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662.第三回イベント、運営は死に体だ

「どう、なっている?」


 その光景を見て、室長は震えていた。

 本日、イベント19日目、時間としてはイベント時間が半分過ぎたころだろうか?

 ここでまさかのティリティさん、ディーネさん、稲荷さんが一気に脱落。

 残るはコトリさんとルルルルーアさんの二人だけ。


 まだ19日である。

 あと二日と半分のイベント期間が残っている。

 先ほどまであんなにヒロキまで辿り着くプレイヤーいるのか? と不安げになっていただけに、この光景は彼にとって想定外だった。


 ヒロキチーム、まさかの劣勢。

 残り期間をたった二人のボスで耐え切らなければならない。

 当然、プレイヤーたちはもはや分散の意味もないので一極集中してくるだろう。

 コトリさんがどれだけ耐え切るか。そしてルルルルーアさんがどれほど耐えきれるか。

 それ次第では昼からの20日目イベントでこのイベントがプレイヤー側勝利で終わってしまいかねない。


 ヒロキの言う通り、少しでも気を抜けば一気に不利になる状況であった。

 戦いの天秤はせわしなくプレイヤーとヒロキチームで揺れ動き、いつ一気に傾いてもおかしくない状況。

 これはこれで非常に不味い。


 イベント最終日まで持たないとなればさすがにクレームになりかねない。

 どうなのだ? どうなんだ? ヒロキチームはあと二日半、耐えきれるのか?

 ティリティさんがプレイヤー側に寝返ったせいでコトリさんのHP消失率も急激に上がっている。

 レベル差こそあるものの、やはりショゴスロードのティリティさんが相手となると、ダメージ効率もだいぶ上がるようだ。


「これ、不味いんじゃないか?」


「そっすねー、今度はヒロキチームが早々に敗退する危険にハラハラドキドキっすねー」


「ヒロキさんといえば、先ほど共同で作っておいた今までの映像ハイライト、カッコイイバージョンと滑稽バージョン作り終えましたよ。イベント終了後の打ち上げで披露しようぜってことですけど、いいですかー?」


「打ち上げって、いつやるんだ?」


「イベント終了後にこのヒロキ城ステージ使って後夜祭することに決めました。あ、これ企画書なんで社長の方に通しといてください室長」


「え、ねじ込めと!?」


「こんだけ盛り上がったら後夜祭もあった方がいいっすよ。せっかくなんで各社メディアの方にも送っちまいましょう招待状。盛大にニュースにしちまいましょうぜ」


「いやほんと、これだけのことしてもプレイヤーからクレーム一切ないから大成功ですよ室長」


「ここでデデンっと世界中に発信しましょう後夜祭」


「う、うーん。ま、まぁそれなら最悪ヒロキ君が即行落ちても後夜祭ハナコさんたちに歌って貰えばクレームにはならないか」


「そうそう、ヒロキにクレーム集中はあるかもですが俺らには……うわぁ、コトリさんそれはさすがにどうなのさ!?」


「は? どうし……は、はぅっ!? 心臓が、心臓がぁ!?」


「室長また過呼吸っすか!?」


「もうそのネタいいですからこれ、社長に通しておいてください」


 ネタじゃない。そう伝えたい室長だったが、社員の一人が企画書を持ち出し、無理矢理室長に手渡すと、彼を無理矢理部屋から押し出した。


「あとこれ、胃薬です」


「まったくリンフォンが空中で自動展開され出したくらいで過呼吸にならないでほしいですね」


「さすがに10個のリンフォンが自動高速展開は酷いけどな」


「しかも片っ端から収納始めるプレイヤーたちもすげぇよな。理不尽に対応してやがる」


「徐々にプレイヤーが集まって来てるおかげでコトリさん周辺も片付きだしてる」


「これ、今日中のコトリさん撃破、ありうるんじゃ……」


「え? じゃあ残り二日ルルルルーアさん一人で持たせるの!? 無理じゃない?」


「無理でもやるしかないんだろ。ヒロキ君も言ってたろ、プレイヤーが強すぎるから気を抜いたらヤバいって。本当ならコトリさんは最初の数日を防衛するはずだったんだ、それが半分以下の時間で突破されてここに至ってる。おそらく彼も相当焦りを覚えているはずだ「えー、それにしては昨日までの間に映像編集嬉々として手伝ってくれてたけど。コトリさんに開幕ぶっぱされて全滅するプレイヤー軍団ワロスとかいってたし」……はずだ」


「ちなみに、ヒロキ君なんだけど、今は自分の城にある玉座前でころころ転がって遊んでるぞ?」


「暇人かよ!?」


「暇人だろ。間違いなく」


「誰かが辿り着くまで暇だもんな」


 やることがないヒロキ、今までは味方であるテイムキャラたちと会話していたりで暇潰ししていたのだが、すでにルルルルーアさんも配置についてしまい、彼の傍には誰もいなかった。

 つまり、映像見る以外何もすることがなく暇である。

 かといって彼がいる場所まで誰かが来るかもしれない可能性を考えるとこの場からログアウトしておくわけにもいかない。

 よって既に取り終えた動画の編集を手伝うか、こうして暇潰しにごろごろしているしかできなかったのである。

 どうでもいいが、今はヒロキ城端から端までごろごろしてみた件、の映像取りの最中である。

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