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569.第三回イベント、十六日目天使決戦3

 天使撃破で光明が見えたプレイヤーたちだったが、悪魔の出現によりまた戦場の戦力が初期に戻ってしまった。

 キマリスさんの悪魔たちからの崇拝やら信頼は無いようだが、悪魔たちはイベントだということを理解し、ルースさんの指揮の元、天使と協力しながらプレイヤーへと激突し始めたのだ。

 プレイヤーにとって最悪なのは、悪魔たちは一対一で戦う天使たちにも遠慮などせずプレイヤー撃破を第一にしたことだろう。


 天使が苦言を呈しても、俺ら悪魔だし。で終わってしまう。

 今回は共闘、ということもあり、不満はあれども天使たちも悪魔と協力することにしたらしい。

 よほど致命的にこじれれば敵対もあり得るのだろうが、そこはルースさんが必死に采配し始めたことでなんとか均衡をもってプレイヤー撃破に協力しだしたのである。


「キマリスさん、せっかく手伝いに来たんですからのの字書いてないで手伝ってくださいっす」


「えー、だって悪魔どもボクのことどーでもいい扱いしちゃってるしー。せっかく助けに来たのになんか村八分されてるしー」


「そんなことないっすよ、僕は助かったっすよ」


「そ、そぅ?」


 ちょろいなー。ルースさんは呆れながらも顔には出さず、キマリスさんをおだてまくる。

 すると、調子に乗ったキマリスさんは元気よく立ち上がり、プレイヤー向けて突撃を始めるのだった。


「ありゃ、二つ名に扇動家なんてもの入手しちゃったっす」


 キマリスさんがプレイヤーの一団へと走る。

 途中で一気に踏み込み縮地を使い超加速。

 地味に対人戦特化のスキルを持っているキマリスに、いいなぁ、と思うルースさんだが、自分には自分のやるべきことがある、と切り替え、悪魔と天使の折衝に尽力する。


「ルースさんさえ倒せば天使と悪魔の共闘は崩れる!」


「どーやってあそこに近づけと!」


「ぎゃあぁ、ウコバクに燃やされたァ!?」


「悪魔は精神異常系スキル多用してくるの嫌いっ」


「キマリスさん地味に強ぇ!?」


「地味っていうなーっ、解体マジック!」


「ぎゃー!? 俺の胴が真っ二つに!? ちょ、これどうやって戻すの!?」


「ごっめーん、ボク戻し方わかんなーい。んじゃねー」


「え、放置!? 死に戻りさせてぇ!?」


「ぬはははは、解体マジック、解体マジック、も一つおまけに解体マジーック」


 キマリスさんは調子に乗せるとうざい。

 プレイヤーも天使も悪魔も同時に思ったが、天使と悪魔にとっては調子に乗らせておいた方がプレイヤー撃破に貢献するのでひとまず放置することにしたようだ。


「ふはははは。どーよキマリス様はめっちゃ強いのさー。はいよナイフ投げ、無駄に曲射しちゃうよーん。おっとボクに隠密スキルは通用しないぜぇ、解体マジック!」


 まさかの隠蔽能力で隠れていたプレイヤーをつぶさに見つけて真っ二つ。

 両手にナイフを手にしたピエロは、プレイヤーたちと次々に屠っていく。

 解体マジックで倒されたモノたちはその場に打ち捨てられ、死に戻りすらできずに野ざらし状態。

 天使も悪魔も下手に攻撃して死に戻るとゾンビアタックしてくると理解しているので彼らは完全放置になってしまった。


 こうなっては味方に頼んで殺してもらうか、投げ飛ばしてもらって自爆特攻するしか道はない。

 しかし天使と悪魔による攻撃もすさまじく、徐々に真っ二つになったままのプレイヤーが増え始めるのであった。


「キマリス、あーしが相手だッ!」


 ユウが駆け寄る。

 拳を握り一気に迫るが、キマリスは取り合うことなく近くの敵を切り裂き続ける。


「少しは反応しろや!」


 怒りの拳を避けることなく掴んで引き寄せ、自分の肩に乗せたキマリスはそのまま一本背負い。

 まさかの投げ技に反応出来なかったユウは顔面から地面に激突して突き刺さった。


「悪いねー。ボクってば柔術と格闘は得意なのだよ。えっへん」


「ユウがやられた!?」


「天罰覿面!」


 ヒバリがキマリス向けて必殺技を放つ。

 ユウの仇、とばかりに放たれた光の一撃。

 確かにキマリスさんに直撃したはずだった。

 しかし、皆の視界から途切れ、光の中へと消えた次の瞬間、神出鬼没なキマリスはヒバリの背後に出現する。


「なっ!?」


「それが彼の最後のセリフだった……なんちゃって」


 暗殺され、消えゆくヒバリと入れ替わるように現れたキマリスは、さらに周囲のプレイヤーたちを撃破していく。

 ルースさんはその光景を見て自分より強いキマリスに驚きつつも、プレイヤーを一気に減らしてくれるキマリスに感謝する。


「あ、確殺攻撃……」


「あっぶねぇぇぇ!?」


 まさかの一撃を食らいそうになったキマリスさんに、やっぱり危なっかしいなあの人、と呆れた顔になってしまうルースさん。頼り切るのはやめよう、と心に刻むのだった。

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