750.中学校七不思議2
校舎入り口が中央にあった。
大体こういうの学校は一緒だよね。
えーっとここの校舎はっと、おお、二棟あるのか。
校舎内の左右に渡り廊下が存在しており、第一棟と第二棟が繋がっているようだ。
ちなみに一階の渡り廊下からは右側には体育館へ向かう道が中央に存在。
左の渡り廊下は購買施設かな? に向かう道が中央にあるらしい。
渡り廊下と渡り廊下の間は中庭となっている。
『聞いてきたわよ』
今回も、浮遊霊がそこかしこにいたのでハナコさんが率先して話をしてくれていた。
それによると、一番近いのは体育館で、窓に映る学生は第二棟の三階。
ヤミコさんは第一棟の二階女子トイレ、十三階段は第一棟の屋上へ向かう階段。
歩く影に関しては徘徊系で、第二棟の二階に十三番目の教室があるらしい。
ふむ、十三番目の教室と十三階段は別物なのか。
中学校は十三関連がなんかあるっぽいな。
ってことは四階の話も十三が関連してる可能性はあるかも。
攻略、出来ればいいけど、最悪死に戻りも視野に入れないとだな。
永遠四階に取り残され続けるとか悪夢だし、まっかっかさん撃破のためにも明日までに戻っておかないとだしな。
さて、っと。どこ回る?
「話の感じから言って体育館経由で第二棟から体験していく方がいいかも?」
「最終的に第一棟の十三階段攻略するんですよね。だったらそれが一番ロスが少ない回り方になるかと」
決まりだ。
まずは体育館の幻覚から体験することになった。
俺たちは第一棟を出て渡り廊下へ。そのまま体育館へと向かう。
どうでもいいけど中学校、プールのスペース見当たらんな。
「えーっと体育館入る前におさらいするぞ。ここで見た幻覚は振り向いて幻覚を見たら一年以内に不幸あり。子供より大人の霊が大けがをする、って奴らしい」
「つまり、幻覚として出てくるのは子供か大人ってことか」
「幻覚だから体育館に人気は存在しないってことでいいんだよな?」
「ま、行くだけいってみようぜ。ほら人面犬、テメェの出番だろ」
「あ、こら、抱えんなでっかいの! 女の子、女の子に抱きしめられたいんやーっ」
ダイスケに俵持ちされて体育館に突入していく人面犬。
アミノサンががんばえーっと手を軽く振っているけど、多分気付かれてないぞ。
「んじゃま俺らも行くか」
「呪いが付与される可能性あるわよヒロちゃん」
「ケガする呪いか。まぁそのくらいなら? いや、一番大切な場面で怪我になるとか大問題だな。とりあえず行くだけ行ってみてヤバそうならあとでルースさんに呪い解いて貰おう。ルルルルーアさんでもいいけど、どっちか連れてくればよかったな。次からは聖属性攻撃手段としてどちらか着いてきてもらおう」
今回はもう、どうしようもないのでこのまま突撃だ。
「どうだーダイスケ君、なんかいた?」
「あー、オッサンが一人見えてる」
それ大人の幻覚じゃん。ダイスケ君大怪我決定だな。
「なぁ、おいちゃん、子供や大人やのうて犬なんやけど、これどうなるん?」
知らねぇよ。犬同士だから成犬なんじゃね? だったら大怪我確定だな。
他の面々も幻覚を見始めているようだ。
俺はーっと……なん、だと!?
すぐ傍にいるのはハナコさん。そして対面にいる幻覚は、ハナコさん!?
しかも、しかもウェディングドレスを着ている、だと!!
そのブーケと共に飛び込んできてくださいっ! ここが俺の理想郷か!?
『ヒロキ、どうだった? 大人の幻覚見た?』
「体育館の幻覚よ、よくわかっている。ありがとう、本当に、ありがとう」
『え、なんで拝みだしたの!? え、幻覚何がいたの? 涙流して拝み倒すって何を見たの!?』
俺は、今日の日を絶対に忘れない。
シャッターチャンスでめっちゃ押したったからきっと素敵なウエディング衣装のハナコさんが映ってるはずだ。出来ればハナコさん自身に着ていただきたい。
ふむ、アラクネ装飾店に依頼出してみるか。一応全員分の花嫁衣装買っとかないと不公平だ―って皆五月蠅いからな。全員分の衣装お願いしておくか。
「あら? ハナコお姉様、ヒロキの外道感が浄化されたような顔してない?」
『え、そうかしら?』
「ええもん、見せてもろたわ」
「ヒロちゃんがおかしくなっているわね」
「何をみたんすかね? あ、ちなみに僕は子供の霊でした」
「私もです。多分呪われてるので祈祷で浄化しますね」
「ヒロキさんは呪いどうです?」
「呪われたっていいじゃない、結婚だもの」
「意味が分からん!?」
「一応お前さんらステータス見といた方がええんとちゃう? おいちゃん、やっぱ大怪我の呪いついとるわ」
ウェディングドレスハナコさんだったから呪われても俺は気にしないんだけど……呪い、はないな。むしろ祝福されてないか?
まさか体育館の幻覚さん、俺とハナコさんの結婚応援してくれてる?
よし、もう一度、心を込めて祈っておこう。




