786.デスゲーム委員会の存亡5
「だぬさん、なんかいい方法ない?」
「あるわけないなぁ。エルエさんなら索敵できそうだが、今連絡取れねぇんだろ?」
「エルエさん探すのに索敵がいるけどエルエさんくらいしか広範囲索敵できるメンツがいない、と」
「人選ミスじゃないかな? ヒロキさん、誰かいないんですか、索敵特化のキャラ」
「キャラなら数名いると思うけど、うーん。なんとなくこっち!」
「あ。こいつ人呼ぶの面倒だから運に任せやがった」
一応幸運なはずだから、本能に従った方がいいんだこういう時は。
さぁ、なんかこっちに行った方がいい気がするから行こうぜ!
「結局運頼みですね。こんなんでいいんでしょうか?」
「格ゲー少女は心配性だな。なにヒロキのやらかすことだ。このままついて行ってみよう。本命じゃなくとも面白い結果があるかもしれないし」
未知なるモノさんはお気楽だなぁ。
っと、森に入るのか。
「シルビア、メリッサ、銃撃準備。クマが出たら頼むわよ」
「オーイェ、散紅まかせなサーイ」
「うん。準備は万端。レムさん振り落とされないよう気を付けて」
レムさんはシルビアさんの頭に垂れていらっしゃる。多分飽きて暇してるな。
ここだと弄るような機械もないからなぁ。
あ。なんかみっけ。
「これは……隠し通路、だな」
「嘘だぁ。なんであてずっぽうでここに辿り着くの!?」
「これがヒロキクオリティだ。ここテストに出るぞ」
何のテストだよ?
んで、それよりこの先どうなってんの?
枯れ葉に巧妙に隠された隠し通路を開いてみれば、うおっ!?
「なぁ!? ヒロキだと!? ま、待てシルビア! 私は何もしていない! お前たちには敵対していないんだぁーっ」
えぇ? なんぞあれ?
隠し通路から飛び出してきた黒い靄が何か喋りながら空の彼方へと逃げ去っていった。
うん、まぁ、いっか。アレは放置してても問題はあるまい。
「今のって……」
「どうでもいいわシルビア。アレはもう終わったモノよ」
「そう、ですね。行きましょうか散紅さん。この先、きっと地下施設です」
「そうかぁ? アレが逃げ出してきてたし、緊急脱出路だろ。地下施設とは別じゃね?」
まぁどっちでもいいよ。とりあえずこの先になんかあるのは確定だろ。
「行こう」
俺たちは隠し通路へと入る。
階段が造られていて地下に潜り込むと、真っ暗な通路が続いていた。
電灯、ないのか。
エルエさんがいれば光って貰うんだけどなぁ。
あ、未知なるモノさんの頭に提灯みたいなの生えてきた。
これチョウチンアンコウか何か食べました?
「光があった方がいいだろ?」
「相変わらず人間辞めてんなぁお前さん」
だぬさんはむしろ人間極めてるよな。死なば特攻みたいなことしてくる以外は普通に拳で戦うプレイだし。
肉弾特化のだぬさん意外と強いし、格ゲー少女と合わせたら近接特化チームだよな。
意外とこのチーム攻守万全なのでは……いや、攻撃はいいが守りは無いな。
俺も銃撃は得意だが守りはほとんどないし。
近づかれるまで銃で撃って近づかれても銃で撃つ。攻撃こそ最大の防御、だもんな。
お、なんか広い場所に出たぞ。
「なんだぁ? 空になんか浮いてんな?」
「これは……闇のゲーム!?」
「知っているのかシルビアさん!」
っていうか見ただけで闇のゲームだとかよくわかったな。俺ら誰も気付かなかったぞ。
というか、あそこに破壊されて存在してるのって椅子か?
となると、ここには委員長がいたのか? 追って来たエルエさんは?
宙空に存在している闇のゲーム空間らしい黒い球体。
ふむ。さっき出てきたのも闇のゲームの主催者だったはず。
「闇のゲーム主催者から貰った闇のゲームを使ったデスゲーム委員会委員長がエルエさん相手に闇のゲームを発動させたのか」
「いや、今の光景見ただけでよくそこまで思い至るな!?」
「ってことは、この球体の中にエルエさんがいるのか?」
「闇のゲームをしてる最中だろう。内容如何によっては敗北する可能性もあるが……どうなる?」
しばし、見守っていた俺たちの前で、ゲーム空間がはじけ飛ぶ。
そして、委員長と思しき黒い三角目出し帽を被った人間と、エルエさんがその場に現れる。
「はぁ、はぁ。くく、やった。これで私はこの危険物を……馬鹿な!? 貴様等なぜここに!?」
「デスゲーム委員会委員長だな。悪りぃが、死んでくれや」
俺たちは即座に動き、それぞれの武器で委員長を攻撃する。
「ま、守れェ!!」
次の瞬間、委員長を庇う様に突撃してきたエルエさんが彼を安全地帯へと連れ出した。
「エルエさん!?」
「申し訳ありマせんマスター、不覚、です」
「ふ、ふふ、はははははは! 残念だったなだぬ! そしてツチミカドヒロキ! 貴様等の奥の手だったこの機械はデスゲーム敗北の責を取り私の安全が確保されるまでエスコートすることになったのだよ!」
ちょ、何してんのエルエさぁーん!?




