表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

732/1106

729.進学小学校の七不思議5

 身振り手振りで俺の言葉を訳するアミノサン。

 その間ベートーヴェンは目をきょろきょろさせながら興味深そうにアミノサンを見ている。

 これはいけそうか?

 ともかく仲間に誘うように、いや、コーチを引き受けてくれるようになんとか交渉を行っていく。


 頷いたりしないから交渉が上手くいってるのかどうか迷うな。

 でも俺らに出来るのはこれくらいだからなぁ。


「えーっと、あれはなんだっけ?」


「んー、ちゃいこふすきぃ?」


「それはさっきあっただろ。あそこの肖像画だ」


「バッハじゃないか?」


「そいつはアレだぜ」


「ボーマンだ!」


「誰だよボーマン!?」


 音楽家の知識なさ過ぎんだろお前ら。

 バッハさんたちが呆れてるぞ。


「なるほど、君はアイドルのコーチを私に頼みたいのか。ああ、声は聞こえている。手話? とかいうものをする必要もないぞ。私はそれを知らないのでね」


 し、シャベッタァァァ!?

 っていうか誰だよベートーヴェン耳聞こえないとか言った奴! 肖像画のベートーヴェン普通に聞こえてるし返事してくるじゃん。


「えーっと、どうです、コーチ?」


「問題はない。が、ピアノの霊と合同なのだろう? ならば歌のコーチもぜひ参加して貰いたいものだ」


 う、やっぱり歌のコーチいるか。


「ちなみに歌のコーチとしてよさげな知り合いとかいません?」


「歌か……そういえばとあるアイドル事務所にアイドルの霊が出ると聞いたことがあるな」


 あんたこっから出ることないのに何でそんなの知ってんの!?


「あー、と、これ、地図なんすけど、これのどの辺りかわかります?」


「ふむ、ここだ」


 と、ベートーヴェンが額縁から飛び出して指さしてくる。

 出て来れるんかい!?

 もう何でもありだな幽霊。


 とりあえずせっかく紹介されたんで余裕があれば誘いに行ってみるか。

 どうも話を聞くに、結構有名になったアイドルだったらしい。

 人気絶頂期に悪質ストーカーに刺されて亡くなったんだとか。

 微妙にリアルな死に理由だな。


 でも人気絶頂のアイドルが味方に付いてくれれば確かにオガムさんの人気アイドル化には結構プラスになりそうだ。

 輝君がこの人のこと教えてくれなかったのはあの時点でアイドルのヒントすら貰ってなかったからだろう。

 フラグが少しでも立ってないと輝君教えてくれないからなぁ。


「では、メンバーと場所揃ったら連絡します。スマホか何か持ってます?」


「霊界通信機なら持っているぞ。最新式だ」


『あ、じゃあ私とアド交換しましょう』


 マジかよ!? ハナコさんも持ってるの!? 羨ましいっ!

 俺も持ちたい霊界通信機。


「霊界なんとかって、確かエジソンが開発した奴じゃなかったっけ?」


「ゲーム内で使ってるだけでしょ、タツキは現実と虚構混同するからダメなのよ、そこは広い目で見なさいよ」


「いや、問題はないぞ。そもそもこの霊界通信機は初代がエジソンの発明だ。それを何人もの科学者が弄り回ってな、最近になってアインシュタイゼン研究所とやらでしっかりと霊同士交流可能な霊界通信機が完成したのだ」


 無駄に歴史があった!? しかもアインシュタイゼン博士が普通に関わってるし、あの人なんでこういうのにまでちょっかいかけてんだよ。


「ギーァ?」


 ん? マイノグーラさん、何してんの?


「おぅヒロキ、見ろよコレ。呪物だぜ呪物。トイレの前で拾ったんだよ」


 へー、え゛?

 ちょ、ま、え、マイノグーラさん、それヤバいのじゃね?


「なんだっけ、ばーび? いやリコちゃんだかなんだったかだろこれ?」


 それ、三本足のリカちゃん人形ですよマイノグーラさん。

 何で拾っちゃったの? 拾ったら発狂するとか殺されるとか言われてるんですけど!?

 メリーさんの亜種みたいなもんだよソレ。


「あたし、リカちゃん、呪われているの」


「あはは、オレぁマイノグーラさんだ。見た奴が呪われちまうSAN値殺しの外の神だぜェ? 霊的存在程度の呪いに掛かるかよ」


「お、おままごとする? それともかくれんぼする?」


 なんか、リカちゃん人形の方が怯えてません?

 

「そうだなァ。ままごとすっかぁ? ほーら三本足から一本引いてー」


「やめて、やめてぇ!」


 ―― 呪いのリカちゃん人形が助けを求めています。テイムしますか ――


 なんでさ!?


「あっ」


 俺がテイムを選ぼうとしたその刹那。

 ばきっと三本足の真ん中が折れた。

 ものすごい断末魔の悲鳴が上がり、リカちゃん人形が消えていく。


「ありゃー、呪いの根幹やっちまったか」


「ギーアァ……」


 み、味方増える直前だったのに、何してんのマイノグーラさん!?


「あー、すまん、冗談のつもりだったんだぜ? まさか一本取っただけで死ぬとか思わないじゃん。すぐくっつけば問題ないと思ったわけよ、あー……マジすまん」


 一応申し訳ないとは思っているようだけど、呪いのリカちゃん人形は既に戻ってくることはない。

 再召喚をするにも再召喚用のアイテムが見当たらない。

 マイノグーラさんが変なやり方で引っこ抜くからぁ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ