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578.第三回イベント、十六日目正義の味方決戦6

「囲め囲め!」


「アイアンクローに気をつけろ!」


「行ける、バフアリなら十分勝てるぞ!!」


 案内人のツアーガイドで招集された強力なプレイヤーたちに囲まれ、バイアスロンがピンチに陥っていた。

 HPは既に3分の1になっていた。

 プレイヤーたちの動きが素早く、攻撃威力も強くなっている。

 自分の攻撃は潰され、スタンも入りやすくなってしまっている。

 その全てが案内人のバフによるものだ。


 もうすぐ消えるとは思われるが、予定以上のダメージを食らっており、下手すればここで落とされる可能性も見えてきた。

 バイアスロンにもさすがに焦りが見え始める。


「ぬぅうん!」


「ラリアットだ! 受け流せ!」


「ぐあぁ! めっちゃきっつ、受け流すのも一苦労だぞこれ! バフ無しだったらパリィしても直撃されてたぞ」


「パリィって攻撃無効化スキルじゃなかったけ!?」


「パリィ粉砕攻撃だってあんのか?」


 正直な話、パリィというスキルはタイミングさえ合わせれば相手の攻撃を完全無効できるスキルである。極めれば無傷で強敵を撃破することも可能ではあるが、やはり視認外の攻撃には弱い。

 シビアなタイミングを要するバイアスロンのラリアット攻撃をパリィするのも、バフが乗った状態でやっとパリィタイミングが見えるくらいの短い時間だったのだ。


「っしゃクリティカル入った!」


「ぐぬぅっ!?」


「スタン入ったぞ! 畳み掛けろ!!」


「バフが切れる前に削り切れ!!」


 他の正義の味方がフォローに入ろうとするも、プレイヤーたちもここが分水領とばかりに全力全開、彼らの邪魔をする。

 次々にルースさんステージにいたプレイヤーが助っ人としてやって来て、先ほどまでとは逆に正義の味方たちが押され始めていた。


「ぐはぁっ! こ、ここまで、か……」


「悪いなバイアスロンさん。案内人さん決死のバフであんたを倒させて貰う」


「ふっ、是非に及ばず。誇れ若人、お前たちの偉業はこの私が保証しよう、このバイアスロンを攻略した者に栄光あれ!!」


 自分の終わりを悟ったバイアスロン。最後の一撃と放たれた斬撃を胸を張って受け入れる。

 光となり消えゆくバイアスロンに、彼を囲ったプレイヤーたちは、皆敬礼して見送った。


「いやいやいや、あんたたち、バイアスロン倒したんならカルカさん手伝ってよ!? っていうか私も敬礼したい!」


「残念だがマイネさん、これは案内人の意思を継ぎ、彼を倒した俺たちのみに与えられた勲章だ」


「ああ、他の誰にも、邪魔させはしない。バイアスロン、あなたは立派だった。次は肩を並べて戦いたい」


「正義の味方バイアスロンに……最敬礼!」


 バイアスロンから立ち上る光が消え去ってからもしばし、彼らは虚空へ向けて敬礼を送り続けた。


「ふぅ、老骨には堪えるわい」


「っしゃ! 魔法老女撃破!」


「超能力少年隊は撃破出来たわ! 次の獲物は誰かしら!」


 フェノメノンマスク、リテアパトラ7世が次々に強力な正義の味方を撃破する。

 バイアスロンの撃破を皮切りに、次々と倒れ始める正義の味方。

 徐々にプレイヤーの数も増していき、加速度的に討伐されていく。


「カルカジーナ、すまない」


「くっ、さすがに損害が馬鹿にできんな」


 明日迄持つ、と高をくくっていたカルカさんは当てが外れた状況となり、さすがにこのままでは不味いと考え出す。

 早々に動き出したいが、今回はさすがに粘るマイネさんのせいで動くに動けない。


「絶対に、ここで倒す!」


「お前に出来るか? この私を倒すことが!!」


「やってやるわよ!」


 もはや意地だった。

 こいつだけは自分が倒す。

 正義の味方を倒すことなどできなかったマイネさんにとって、悪の首領だった女だけは、自分の手で倒したかったのだ。


「おー、頑張れマイネさん」 


「あー、疲れた。マジ強かった正義の味方」


「あとカルカさんだけかー」


 どれほど戦っていただろうか? 

 いつの間にかカルカさんとマイネさんの周囲にはプレイヤーたちが屯しており、野次馬と化していた。

 グラサンスーツは全て破壊され、助っ人の正義の味方も殲滅済み、残ったのは最後の一人にして秘密結社の元首領、カルカさんのみ。


 余裕が出来たプレイヤーたちだったが、すでに十六日のイベントも終わりが近く、後はマイネさんの奮闘を見守ることにしたらしい。

 最悪、時間内にカルカさんを倒せずとも、次のイベント時に全員で囲ってフルボッコするだけでクリアできるのは確定したので、皆マイネさんの一騎打ちにお任せすることにしたのである。


 カルカさんもそれに気付いて苦虫を噛み潰したような顔をしていたが、マイネと戦っている間はプレイヤーがここに拘束されると気付き、七ツ星之軌跡を封印、出来るだけ長くマイネと踊るような戦いへとシフトし始めたのだった。

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