708.市立図書館3
予想外にいいもの見つけたな。
この世界の地図で、しかも主要なイベント個所がしっかりと載っているのがいい。
俺が行くべき場所が大体載ってたし。
あと泥船とかいうアイドル事務所の場所もわかった。
これでディーネさんのアイドルデビューができるだろう。
しかし、なんでこの泥船からのアイドルデビューが一番いいんだろうな?
名前からしてぜったに乗っちゃダメな船なのに、意外と大手なんだろうか? それとも、いや、まさかなぁ。そんなコトしないと思うけど。可能性は捨てきれんな。
あと、天界の地図も手に入ったからユウたちの助けを借りなくても天界には行けそうだ。
英雄伝承に関しては皆別々の物語らしいので、各自別途で向かうことになりそうだ。
俺はまぁ、幾人かのイベントに同席させて貰うだけにしよう。
秘密結社の場所もわかったし、廃図書館の場所も確認できた。
あと新しくアガスティアの葉の場所が分かったけど、コレ必要かな?
でも未来のことが分かるというのはちょっと気になるところだ。
時間があるようなら向かってみるのも悪くないな。
「そろそろ一旦皆で集まるか?」
「そうね。そろそろいいんじゃないかしら?」
なぜか近くにいたマイネさんからお返事いただいた。
なんで俺の背後から声掛けてくるかな。ちょっとビクッとなったじゃないか。
時間的にもゲーム内で一時間程経過していたので、大人数用の机周りに集まり、作戦会議を始める。
と言っても基本プレイヤーが方針を決めるわけなのだが……
「んじゃま、騒がずいろいろ決めようぜ」
「ヒロキ、その本は?」
「借りる予定だな。意外と気になる本があってね。ハナコさんの妹とかご両親が出てくる小説なんだ」
『あら、お父さんとお母さんに会いたいのヒロキ?』
「え? もしかして本当にいるの?」
『いるわよ。多分別の学校にいるんじゃないかしら? 親戚に太郎君や次郎君もいるし、同級生の闇子さんもいるからトイレの怪異として集まると結構賑やかなのよ』
「そ、そうなのか。ハナコさんにご家族が……」
これは、全員に会わねばならんではないか。
ぬはははは、ご家族にご挨拶周りか。七不思議調べる過程でおそらく出会うだろうし、準備しないとな。スーツ、買って来よう。
お父様に娘さんをくださいって挨拶しなきゃだし。
『ヒロキ? なんか変なこと考えてない?』
「まさか? きちんとご挨拶しておかないと、と思っただけさ」
そうかそうか、ご両親いるのか。
え、なんで別々の学校のトイレに出没してんの?
どこに誰がいるかわからない? 全部回ってかないとダメな奴じゃん!
まぁいいか。どうせ回らなきゃいけないわけだし。
目的が一つ増えただけだな。
「さ。それよりヒロキ、この先どーすんだ?」
「おっとそうだった。んじゃま、まずは皆にコレ送るな」
ゲーム内携帯電話から皆に地図を送る。
「これは……」
「うっそ、すでに秘密結社の場所書かれてるじゃん。なにこれ? 攻略本?」
「モヒカンズが見つけたんだ。正直ここまで凄い詳細地図があるとは想定してなかった。でも、運営から修正が出てない以上はこれは図書館に来て地図を探した奴の特権って奴になるんだろう。ともかく今はこれを基にして目的地に向かおうと思う。んで、俺の方針としてはまず一日目は泥船に向かう」
ディーネさんが拳を握ってガッツポーズ。
ずっと待たせてしまってすまない。
ちゃんと向かうからな。異世界召喚とかに巻き込まれない限り。
可能性があるだけにちょっと否定しきれないからなぁ。
異世界にきさらぎ駅にと変な場所行かされてるから他の場所行かされないとは限らない。
ありそうなのが地下帝国とか。タイムスリップで古代文明世界とかやりそうだよなここの運営。
もしかしたらイベントとして考えてるかもしれないからできるだけそういうのに関わらないように気を付けないと。俺が関わってしまうとイベント潰しまくってしまうらしいからな。
このゲームの寿命みたいなのが削れて行っちまうのは俺としても避けたいところだ。
そう考えると、デスゲ委員会とかは潰さない方がいいのかもしれない。
いや、やっぱあれは残しとくだけ害悪だし早々に潰そう。
「ってことで、泥船次第だけど、だぬさんと協力してデスゲ委員会潰そうと思うんだ」
「ほほぅ」
「そろそろ俺も決着付けたかったからな。賛成するぜヒロキ」
どうでもいいけどだぬさん今日朝以外にログインしてて大丈夫なのか?
まぁいいや。多分大丈夫なんだろう。ご家族に内緒でログインしてないことを祈っておくよ。
「それと、並行して他のメンバーに頼みたいんだけど、俺が泥船とデスゲを攻略してる間に秘密結社の状況調べてほしいんだ。もしかしたら前回みたいな全員参加の大バトルになるかもしれないし」
「まぁ、この付近の二大勢力だしね。十中八九そうなるんじゃない?」
「そりゃキツいな、第四イベント向けて皆独自のレベルアップやスキルアップに勤しんでるのに団体戦参加しろってのはちょっとどうなのかと」
「まぁそうなんだけどね。一応正義の味方たちには俺の方からこの地図伝えてみようと思う。もしかしたら何かしらの対策打ってくれるかもしれんし」
ってことで、最初の方針が決まった。




