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756.中学校七不思議8

「……うーん」


 お、気付いた。

 気絶していたヤミコさんがようやく意識を取り戻す。


『ここ、は……ぴゃっ!?』


 目を開いて上見上げ、俺と視線が合ってしばし。

 ようやく頭が回転し始めたらしく、自分が俺にお姫様抱っこされてることに気付いて固まった。


『ちょっと、ヤミコ、起きたならさっさと戦闘状態解除しなさい。貴女を倒さないと出られないのよ』


『ファ!? は、ははは、ハナコ!? って、誰かと思えばハナコの主人! 離れなさいよっ』


 おっと、暴れ出すなよ、危ないなぁ。

 地面に降ろすとヤミコさんは慌てて俺たちから距離を取る。

 

『あ、あああ、貴方どういうつもり! ハナコの主人でしょう! 何で私を介抱、え? 介抱したの? なんで? 私なんかを?』


 自分で指摘しかけてなんか自分の世界に入っていったヤミコさん。

 どういう状況?

 どうやらしばらくヤミコさんが戻ってくるまで待たないとだめらしい。


「それにしてもハナコさん。結局あの大量のトイレのなになにさんシリーズはどうなったの? AI同士で倒し合ってたら次は高次AI無しになんのかな?」

 

『いえ、確かああいう場合は自分の大元でプレイヤーを待ってる状態に復活するはずよ。あくまで人と戦って負けた場合、あ、でも、イベント戦になるから今回は……いえ、戦闘開始前だったからセーフのはずよ』


 結構ざっくりなのか。

 戦闘にプレイヤーが混じってなければ元のボス部屋で再復活出来るらしい。

 といってもアレだけのトイレ妖怪がどこにいるのか謎だけど。

 あれか? ランダムエンカウントボスとかそんなのか?


 まぁ、出会ったらそん時はそん時、ってことにしとこう。

 っていうか、ヤミコさんそろそろ戻ってきません?

 なぜか顔を赤らめて頬に両手当てていやんいやんしはじめてるんだけど?


『何かしら、嫌な感じね』


 ハナコさんが本当に嫌そうな顔をしている。

 ハナコさんに嫌われるって滅多にないはずなんだけどなぁ。

 

『そういう、ことだったのね! もう、それならそうと言ってくれればよかったのにぃ』


 ―― ヤミコさんが妻になった! ――


 ……なんて?


 ―― ヤミコさんが妻になった! ――


 いや、なんで!?


 ―― 私が知るか! ヤミコさんが妻として登録してきたから報告してんだよッ! このハーレム野郎! ――


 なんでさ!? いや、天の声さんからハーレム野郎呼ばわりされるとかある意味新体験だけども。


『も、もう、ハナコ好きかと思えば私の美貌に首ったけだったのね。やだもう、だー・あ・り・ん』


『そうだったわ。この娘思い込み激しいんだった』

 

「だからって何をどうしたらいきなり俺の妻に名乗りを上げるんだ?」


『ちょっとヤミコ、ヒロキにはコトリさんっていう妻がすでにいるのよ』


『あら、貴女じゃないのね。まぁいいわ。誰がいようと私が一番だと思うように振り向かせてしまえばいいのよ。ダメなら闇で囲って一生出られなくすれば……ひぃっ!? なんか今ゾクッと来た!?』


 多分コトリさんからの呪詛だろう。

 気を付けろよヤミコさん。彼女、下手に喧嘩売ったら子供が産めない体にされるぞ?

 ゲーム内で意味があるかどうかすらわからん呪いだけど。


「とりあえず、この空間から出よう。ヤミコさんお願いできる?」


『あなたの頼みなら喜んで』


 はにかむ笑顔でヤミコさんが応える。

 いや、なんというか、さっきまでと態度が変わり過ぎじゃないか?


『処置無し、ね』


 俺の腕に絡みついてくるヤミコさんを見て若干ハナコさんが不機嫌だ。

 それ、嫉妬だったりするのかな? ハナコさんに嫉妬されるとか、男冥利に尽きるってもんじゃないだろうか?

 俺、今最高に輝いてる!?


 ヤミコさんが戦闘状態を解除したことで、俺たちは女子トイレ前に戻って来た。

 そのままトイレから出ると、皆が不安そうな顔で待っていた。


「ああよかった。ヒロキさんもう三十分以上出てこないから心配しましたよ。先に進もうかって皆で話してたんですからね」


 それは悪いことしたな。

 

「あと三十分待って戻ってこなかったら先に行くつもりでした」


「意外と待つね君ら。でもそのおかげでなんとかクリアできたよ。っていうかこれって俺以外のメンバーは七巡り達成できるのか?」


『大丈夫よ、怪異が目の前に付いてきてるもの』


 ああ、ヤミコさんすぐ傍にいるもんな。

 そりゃ皆もヤミコさんに出会った扱いになるか。


「そんじゃ、残るは十三階段とその先にある幻の四階、だな」


「どうするんです? 幻の四階は踏み入れた瞬間別世界に迷い込むタイプですよね? 脱出、出来ますか?」


「それについては俺に考えがあるんだ。とりあえず俺が階段数えるよ。他のメンバーは周囲の敵性生物の駆除と、新たに出てこないかの確認を頼む」


「了解です。じゃあ任せちゃいますね」


 タツキ君たちと軽い打ち合わせを行い、俺たちは十三階段の存在する三階へと向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
改めて⚪︎⚪︎スキルとかの特定条件満たさないとクリア出来ない事多いな(初見殺しキャラロストとか)
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