさんが敵に回ってしまった。
まさかの状況に俺は……
「一応、聞くぞエルエさん。そいつの安全確保まで、絶対に手伝わないとダメなのか?」
「契約内容は、安全の確保、または、ワタシの完全破壊、デす」
なるほど、完全破壊か。
んじゃ、しゃーない。
「エルエさん、主人命令。自爆しろ」
「了」
「は?」
俺の言葉にエルエさんは迷うことなく了解した。
驚いたのは俺以外のメンバーだ。
いや、散紅さんたちはやっぱりやったか、といった顔をしている。
さすが俺のテイムキャラ。俺ならやると分かっていたか。
「申し訳ありませんが、安全地帯に連れていくためにワタシから離れてください。これより1分後、当機体は主人命令により起爆します。復帰後にまた会いましょうマスター」
「え? ええ? ちょ、ツチミカドヒロキ? これ、君の仲間、では?」
「そうだぞ?」
「自爆、させるの?」
「うん、お前殺すのに邪魔だし」
「いや、え?」
「外道かよ!?」
「さすがに引くわぁ……ヒロキ、人間のやるこっちゃねぇよ」
なんでだよ未知なるモノさん。
エルエさんも理解してるから選ぶ自爆だぞ。
エルエさんも自分の失態で作戦失敗は嫌だろうし。
というわけで、レッツ自爆。
じゃ、というわけで、俺は逃げます。
「じゃ、お先」
エルエさんたちを放置して、俺は即座にその場から逃げ去る。
エルエさんの自爆って半径数キロ焼け野原にするからな。
「あ、おい!?」
「ぐずぐずしてる場合じゃないわよだぬ、巻き込まれたくなければ逃げる!」
「え? おい、ああもう、クソッタレ!」
「味方が外道だと私たちまで穢れた気がするよ未知なるモノさぁん」
「うーん。まさか味方を自爆させるとは。あ、そこの委員長、ぼーっとしてていいのか?」
「は? え、何でお前ら俺を放置で逃げ……もしかし、自爆の効果範囲、広いのか!?」
一番最後に慌てて逃げ出す委員長。
デスゲーム委員長はそのまま自爆に巻き込まれてもいいんだぜ?
「ダーリン凄い、容赦ない、そこに痺れる憧れる。これ絶対ハナコの嫌いな方法よ! 私は気にしないけど!」
む、そうなのか。じゃあ今度から味方を自爆させるのはちょっと止めておくか。ハナコさんに許可取ってからにする方がいいかな?
「きゅいっ」
「お、レムさんどうした?」
「ふふ、そいつもダーリンのこと褒めてるわよ。自爆はロマンだって」
なる、ほど? レムさんもそういうタイプだったのか。機械には自爆装置付けちゃうタイプなんだね。
「そろそろ、かな?」
大体脳内時計一分を経過したころだった。
エルエさんの起爆は作動。隠し通路があった場所が吹き飛んだ。
「マジで起爆しやがった!?」
「ちょ、ちょっとヒロキさん、あれ、エルエさんどうなるの!?」
「ん? テイム済みだから一時間の死亡状態を経てUFOで復帰するぞ?」
「雑だな!? テイムキャラの復帰ってそんななのかよ」
「なので家に戻ったらエルエさん何食わぬ顔で出迎えてくれるよ」
「それは……いえ、でも本人が納得してるなら?」
いいのだろうか? と格ゲー少女が混乱し始めたので放置して、俺たちは唯一の敵、委員長に視線を向ける。
「うっ」
気圧された彼は逃げ場を探す。
しかし、背後にはだぬさんとシルビアさん。
右には未知なるモノさんと散紅さん、左に格ゲー少女とメリッサさん。
前に居るのは俺とヤミコさんとレムさん。
四面楚歌の状況で逃げ場など一切存在しなかった。
「く、くく、これまで、か」
「残念だったなデスゲーム委員会の委員長。だが、ここまでだ」
シルビアさん、散紅さん、メリッサさんが一斉に銃器を構える。
俺もレーザー銃を構えると、委員長はふぅ、と息を吐いた。
「参ったよキミたちの勝ちだ。デスゲーム委員会は本日をもって解散」
「それで済むと思ってんのか! 沢山、沢山のNPCたちが死んじまってんだぞ!」
「ふっ、だぬ君。随分とお怒りだが、君とそのNPCたちとはほとんど繋がっていないだろう? 大切な存在だというならば契約を行い、そちらのヒロキ君と同じようにテイムしておけばよかったのではないか? そうすれば、デスゲームで死のうとも、自爆で死のうとも、必ず生き返る、そうだろうヒロキ君」
まぁ、そうだな、実際テイム後は死んでも復帰してくれるからな。
そういう意味で言えば朱莉さんもテイムしておけば死なずに済んだともいえる。
俺のNPCたちの知り合いで惜しい存在といえば彼女くらいかなぁ。
燦華と緑香をテイムすべきかは迷うところだけど。二人にも死んでほしくは、ないなぁ。
「ふふ、反論がないということはそういうことさだぬ君」
「てめぇ……」
「さて、見逃してほしいところだが、さすがにそういう訳にもいかないらしい。だから……」
「っ!? 不味い、皆撃ち殺「闇のゲーム、起動!」せぇッ!!」
銃の引き金を引く、それより早く。委員長の闇のゲームが発動した。




