635.第三回イベント、十八日目呪われし旧校舎探索編10
「タツキは!?」
「トイレヶ丘が消えた!」
「ちょ、いきなり赤い部屋になったんだけど、なにこれぇ!?」
「ん、まだピンチ」
ハナコさんを撃破した。
その証拠に教室内へと場所が戻った。
トイレだらけの荒野は消え去り、開かずの間により侵食された血だらけの部屋に六名が戻って来たのだ。
ダイスケ、アパポテト、ヒナギ、キョウカ、アミノサン、そして……人面犬。
「タツキが居ない!?」
「さっきのの巻き添えで死に戻ったんじゃない?」
「やったった」
「アミノサンの魔法強力すぎじゃない? っていうか、まだ終わってないわよね!」
ソレ、は人型を形作って彼らの前にいた。
アカズさんの姿にダイスケたちは身構える。
しかし、アカズさんは困ったように壊れたままのロッカーを見る。
「私はもう、このように。すでに敗北済みよ。ハナコお姉様が居なくなった時点で死亡確定。残念だけどあんたたちの勝ち」
しかし、警戒するダイスケ達を放置して、アカズさんは光に変わっていく。
驚くダイスケたちの前で、すでにロッカーを壊され、トイレ化の身代わりスキルも破壊されたアカズさんは光と化して消えていった。
「え、マジに終わり?」
「わ、凄い、部屋が光り輝いてる!?」
「待って、確か旧校舎ってアカズさんのスキルだったよな?」
「それって……」
「まぁ一階やしええやん。ほれ、旧校舎が消えるでー」
人面犬の言葉と同時に、浮遊感を味わうダイスケたち。
一階といえども地面からは少し上部に床があったらしく、軽い浮遊感の後に地面に落下、予想していなかったダイスケたちはバランスを崩して地面に倒れ込む。
「ん、危なかった」
唯一無事に着地したのはアミノサン。
人面犬は即座にアミノサンに飛びついて落下の衝撃から身を守っていた。
「やるなぁ、さすがや嬢ちゃん」
「任せて」
光が消え去り、旧校舎も消え去る。
ダイスケたちと少し離れた場所に、地面に座り込んだり、倒れたりしているプレイヤーの面々、さすがに旧校舎が消えるとは思っていなかったようで案内人であっても体勢を崩している。
そして、バランスを崩して頭から地面に落ちたテケテケさんが首の骨でも折ったらしく光に変わるところであった。
「どういう状況?」
「あ、ああ。天井を這いながら襲い掛かろうとしたテケテケさんが天井失って落ちたんだ」
プレイヤーの一人が立ち上がりながら返答する。
まさかの失態で自滅したらしいテケテケさん。
天井から地面への落下がよほどひどい落ち方だったようだ。
「い、意外と早く決着付いたな」
「一番大変だったのがハナコさん、だとは」
「いや、テケテケさんもかなりすごかったぞ。この人数でぎりぎり耐えきれただけで」
アカズさんも旧校舎内を自由に動き回れるはずなのに、攻撃も何もせず、やられてしまっているので、よほど手加減されていたのだろう、とは思うアミノサンだったが、自分以外は誰も気付いてなさそうなので言葉にはせずに皆に合流する。
広場にはプレイヤーしかいないらしく、他のステージに向かうプレイヤーや、旧校舎に入ることなく日和見しているプレイヤーが突然消えた旧校舎と、現れた案内人たちを見て目を丸くしているだけである。
「あれ? 未知なるモノさん?」
「よぉ案内人。その分だとこっちも片付いたっぽいな」
ちょうどこのステージまでやって来ていた未知なるモノを見つけて駆け寄る案内人。
理由を聞けば、死に戻ってしまったらしく、もう時間はないけど向かえる場所までは向かっておこうか、と一緒に死に戻ったメンツと共にここまで来たそうだ。
「未知なるモノさんたちはやっぱりまだ残ってるんですか?」
「いや、先ほど確認したらエルエさんは格ゲー少女が倒したらしい」
「妖精さんの方はレイレイが倒したらしいわよ。死に戻ったらしいけど」
倒したのに死に戻った? と一瞬疑問に思ったモノの、タツキもハナコさんを倒すために死に戻ったので敵と同時に死亡したのだろう、と納得した案内人だった。
「ってことは、なんとか三つのステージ撃破できたってことですね。さすがに時間も時間なので十九日に次のステージを回すことになりそうですけど」
「ああ。後の残りはルルルルーアさんと稲荷さん、ディーネさん、ティリティさん、そしてコトリさん。戦力的に見ればルルルルーアさんが一人、コトリさんが一人、稲荷さんディーネさんティリティさんの三人で俺たちの足止め、って感じなんだが……」
「さっき格ゲー少女からの連絡で稲荷さんが次のステ……あー、時間切れか」
案内人の足元から光が漏れ始めたのに気付き、彼らはイベント終了時間を悟る。
「じゃ、また明日のイベントで」
「実質最終日になるな、残り三度のイベントで決めきれ、か」
「なるようになるわよ未知なるモノさん。んじゃ、明日に備えて寝てくるわ」
「ああ。じゃあ皆。また明日」
プレイヤーたちがイベントから排出されていく。




