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713.廃図書館3

「ちょうどいいや案内人君。ちょっと考え事しててね。悪いんだけど驚かずにこれ、見ててくれない?」


「はぁ、なんです?」 

 

 しばし、二人でマップを見る。そしてまたあの現象。

 これで合計三人死んだことになる。

 死んだの誰だ?


「……これ」


「どう思う、というか言わなくていいぞ」


「あー、はい、そうですね。しかし、そうなると……結構ヤバい状況ですか?」


「だろうなぁ。どうしたもんか」


 二人して同じ結論に辿り着けたようで、むぅっと唸る。


「とりあえず、これ以上トラップに掛からないよう全員で行ってみるか?」


「あまり得策じゃないですね。今まで通りの探索にしておきましょう」


 やっぱり変に意識して変えてしまうと向こうも違和感を覚えるか。

 数人、まだ犠牲が出るだろうけど、それで進むしかないな。


「方法、考えないとですね」


「さて、どうすっかな」


 全員が集まってくるのを待つ。

 ツチノコさんが二匹ともいない。

 幸運持ちのはずなのに即行死に戻っていらっしゃる。


 三部屋めに向かう。

 ここは通路か。

 さすがにここでは死に戻る奴はいないと思いたいが……


「ここ、部屋の前に数字が書かれたプレートがありますね」


「とりあえず最初の1から入るか?」


 数字、か、嫌な予感するな。

 よし、ユウキさん入ってみてくれ。


「あん? まぁいいけど」


 と、ユウキさんが部屋に入った瞬間、扉が消えた。

 ユウキさんが死に戻ったことがテイムキャラ死亡として俺に伝わる。

 人数入れたらそいつら全員死ぬ即死トラップかよ!?


「え、ここの人数入るごとにそのメンバー死ぬの?」


「あそこの扉、開く気配ないですね。もしかして生贄を選べってことでしょうか?」


 ……いや、違うな。ここがただのダンジョンならそれでいい。

 おそらく廃図書館自身が敵だからそうやって人数減らして弱くなったメンバーが最後の扉開いた時点でそいつらも食らってお陀仏、がメインルートって奴だろう。

 となると、他の方法で奴の心臓部に辿り着くしかないんだが、下手に部屋に入ったら出られなくなりそうだしな。

 どうしたもんか。


「案内人君。俺罠だと思うんだが」


「僕もそう思います。ここで味方を生贄にするグループならそれ相応の罰としてあの扉の先も死に戻り確定だと思った方がいいですね。他にルートないでしょうか?」


 とりあえず、ということで俺たちは通路の奥まで調べていく。

 ないな。こりゃこのまま詰む奴じゃないか?

 しかし、運営がただ詰むだけのダンジョン造るかな?

 何かしら方法はあるはずだ。


 んー。

 ダメだ。正攻法では死亡フラグしかない。

 案内人君、どう?


「ダメですね、僕も正攻法で何かしら対策は考えつかないです」


 だよなぁ、正攻法……じゃあ、正攻法じゃなければ?

 俺は自身の二つ名を入れ替える。

 外道には外道の考え方がある。

 相手が外道な方法を用いてきているのだ、正攻法で何とかしようとしていることが間違いではないか?

 では外道的な方法なら何がある?


 二つ名のストックは五つ。

 極悪非道とフラグクラッシャー、あえて道を踏み外した者を入れて。残るは極道少年、それと、これが美味く作動すればいいんだが。悪魔を手玉に取った者を選択してみた。

 さて、これでいい感じの方法考えつくかな?


「うん、いろいろあるなぁ。よし、じゃあまずはアレだ。サユキさん、そこの扉開いてスキル私を食べて」


「あいよー。これ投げればいいんやね」


 扉を開いて料理下手Sで作成された黒色物質を投げ入れる。

 この私を食べてのスキル。狙った相手の口へと必ず入ってくる必中攻撃だ。

 まずは一番試しやすく安全な方法から試すことにした。

 これならただ変な物体を部屋に投げただけ、と思えるだろうし……っていきなり変化が。


「ブレイド必殺をあのドアに叩き込んで! コトリさんは結界と共に周辺の大地をテリトリーに!」


「皆さん急いでコトリさん周辺に集まってください!」


 俺と案内人の言葉に、戸惑う奴はいなかった。

 すぐさま動き出した皆がコトリさんの傍へと集結し、結界が俺たちを覆い尽くす。

 さらに結界の先へと張り巡らされるコトリさんの呪詛台地。

 徐々に広がるその悪意に驚く皆。その周囲で通路や部屋がうねりだす。


「な、なんだ!?」 


「皆さん落ち着いて! 敵は廃図書館自身です!」


「っし、サユキさんの猛毒が効果絶大だぜ!」


「ウチ、めっちゃ複雑や……」


 他にも能筋方法として扉壊してしまうという方法もあるし、エルエさんを巨大化させてここを破壊するのも……破壊、ありかな。


「ブレイブ・ブラスターッ!!」


 一直線に光が走る。

 廃図書館を貫くように、目の前の扉が消し飛んでいった。

 どうだ廃図書館!

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― 新着の感想 ―
[一言] スキル私を食べてで生まれた物質を呪物扱いでコトリさんに取り込ませたらどうなるんだろう
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