57.ご遺体どうすればいいですか?
「んじゃー、アイテムボックスに入れまーす」
所有物に成ったおかげか宇宙船がアイテムボックスに仕舞えるようになりました。
これでいいのか宇宙船?
まぁバグだとか言われても宇宙船は返しませんからね!!
「宇宙船アイテムボックスに仕舞ったらなんっつーか広々としたなぁ」
森の一角が空き地に早変わり。
ちょっと小さいが公園みたいなものなのでここで遊ぶことも可能だろう。
さすがに俺は遊びたくは無いなぁ、思い出が酷過ぎるし。
「そういえばこのイベントって他の人受ける事って出来るんだろうか? そのたびにメンバー総入れ替え? それとも折角助けた燦華たちがまた死地に赴くとか?」
「鴪貫太とかがその度復活とかはないだろうから一回きりじゃないの?」
「でもそれだと朱莉と仲良くなった時のかくれんぼイベントが一人のプレイヤーしか体験できない状態になるよな?」
「んー、困った時の説明士輝、かな。後で聞いてみるか」
「何でもかんでも説明してくれるってすげぇよなソイツ。会いたいんだけど、どうしたらいいだろう?」
「小学校侵入するしかないんじゃない?」
未知なるモノさんは一回侵入失敗してるから体育教師と激闘して勝たないともう小学校入れない気がする。
「マジかー。それで、こいつらどーする?」
「さすがにここに埋めるのはマズいだろ。稲荷さんどっかいい場所ない?」
「ご遺体に関しては寺じゃなぁ。確か移動先にあったじゃろ」
「うへー、そこまで遺体持ってくのか」
「ウァッ」
確かに神社の近くにお墓ってイメージはないよなぁ。
ここもさすがに朽ちたままってのはなんか気になるし、ちょっといろいろ考えてみるか。どうせ暇だし。
「ま、時間あるし、寺も覗いてみましょ」
「それもそうか。初めて行く場所だしな」
「ハナコさん、大丈夫そう?」
『んー? 無理そうなら結界前で待っとくわ』
お寺なら大丈夫そうな気がしなくもないけどなぁ。
お経唱えてる隣で妖怪共が踊ってる絵とか良く見るし。
なんなら妖怪が寺に住みついてるし。
「えーっと、ここから行ける寺は……一つだけだな」
「人目に付かないようさっさと行こうか」
「死体を持って移動する集団、さすがにちょっと通報案件なのではないかしら?」
と、いうわけで、俺達は早急にショートカット移動で寺へと向かうことにした。
ここの寺は街中にあるらしく、ショートカットで寺を選んだ瞬間、境内に向う入口まで一気に飛んだ。
後ろには階段があり、町中へと繋がっている。
今、こっちのルートに向うと一般人に死体が目撃されるので少々頂けない状況になる。
『大丈夫そうね。お経の直撃を喰らわなければ消滅はしないみたい』
そもそもここから見えるお墓の方に数体の幽霊見えてるし。
「おや、これはまた珍妙なお客様方だ」
お寺に向って歩いていると、丁度軒先で竹箒を持って落ち葉を集めていた坊主頭のお兄さんが俺達に気付く。
「あの、この四人を弔いたいんですが、こちらに埋めても大丈夫ですか?」
「さすがに墓の管理をしているといっても死体を直接持ってこられても困るのですが、焼却して骨壷にしてから持ってきてくれませんかね。そもそもアイテムロストしていないということはまだ復活の可能性が残されていると思うのですが」
俺達は目をぱちくりとして互いに視線を向ける。
「え? 生き返るのこいつら?」
「教会にお持ちいただければ恐らく。かなりの金額が必要になりますが可能かと。それに肉体のまま放置していますとゾンビ化する可能性もありますし、早めに処分するか生き返すかした方がよろしいかと」
ゾンビ!? めっちゃ不穏なんだけど。
と、とにかく教会だな。
「教会教会……あった」
「資金あるかしら?」
「今回入手したもの売っぱらったら足りないか?」
「とにかく一旦持って行こう」
残念だけど引き取ってもらえないなら教会の方に持って行くしかなさそうだ。
移動場所を選択して教会へと向う。
さすがに教会の開始地点は街中だったので、出て来た瞬間出くわしたプレイヤーたちが遺体を担いだ異形の男を見て戦慄している。
うん、未知なるモノさんが一番目立ってる。
「通報される前に生き返そう。金が足りるといいが」
「とにかく持って行きましょ。入るわよ」
身軽な俺とマイネさんが率先してドアを潜る。
神父さんが一人、祭壇の前で聖書を読んでいるのが見えた。
『うっ、さすがに教会に入るのは無理そう。外で待ってるわね』
神聖過ぎたらしい。ハナコさんが危険を感じたなら幽霊系は中に入るだけで浄化対象なのだろう。天使とかも普通にいるかもしれない。
人に擬態とかするんだろうか?
「ようこそ、迷える子羊たちよ。本日は何の御用か……は聴く必要もなさそうですね」
「悪いがこの四人、ここで生き返ると聞いたんだが、可能か?」
「お一人10000円でお受けしましょう」
意外と安い気がするのは気のせいだろうか?




