737.死亡フラグを叩き折れ1
進学小学校七不思議をクリアした翌日、早速俺は小学校へ向かう準備を整えていた。
輝君の話から察するに、今日中に会わないと緑香たちが死ぬらしい。
正直意味は分からん、けれど死亡フラグがあると言うのなら、叩き折らねばなるまいて。
早朝ということもあり、集まってくれてるメンバーは少ない。
それでも、なんとか何かヤベェのが出てきても対処できるメンツは揃ったはずだ。
コトリさん、ギーァ、テインさん、エルエさん、彩良さん、アイネさん。
プレイヤー側は未知なるモノさん、だぬさん、フェノメノンマスク。
フェノメノンマスクあんまし人付き合い好きじゃないとか言ってたのに、普通に参加するのか。
「デスゲームの方放置でいいのか?」
「今日はね。申し訳ないけど早急に小学校に向かわないとNPCが二人ほど死ぬらしいんだ。知り合いが一人すでに死んでるらしいし、さすがに無視できない」
「輝からの報告だっけ。詳しい話はまだ分からないのか?」
「二人から聞くしかなさそうだね。正直あまり行きたくないけど、知り合いが知らないうちに死ぬってさすがにちょっと、ね」
「ま、助けられるなら助けた方がいいよね。NPCは結構優しい奴いるし」
ボッチ気質だからなのかフェノメノンマスクはNPCを救うのに乗り気だ。
「しかし、コトリさんはわかるが、どういうメンツ? コトリさんだろ? ギーァにテインさんにエルエさんに彩良さんにアイネさん? コンセプトが分からんぜ」
「とりあえず今動けるメンツに加えて何が起こっても対処できるメンバーだね。あとアイネさんは終了後にちょっと一緒に行くところがあるので」
「さいか……」
自宅から学校へ。そういえばモナ・リザに関してはまだ何もしてなかったな。帰って即行ログアウトしちまったし。
『ねぇ、どこ行くの?』
「うお!? なんだブキミちゃんか。普通小学校で知り合いの死亡フラグ叩き折りに行くんだ」
『お姉ちゃんいない、昨日とメンバーほとんど違う?』
「そりゃな。行けるメンバーで向かうからな。ハナコさんたちは今日は泥船でレッスンだ。ああいや、RCSだった。名前変えたのに泥船のままじゃダメだよな」
『せっかくだから付いてく』
「今回マイノグーラさん居ないから首取れないよ?」
『我慢する』
ならいいけど。
一人追加して俺たちは普通小学校へと向かった。
「確か小学生以外のメンバーはここは入れないんだったよな?」
「いや、入ることはできるぜ? 生徒指導のおっさんに追い回されるけど」
「そういや未知なるモノさん戦ってたっけ?」
「今のところ全敗だな。次は勝!」
「とりあえず開かずの間に集合だ。俺は知り合いをそこに連れてくるからちょっとだけ待っててくれ」
「「「了解!」」」
ちょっと不安は残ったが、未知なるモノたちと一旦別行動で小学校へと入る。
そうなんだよなぁ、このゲーム内だと俺、まだ小学生なんだよ。なんであんな濃密なイベント起こしまくってんだろうな。学校最初以外一切行ってないし。
「お、いたいた。燦華、緑香ちょっといいか?」
「え? あっ! ヒロキ!!」
「ああ、よかった。ヒロキ君に会えた!」
お、おお、なんだ? 二人とも脇目も振らずに俺の元へ寄って来たぞ。もしかしてモテ期!?
「旦那様、もう一人、来ますよ?」
「え? あ、ほんとだ」
燦華と緑香が凄く安心した顔で寄ってくるのを見て、申し訳なさそうなメガネの女の子が近づいてくる。
「あ、あの、もしかしてプレイヤーですか?」
「君は?」
「朱莉さんのイベント、その、失敗した者、です。ほんとすいませんっ! 貴方が助けた朱莉さんを死なせてしまいました」
この人、プレイヤーだな。
ちょっと教室でそんな謝られたら凄く注目の的になってるから、とりあえずこの人も連れていく方がよさそうだ。
「二人とも、ちょっと詳しく聞きたいから場所変えよう? 付いてきてくれる? そこのプレイヤーさんも」
「あ、はい!」
俺の隣をコトリさんがしずしずと歩き、その背後をブキミちゃんが浮遊する。
燦華と緑香は彼女たちを完全無視してるけど、プレイヤーの子はちらちら見てるな。
さっき小声で生コトリさんだ、とか言ってたから俺のことは分かってると思う。
「あの、どこまで行くんですか?」
「ああ、この先にアカズさんの教室があるんだ。そこだと教員が見回りに来ないから話し合いに最適なんだよ」
「な、なるほど。開かずの部屋」
「ちなみに夜になった瞬間に部屋の中にいると出られなくなるから、使用する場合は昼までにしときな」
「つ、使うような時がないと思います」
そうかな? 俺結構な頻度でここ使ってる気がするけど?
大体輝君と話する時ってここ使っちゃうんだよな。




