71.お持ち帰り
―― NPCは自宅へ招く事が出来ません。テイムして仲間となるか特殊イベントで自宅訪問が発生したNPCのみ自宅へ招く事が出来ます ――
少女を自宅へ誘ったら事案だった件。
NPCって自宅連れていけないのか!?
何気にかゆい所に手が届かない設計だな。
「参ったな、どうしよう」
「なんだ? お前の家を貸してくれるのではないのか?」
「そうしたかったんだが、NPCは入れないらしい。テイムされてくれれば問題無いらしいんだけど」
「なっ!? お、お前、わ、我を隷属させる気か!? ま、まさかそのまま家に持ち帰ってあんなことやこんなことをっ!?」
「ちょ、ちがっ。っていうかファミリーレストランでなんつーこというんだお前はっ!?」
「し、しかしテイムするというのはつまり、そういう魂胆なのだろう!?」
「ソレしかないと思う方がアレだろうがっ、俺はただ純粋に匿ってやろうと思ってだな。あー、もう、そんな嫌ならいいよ。他探せ」
「なっ!? ま、待て待て待て、我は行くところがないのだぞ!? ここで見逃すとかお前人として……外道少年だった!?」
「いや、だから一応の案は出してるだろ。嫌なら他の奴頼ればいいじゃんってだけで」
「ぐ、ぐぬぬ……」
なんでそんな親の仇見るような顔で俺を見るのか謎なのだが。
そりゃ俺だって助けてはやりたいけどさ。俺は隠れ家なんて知らない訳だし、自宅でかくまう以外はどうしようもないだろ。
宇宙船だって場所が……そういえば輝に聞こうとして忘れてたな。
で、自宅に匿うにはテイムするか良く分からん条件を達成させないとNPC誘えないらしいし。だったらテイムするしかないんじゃね?
でもソレは無理、っていうことならもう、他の奴に頼るしかないと思うんだ。
「ああもう、分かった、こうなれば我も腹をくくろうではないかっ」
―― スレイリア・アルセーヌが仲間になりたそうにしている、テイムしますか? ――
名前スレイリアっていうのか。アルセーヌって普通に秘密結社の名前なんだけども?
まぁいいや、YESで。
―― スレイリア・アルセーヌが彼女になった! ――
……ん?
「え? 彼女? 仲間じゃなくて」
「そ、そういうつもりなんだろ。ふん。し、仕方ないから付き合ってやる」
そこで顔赤らめてそっぽ向かないでくれますっ!?
『すっげ、チョロインよハナコさんっ』
『ほ、ほんとにすごいわね。まさかそうなるとは……』
「ま、待って待って待って、俺にはほら、好きな人がいてですね」
「我は一向にかまわん。うん成る程、つまりこういうことか?」
―― スレイリア・アルセーヌがハーレムに加わった! ――
いろいろ違うっ!?
『は、ハナコさんハナコさん、このチョロイン意外と肝座ってるわっ』
『これは私も想定外かな。ま、まぁ本人納得してるし、いいんじゃない?』
いいのハナコさん!? ま、まぁハナコさんがいいなら俺は拒否しないけども。
どういう思考回路してんだろこのスレイリア……ああ、悪の秘密結社で人体改造してる人だし、一夫一婦制とか全く気にしてないのか。ま、まぁゲームの話だし、いいか。
「じゃ、とりあえず家、来ます?」
「う、うむ。こんごともよろしく、だな」
『ありゃー、お持ち帰りですよハナコさん』
『あはは、なんでこんなことになってるんだろーね。なんか面白いからこのまま見守っていきましょうか』
『あははさんせーっ』
なんてこった。二人が楽しそうに見ていらっしゃる。
食事を終えた俺達は、とりあえずスレイさんを家に連れて行くことにした。
ファミリーレストランを後にして、家への選択肢を……
「リーッ!!」
選ぶ前に戦闘員に囲まれた。
「出待ちを狙われたッ!?」
「リーッ!!」
「見付けたぞドクターッ! まさか処刑をまぬがれるために逃げだすとはな!」
そして戦闘員たちを掻きわけるようにやって来たのは一人の怪人。
えーっと、テントウムシ怪人? なんか弱そう。
「天道虫男、お前が追手なのか」
「そういうことだ。貴様が一番最初に手掛けた俺の手で、引導を渡せと首領はお達しだ」
とりあえず、こいつをぶっ倒してしまえばいいわけだ。
戦闘員の数もイベントだからかそこまで多くないし。相手のレベルは?
名前:ハルカワ イチロウ
種族:怪人 クラス:改造人間
二つ名:恐怖・天道虫男!、秘密結社アルセーヌ怪人
Lv:15
HP:993/993
MP:50/50
TP:120/120
GP:21/21
状態:普通
技スキル:
???Lv18: ???
???Lv15: ???
???Lv14: ???
???: ???
???: ???
???: ???
レベルは蜘蛛怪人より1だけ高いのか。
初の怪人にしてはレベルが低いのか、それとも初期怪人にしてはレベルが高いのかはわからないけど、十分倒せるレベル帯だ。
新年明けましておめでとうございますっ。
初投稿でお持ち帰りってどうなの? と思いつつ投稿です。




