707.市立図書館2
「あらヒロキ。こっち来たの?」
「芽里さんとメリーさん。ここは……歴史関連か」
「ええ、英雄関連の何かあればと思って」
「有名どころはあるんだけどねぇ。ヒロキさんなんかありました?」
日本史の書棚付近にいたのは芽里さんとメリーさん。そしてりんりんとレイレイである。
「私たち見つけたのはこれある」
「えっと、この火焔娘々とかいうの知ってる?」
「いやー。ネットで調べたけど、多分オリキャラじゃないかな?」
「この近くの山に入って消息不明になった人ある。中華だし私専用アイテムとかなんかないあるか?」
「わからんけど、行くだけ行ってみるのもいいんじゃね? 場所は……あれ、これ巨頭オ村じゃ……」
俺が思わず口に出した瞬間、りんりんとレイレイがバッとこちらを見る。
「ちょっとヒロキさぁん、場所知ってるの?」
「はは、なんのことやら。おっと俺も書物発見。これは何の英雄かなー」
【世紀の大悪党アンドロス大橋の生涯】って、誰だよ!? しかも大悪党ってなんだよ!? 英雄の話じゃないのかよ!?
「うっわー、ヒロキさんっぽい」
「それ絶対ヒロキさん専用武器あるな」
そんなわけあるか。
あ、いや、プレイヤー次第で英雄の書物が変わるなら自分の能力に見合った武器防具が見つかるようになってるのかも?
ま、まぁ物は試しだ、読んでみるか。
とりあえず最初を呼んでみたが本当に生まれてからの生活だったので、パラパラ読みで全部読み終え、最後の方だけちょろっと見る。
英雄最後の地にアイテムが埋まってることが多いんだ。場所は……ん? これって確か、あの廃神社の場所じゃね?
今の家になってるUFO発見となる原因になった廃神社。
ふむ。せっかくだからそこも行ってみるか。
あの神社のどこかに埋まってんのか、ご神体がそれなのか。
さすがにご神体は奪いたくないなぁ。
芽里さんたちはもう少し日本史を探るらしいので、俺は別の書棚へと向かう。
ここは、経済か?
何でこんな場所に屯ってんだ下っ端共。
「ひゃはは、見ろよォヒロキィ。この世界の地図載ってんぜぇ」
「なんと俺らの行ける場所しか載ってねぇんだけどな」
「そして普通に経済流通で載ってる魔界と天界よ」
「異世界に関しても地図あるぞ。なんだここ?」
いや、ほんとなんだこれ。
経済棚にある地図見るだけでこの世界にある全ての場所が網羅されてやが……おい、妖精郷の場所まで普通に書かれてるぞこれ。写メ撮っておこう。全ての隠された場所書かれてるじゃん。いいのだろうか?
「これ、秘密結社の本拠地まで書かれてるんだけど?」
「お、おおぅ。見つけたのァ俺だけどよ、さすがに怖くなってきた」
「これ、見つけていいやつだったのか?」
「ま、まぁ運営が作って置いてるんだから問題ねぇんだろ」
「つか秘密結社の場所だけじゃなくマンホール人の生活場所とか真っ黒いジュース売ってる自販機の場所とか宇宙船発着所とか絶対にバラしちゃダメなの普通に載ってるんですがァ!?」
まぁ運営から何かしらの編集が入らないならこれは見てもいい奴だろう。
しかし、まだ行ってない場所に結構知られてないイベントあるんだな。
あ、デスゲーム委員会本拠地めっけ。
そーかそーか。
「あ、だぬさーん」
「あぁん? どうしたヒロキ? 地図? その指さす場所に何か……」
俺とだぬさんは顔を上げ、ニヤリと笑みを浮かべた。
「ヤベェ、悪役とラスボスが悪行考えた顔してる」
「お、俺らじゃ辿り着けねぇほんまもんの悪人面だ」
「ヒュー、そこにシビれる憧れるっ」
「お、見ろよお前ら、ここにバイク店があるぜ!」
「まじか!? アレだけ探してなかったのに、あるのかよ!」
「ひゃはは、これで俺らもバイク乗りだぜぇ!」
「縄買わないとなぁ。縄投げの練習しとくぜオルァ!」
お前らはどこを目指してんだ?
「ヒロキ、悪りぃが俺らはこれからバイクを買いに行く」
「止めんじゃねぇ、男にゃぁ行かにゃならねぇ時があるんだ」
よっぽどバイクに乗りたかったんだろう。あとお前は女だろ。
ひゃっほーう、とスキップしながら図書館から出ていく下っ端四人組だった。
俺とだぬさんは不思議そうに顔を見合わせ、どちらからともなく解散する。
さて、次はどこに向かおうか。
神秘系の棚に妖精さんたちがいるな。
せっかくだしその辺りから調べてみるか。
妖精さん以外にはニャルさんたちもいるし、どうやら皆で一つの本を読んでいるらしい。
こっちからじゃタイトル見えないけど、すごく真剣そうだからそっとしておくか。
俺、神秘系書棚からは矢印見えないしな。
よし、回れ右。次は世界史方面に向かってみよう。
誰がいるかなー。お、スレイさんとカルカさんだ。マイネさんもいるな。あんまり近寄りたくないぞ。




