58.巻き込まれ突発イベント
「どうだ? あるか?」
「さすがに1万円は持ってないかなぁ。合計4万円かぁ」
「入手したの売ればそれなりになるだろうけど、4万まで行くかなぁ?」
「とりあえず売ってみようか」
「それもそうね。一先ず売ってどれくらいになるか調べましょ」
「すいません。金作って来るんでしばらくこれ預かっててください」
「え?」
驚く神父さんを放置して、死体達を長椅子に座らせた俺達は教会を一度出る。
この近くにも売店はあるみたいだし売りに行くか。
『あれ、もう用事終わったの?』
「ハナコさん、一度道具売ってお金を溜める事になったんだ。一人生き返すのに1万円いるんだってさ」
「安いんだか高いんだかわかんないけど、1万円で人が生き返るなら安い方よね。今の状況だと凄く無理難題なんだけど」
ホントにね。一部メンバー以外は森で鹿狩る事すら容易じゃないから100円手に入れるだけでも一苦労らしいし。
夜の学校行くようになってようやくお金が溜まりだすって感じだろうか。
それまではまだまだ皆苦労するんだろうなぁ。
「ここでいいだろ。すいません、道具売りたいんですが」
適当に見付けた魚屋のおっちゃんに要らないものを売りつける。
主に宇宙肉とレーザー銃。
レーザー銃とか一つ2000円で売れたので結構嬉しい誤算である。
つまりそれだけ威力も高いってことだな。常用武器に一つ持っておこう。いや、やっぱ二つだな二丁拳銃はロマンなのだ。
とはいえ、皆で数個売れば十分な金額に成ったので、生還については問題なさそうだ。
あとは必要な個数だけ売って資金に変えておけば……
『あれ? ヒロちゃん、肉は置いとくって言ってなかった?』
ははは、魚屋だぞ。お肉置かずに何を置けというのかね?
テケテケさんは理解できない様子だが、ここはこうするのがいいんだよ。
ほら魚屋なのに肉だらけにされてちょっと困惑中だぜ。
何か使ってくれたまえ。宇宙人の肉だけど多分食えるはずだ。
「意外とすぐに溜まったな」
「これで全員生き返せるわね」
かくれんぼイベントの報酬美味過ぎないか? いや、むしろそれだけの難易度だったってことか。
まぁハナコさん達がいなかったら詰んでたし、そもそも悪魔に頼らなかったらUFOの存在すら気付けなかった訳だから難易度はかなり高いのか。
「んじゃ、戻るか」
俺達はすぐさま教会へと踵を返し、不意に、周囲が騒がしくなった事に気付く。
「なぁ、なんか騒がしくない?」
「ああ、言われてみりゃなんか……」
「ウァッ!」
なんだ? グレートマンさんが反応した?
急に何かを探すように落ち付かなくなり、道の先に視線を向ける。
そして、駆けだした。
「ど、どうしたの!?」
「これ、またイベント発生じゃないか!?」
「正義の味方が動くってことは、アレか!?」
アレってなんだ?
疑問に思いながらも走りだした道の先、それらはいた。
「「「「「リーっ!!」」」」」
一般NPCたちに襲いかかり、りーりー言いながらにじり寄る全身黒タイツの生物たち。
その中央に人とは完全にかけ離れた蜘蛛を模した人型生物。
「クハハハハハ、奪え奪え、抵抗するモノは殺してしまえぇい!!」
突発イベント秘密結社の怪人襲撃。
俺達は、面倒なイベントに巻き込まれてしまったらしい。
「ウァッ!!」
「何奴!?」
そして当然のごとく一団に突撃し、巻き込まれた人たちを守る正義の味方が一人。
そう、僕らのヒーローグレートマンさんである。
どうやら正義の味方としてこういう突発イベントには首を突っ込んじゃうようだ。
「正義の味方か!? ええい、戦闘員ども、奴を殺せぇッ」
蜘蛛型怪人の指令に黒タイツたちがりーりー叫びながらグレートマンさんに近づいてくる。
しかし、多少強化された戦闘員程度では彼の敵にはならなかった。
名前:トメ蔵
種族:強化人間(洗脳) クラス:戦闘員
二つ名:秘密結社アルセーヌ戦闘員
Lv:4
HP:42/42
MP:13/13
TP:12/12
GP:5/5
状態:普通
技スキル:
得意武器・無手Lv2: 武器を持たないことで攻撃力が上がります。
格闘Lv2: 格闘系の攻撃スキルを覚えます。
ロケットキックLv2: 加速する飛び込みキックを放つ。
組織忠誠: 洗脳により特定組織幹部の命令に忠実になる。
言語異常: 洗脳の関係で言語が「リー」に統一される。
強化人間: 通常の人間の数倍の能力を手に入れます。
おお、なんかスキルが全部見えた。
早速使った鑑定さんが仕事してくれたようだ。
恐らくだけど、余りにもレベルが隔絶していたがためか相手のスキルが全て見えてしまったらしい。
ふーむ、なんともいえないスキル構成だなぁ。
戦闘員とか怪人に成れなかった強化人間達らしいからちょっと可哀想に思えてくるよ。




