710.市立図書館5
一度集まりを解散させ、俺は皆と共に地下書庫へとやってきた。
正直に言えばもうちょっと残ると思ってたんだけどなぁ。
まさかここまで一気にプレイヤーがいなくなるとはなぁ。
まぁいいや。とりあえず地下書庫へとやってきた。
市立図書館の地下書庫なのでそこまで変なモノはない。
重要なモノや昔の書物、貸出が難しい発禁書物くらいだろう。
というか、あのチート級の地図が上にあった時点でここの地下書庫がどこまでやらかしてるかは……
「こ、これって読んでいいのかしら?」
「なの!」
リテアさんとなのさんが書庫の一角に存在していた死海文書なる書物を見て震えている。
「ちょ、ちょっとヒロキ、これ、普通の図書館にあっていい書物なの?」
芽里さんが戦慄しているのは悪魔の書。どうやら悪魔召喚陣が書かれている書物らしい。
せっかくなので手を取って見させてもらう。
キマリスさん、この魔法陣合ってる?
「あってるよ少年君。コレ全員分載ってるねぇ。ナァマのはないけど」
どうやらソロモン王が召喚した72柱の召喚陣が網羅されてるようだ。
よし、出番だエルエさん!
「了解。速読記憶開始します」
ぱららららっと本をめくって一瞬で読み終える。
「記憶完了デす。キマリス魔法陣は、こうです」
「よし、これで自由に悪魔呼び出せるな。天使の方もないかな」
「さすがに天使の魔法陣はないっすよ」
『あら、ここにあるみたいよ』
「ナイスハナコさん! エルエさん頼んだ」
「ふふ、面白そうだしぽちも覚えてくれる?」
普通なら覚えて描いて召喚魔法使って、生贄用意してっとなかなかに面倒なんだけど、俺やリテアさんは古代兵器というメモリ内蔵機械生物をテイム済みだからな。
彼らに最初の覚えて描いてをやって貰えば、俺らはその魔法陣使って呼び出すだけでいいのである。
「これで生贄がいるけど天使と悪魔の呼び出しが可能になったな」
「ヒロキ、お前そんな召喚生物増やしてどんだけ軍隊強化すりゃ気が済むんだ?」
「ユウよ。わかってないな。ドール迎撃に強力な個体は何体存在してもいい。俺としても鞍馬天狗とかヤバい系の存在を引っ張るつもりだからな。この後木っ端や烏天狗も増えていくはずだ」
「シャー!」
「ん? どうしたツチノコさんたち。ここの本? おお、世界の蛇図鑑。いやなんでだよ」
とりあえず見てみたけど、どうやらこれ、ツチノコさんたちの進化先を増やすためのものらしい。
俺の知らない蛇とかいろいろ載ってた。
「結構為になりそうだな図書館」
他にもいくつか見れそうな本があるのだが、時間的にそろそろ廃図書館に行きたいところだ。
「残りはまた後日各自で調べるってことで、今日は廃図書館に行くか」
「そうかぁ。んじゃ俺らはここで別れだな」
「ユウたちこれから用事あるんだっけ?」
「そういうこと。図書館内だからここまでは来たけどな。廃図書館の方にはさすがに行けそうにない」
「天界の時には行くからね」
「俺は暇だけどよ、さすがにこいつらと別行動で俺だけスキル増えてもアレだろ」
「そんなこと気にしなくていいぜ? ヒロキの奴気にせずあんなレベルになってるし」
「俺が気にすんだよ。ヒロキみたいな外道と一緒にすんな」
俺そんな外道かな?
「あら、ハナコ見て見て、世界のトイレ大全」
『あら、それはしっかり見ないと。へー、こんなトイレもあるのねー』
って、ハナコさんが本を見始めた!? テケテケさんと楽しそうに一ページ一ページめくってるからしばらくかかるぞ。
「よし、廃図書館は後回し、もう少し本読むか」
「お前ほんといい性格してるよな」
「じゃああの辺りの本見てこよっ」
「あら。妖精が読める本もあるじゃない。品揃えいいわねー」
「たまには皆で来るのもいいな。おらに読める本あるかなぁ」
「絵本でいいのではないか? そこにあるだろう」
「お、ほんとだべ。テインも一緒に読むだ」
「わ、私はいい、そういうものは読ま……おい、掴むな!?」
俺がもうしばらくここにいることを選択したせいか、他の皆が本を読み始めた。
コトリさんは何か見るもんある?
「私はもうこれ以上の強化は無理でしょう。読む物がありませんし」
ネクロノミコンとか死者の書でも読むほどの存在じゃなくなってしまったか。
呪い関連はもうハッカイ超えて強化されたから限界突破済みだもんな。
「本当に読める本ないの?」
「ここにはありませんね。呪いの本でもあればいいのでしょうけれど、廃図書館にあるといいのだけれど。せっかくですし、お隣いいですか?」
「図書館で悪いけど、それでよければ」
さすがにこのメンバーで図書館デートなんて言える状況じゃないのだけれど、コトリさんは隣に居れるだけでご満足らしい。




