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637.第三回イベント、十九日目狐と精霊の輪舞1

「おはー」


「おぅ、マイネ、今日は一日休み取ったぜ!」


「おおぅだぬさんじゃん。久しぶりに見た」


「おー、だぬさんじゃん、そういや朝しかログインできないんだったな。今日は一日か、よろしくー」


「未知なるモノたちは連戦してんだって? よく一日三回のイベントに出れるな」


「ニートなんでしょ、ここくらいしか居場所がないのよ」


「誰がニートだ。自由業だよっ!」


「農家なのである程度時間に都合が付くんです」


「お、未知なるモノに格ゲー少女」


「何々、格ゲー少女ちゃん何で知って……まさか、付き合ってんの!?」


「あ、従兄妹です」


「そっちかぁ」


「この事実、多分炎上するぞ……」


「そうかぁ?」


「お前ら付き合ってる説が結構流れてたからな。もしかしたら格ゲー少女の方に付き合ってくださいメールが大量に来るかも?」


「そこらで聞いてる人が驚いてるしねぇ、多分今頃スレで人気爆発よ」


「うひぃー、そういうの間に合ってるんですが、未知なるモノさんとは最近以外は小さい頃に会ったくらいでしたし。このゲームで会ったから最近実際に会いに行ったくらいですし」


「そうそう」


 当然、周囲はそんなことどうでもいいのだ。彼氏持ちだと思われた美少女アバターがフリーだった。それだけで十分話題性になるのである。


「とりあえず、今はイベントだし、さっさとイベント会場向かいましょ。距離あるんだから、ハリーハリー!」


「それもそうだな。急ごうか」


 プレイヤーたちが早速スタート地点から新たなステージへと移動を始める。


「それにしても、動画みたけどよ、エルエさんエクスカイザーは凄かったな」


「ほんとです。未知なるモノさんが巨大化できなかったら詰んでましたよ。一応今日には燃料切れになるらしかったですけど」


「それでもレイジングフォートレスだっけ。アレを体力満タンで相手しないといけないんだろ。よくやったよ。格ゲー少女」


「い、いやぁ。たまたまです。えへへ」


「タツキさんたちもすごかったですよ。ハナコさんとアカズさん相手に激闘繰り広げて勝ちましたし」


「それだったらウチのレイレイもがんばったの」


 知り合いが次々と集まってくる。

 皆の目指す場所は同じ。

 アカズさんたちのいたステージを通り抜け。

 スプリガンが見つめるステージを通り抜け。

 巨大なクレーターがステージ半分を侵略している場所を通り抜け。


 やがて至るは新たなステージ。

 壊れた噴水からは水が絶えず流れ落ち、野外コンサートステージには暇そうに足を前後に動かしてプレイヤーたちを待ち望む狐面を被った少女。


 大多数のプレイヤーが集まるのを待って、ぴょんっと地面に着地。

 顔に当ててあった狐面を頭の横へとずらす。

 ゴムを使って顔からずれないようにしていた狐面が側頭部側へと回された。


「来おった来おった。一応言うとくが、そちらに次の道がある。ここは放置してもええ場所じゃ。残るか進むか。ふふ、通ーりゃんせ通りゃんせ。そこなる道は一方通行。行きはよいよい帰りは無しじゃ。死に戻るまで戻れんぞぇ」


「なあにいつものことじゃねぇか。んで、始めるか未知なるモノよ」


「いや、稲荷さんたちは他の奴らに任せる。俺はさらに先に向かうよ。案内人はどうする?」


「あ、はい。僕も今回は先に向かいます。多分コトリさんとかルルルルーアさんとかの攻略に回った方がよさそうですし」


「了解。んじゃここは私に任せて先に行きなさい!」


 マイネさんが拳をバキリと鳴らして前に出る。


「おー、んじゃせっかくだ。俺も残ろうかね」


 未知なるモノたちと共に、先に進む者たちが、なぜか入り口に鳥居がある次への通路を抜けていく。


「あら、簡単に通すのね」


「儂らじゃとさすがに一人で全員を受け持つのは辛くての、三分の一だけ受け持たせて貰うわい」


「稲荷さんって神様だから強いのでは?」


「形代じゃと言うておろ。まぁよいマイネ、そして他のプレイヤーたちよ。ここは我、稲荷神と眷属たる風狐がお相手致そう。さぁゆるり楽しもうではないか」


 服の裾から扇を取り出す稲荷さん。

 バサリと開き、構えを取る。

 それは、まるで今から舞でも踊ろうとしているような構えであった。


「全員戦闘態勢! 先に行くプレイヤー全員があそこを通り過ぎたら仕掛けるわ」


「ふふ。そんな悠長でよいのかね? 祓い給え、清め給え、幸栄え給え。神舞踊・清浄結界!」


 ステージ全てを覆い尽くす神聖なる結界。

 何が起こった、と焦るプレイヤーたちだったが、何のダメージも変化もなかったので小首を傾げる。

 残念ながらここに霊系テイムキャラや呪い系攻撃を得意とする者はいなかったらしい。


「格ゲー少女はこっちあるか?」


「はい、稲荷さんは意外と肉弾戦特化ですから、他のメンバーよりここにいた方が戦いやすいかな、と」


「私も同じある。りんりんやなのも自分の得意そうな敵求めて先に行ってしまったから今回パーティーメンバーばらばらね」


「たまにはいいじゃないですか。肉弾戦特化同士、楽しみましょう」


 格ゲー少女とレイレイが構えを取る。

 そして、最後の先行組が鳥居をくぐり、戦いの火蓋が切って落とされた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 付き合ってると思ってた匂わせあったし 農家だったのか!
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