68.輝君と禁則事項
神社から小学校へと戻ってきた俺は、適当な教室に入り込み、そこに座っていた輝君の元へとやってきた。
気さくに話しかけてくる輝君なんだけど、やっぱり他に誰もいない教室に一人居る姿は結構恐怖だ。
「やぁヒロキ君。今日はどうしたの?」
「えっと、いくつか質問があってさ。なんかユニコーンの角貰ったんだけど」
「へー、ちょっと見せて貰ってもいい?」
輝にお願いされたので角をアイテムボックスから取り出して見せる。
「うわっ、すごい。これ本当にユニコーンが気に入った人にしかくれない角だよ」
「使い方とかってどうすればいいの?」
「普通に使用するなら角を削って粉にするんだ。粉を丸薬か水に溶かすと霊薬の完成だね。普通はそうすることで大量の回復薬を手に入れるんだけど。これだけ立派な角だと杖にしちゃうのもありだよね」
「杖?」
「ユニコーンロッドっていうんだけどね。魔法威力を増加させる効果と、MP消費軽減。あと初級魔法を覚えてなくても使える、だったかな?」
それすっげぇ壊れ武器じゃないですかね!?
魔法、知り合いの誰も使えないけどな。
でも、魔法か。その内覚えるかもだし、この杖手に入れれば初級魔法俺でも唱えられるんだよな。奇跡の薬よりこっちが正解だろ! いや、奇跡の薬も欲しいけども。
「でもユニコーンロッドって何処で創れるんだ? 自分でやるのは無理だろ?」
「鍛冶屋だよ? えーっとこの付近だと」
地図が出現し、俺達の目の前で赤い点が一つ点滅する。
「この辺りかな?」
商店街の奥まった場所にあるようだ。
この付近は行ってないな。後で行ってみるか。
「でも信頼出来る鍛冶屋じゃないと素材だけ奪われるから気を付けてね」
「え、そんなこともあるの!?」
折角の素材を持ち込んだのに奪われるとか、最悪じゃん。
「鍛冶屋はいくつかあるんだけど、いろいろ条件とかが違うんだよ。店員さんとか店長とかでも対応が違うからね、そこを見極めて依頼をするのもプレイヤーの醍醐味でしょ?」
そんな醍醐味はいらないので普通に優良な店紹介してほしかった。
「あ、でも知り合ったNPCから紹介される店はかなり優良が多いよ? その人が騙されてなければだけど」
結局信頼しきれない情報ですね、ありがとうございます。
「んじゃ次の話。輝君なんか脅かし役に的役な存在しらない? 人間じゃ無くて人外込みで、肝試しの脅かし役によさそうな存在をスカウトしたいんだ」
「うーん? 東の山の峠とか? トンネルとか? あと廃病院? 墓場とかにもいるかな? それから海とか、いろんなところにいるから一概に何処とはいえないんだけど。脅かすだけなら妖怪とかの方が得意なんじゃないかな? 妖怪は基本暗がりとか路地裏とか人の行かないような場所にいるよ」
ずいぶんぼかされてるなぁ。
これ以上聞いても無理そうか。
つまり、自分たちで歩いて調べろってことだな。
とりあえず峠とトンネルと廃病院、そして墓場か。
墓場はお寺にあったからまずはそこだな。
和尚さんにも聞いてみるか。
「じゃあ次は、ここにいるウンディーネさんについて教えてほしいかな」
「え? なになに、ディーネのこと知りたいの? いやん。マネージャーさんったら。アイドルの履歴は秘密なんだゾっ」
「精霊ウンディーネかぁ。水場の中でもかなり神聖な場所に住み付く精霊の一種だね。水場の精霊はルサールカとかニンフとかいろいろいるんだけど、ウンディーネがいる泉は聖水になるらしいよ。不浄の存在に特攻がかかる水だからハナコさんとかに当てるとダメージ入るかな」
「いきなり昇天するわけじゃないのか」
「神域じゃないからね。でも精霊がいるってことはそこの泉は人の手が入ってないんだろうね」
森の中でも結構奥まった場所だったしなぁ。
「ウンディーネは水属性の精霊だよ。精霊と契約することで水の魔法を扱いやすくなるし。魔法を使えなくても水魔法を使えるようになる。他には、精霊の姿が見えるようになるし、精霊の気配も感じられるようになるかな? あと、好感度を上げておくと精霊王と会う可能性もでてくるかも?」
いろいろメリットしかないんだなぁディーネさん。
「とはいえ、精霊は妖精と同じようにいたずらが大好きだからね。好感度が上がるほど過激ないたずらをされるから気を付けてね」
デメリットが酷かった!?
「あとウンディーネにもいろいろ性格はあるんだけど……なかなか特殊な性格みたいだね。彼女の求めることを行っていけば好感度は早く上がりそうかな」
求めることっていったら、アイドル系の仕事か?
そんなのできるんだろうか? テレビ局とか行ったら可能かな?
「そんじゃ最後の質問。さっき相撲好きのおっさんと知り合ったんだけどさ。タヂさんっていう……輝君?」
「……ごめん、それは禁則事項みたいだヒロキ君。僕からは何も言えないよ」
なんか凄い鎮痛な顔で説明するの否定されたんですが!? タヂさん何者!?




