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65.え、そっちが味方になるの?

「ヒヒーン」


 泉の向こう側で馬がいななく。

 なんだよぅ。別に邪魔してはないだろ?

 わいわいしてる訳でもないし話声もそこまで煩くしてないぞ?


「馬が何か訴えてるんだけど、誰か馬語分かる人いる?」


 ハナコさんは首を横に振る。

 テケテケさんは首をそむける。

 稲荷さんはむーっと唸る。

 そしてツチノコさんが小首を傾げた。

 首、どこだろう?


 ただ、この馬。普通の馬じゃないっぽいんだよな。

 真っ白いし、なんか角生えてるし。

 ……角?

 んん? なんかその特徴知ってるような?

 まぁ思い出さないんだし大したもんじゃないだろ。


「待たせた」


 イケメン河童がざばぁっと自ら顔をだす。

 唐突だったせいで思わず体がびくっとなった。


「どうどう? テイムされてくれる人いた?」


 テケテケさんステイ。


「とりあえず興味を覚えたメンバーがいたので連れて来た」


「お、おお。ありがとです」


 まさか本当に仲間連れてくるとは思わなかった。

 イケメン河童が紹介する、と告げた瞬間、ザバザバザバっと一気に顔を出して来る河童たち。


「右から岸涯小僧、水虎、河化かべっけ、祢々子河童、九千坊だ」


 よくわからんがとりあえず河童の亜種とか階級とかが違うようだ。

 あ、でも祢々子河童は知ってるぞ。女性の河童だって……い、う……全裸じゃねーか!?


 ―― はいはい、垢BAN案件だけどラッキースケベ持ってるから見逃しますよーだ ――


 誰だよっ!? っていうかそれ告げなくても良くないですかねぇ!?

 いや、いきなり垢BANされるよりはマシか。

 というか、相手が全裸なだけで見ただけで垢BANはさすがにどうかと思います。


「大丈夫よヒロちゃん。ヌエは遊んでるだけだから。相手が見せて来た場合は基本そういうの無いから。相手がプレイヤーの場合は相手だけが対象なのよ」


 マジっすか。ヌエさん何してくれてんの、俺めちゃくちゃ警戒しまくってるんですけど!?


「と、とりあえず気を取り直して、カッパさん、この面子が仲間になってくれるの?」


「あ? そんなわけないだろう人間め。ツチノコの頼みだから仲間に声を掛けただけだ。人間を見たいという奴がここに来ただけにすぎん。交渉は自分でやれ」


「あ、そういうことっすか」


 つまり、人間に興味を覚えてやってきたメンバーの中から俺が交渉してOK貰えればテイム出来るってことらしい。


「えーっと、とりあえず一人一人聞いてみるか。まずは岸涯小僧さ……」


「オレ、オマエ、マルカジリ」


 あ、これダメな奴だ。


「おかえりくださ……なんか襲ってきたァ!?」


「はーい却下ぁ」


 川から跳びかかってきた岸涯小僧。即座に動いたテケテケさんが鎌を振るって首を狩る。

 殺しちゃっていいんすか!? あ、いや、誰も気にしてないっぽいからいいや。


「水虎さんは……」


 なんかおいでおいでしてくるな。泉の中に入れってことだろうか?


「やめておけ人間。水虎に水中へと引き込まれれば精血を吸われて死ぬぞ?」


 うっわ、危な!? なんでそんな生物連れくんの!?

 水虎はイケメン河童になんで告げた!? と抗議の顔を向けた後、舌打ちしてそのまま泉の中へと消えていった。

 思い通りにならず怒って帰ってしまったようだ。


「次は、河化? さん」


「おーい、おーい」


 あ、これも水虎と同じ感じだ。泉の中に呼び込もうとしてやがる。

 白い目でイケメン河童を見ると、彼も困ったような顔で肩をすくめた。

 くっそ、その肩すくめるのなんか絵になるな、イケメンめっ。


 河化にはお帰り頂き、俺としては一番テイムしたい可愛らしい河童さんへと視線を向ける。

 祢々子河童は待ってましたとばかりに泉から上がって僕の前へとやって来る。

 無駄に大きな胸がぶるんと震えて目のやり場に困る。


「おらは祢々子だ。テイムされるのも吝かじゃねぇが、おらは強い奴が好きだ。相撲でおらに勝てたらテイムされてやるだぁよ」


 自信満々に告げるネネコさん。おかっぱ頭にお皿の女性はぬっはっはと豪快に笑ってこちらの返答を待つ。


「あの、さすがに俺だとネネコさんと組み合うだけで垢BAN喰らって消えるんですが」


「あー、ならテイムしたモン相手でもええだ」


 うーむ。この面子で相撲勝てそうなの、いるかなぁ?


「少々卑怯だが、儂がやろうかの」


「稲荷さん!? だ、大丈夫?」


「うむ、ただし、祢々子よ。可能であれば儂の全力で相手がしたいのだが」


「うん? おらも強い奴と相撲できたほうがええだ」


「すまんがここの神社まで来てもらえんかの。儂の本体がそこにおるでな」


「おー、ならさっそく向うだ」


 え、ちょっと、ネネコさん!?


「祢々子に関しては儂が勝ったら自動的にテイム可能になるでな。ここでの交渉が終わったら来るが良い」


 なるほど。じゃあネネコさんはテイムの可能性が高いと思っていいんだね。

 じゃあ後は九千坊さんか。


「ワシ、祢々子を仲間にするつもりなら仲間にならんぞ。あいつと一緒などやっとれるか!」


 って、帰った!?


「九千坊は前に祢々子に負けたことがあってな。ことあるごとに突っかかっているんだ」


 結局ネネコさん以外全滅じゃん。結果待ちだし負けたら誰も仲間にできねぇ!?


「あはは、じゃあ私がテイムされてあげるー」


 ―― ■■■が仲間になりたそうにしている、テイムしますか? ――


 おお、テイムされてくれるのか! YESで!

 って、待って、名前、名前表示されてないんですけど!? どちら様!?

 

 ―― ウンディーネが仲間になった! ――


 どこにいたのっ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 見事に女しか引っ掛けないな……。
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