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566.第三回イベント、十六日目絡繰決戦2

 芽里さんステージは、未だに苦戦するプレイヤーたちであふれていた。

 ゾンビアタックを封じられた彼らはなんとか自分たちを死なせないように戦っているのだが、今までと比べるとかなり撃破速度が落ちている。


 さらに、味方が死ねば、戦力低下に加えて敵性戦力増加と二倍の戦力増強が行われてしまうので、各プレイヤーは死なないよう委縮せざるを得なかった。

 問題はまだある。裏切ってナスさん側についたプレイヤーたちだ。

 彼らは自分から他プレイヤーへと攻撃を行い、死ねばその死体をナスさんに明け渡し、死に戻った傍からプレイヤー妨害に動き出す。


 正直迷惑行為でしかないのだが、どちらの陣営に付くかはプレイヤー次第。運営側としてもここで垢バンするつもりは毛頭ないようで、結果を言えばプレイヤー同士の潰し合いとなっていた。

 悔しいが彼ら裏切ったプレイヤーの思いもわかるので、未知なるモノは彼らのことを強く言えなかった。


「しかし、このままだとじり貧だぞ。別ルートは既にレムさん撃破、エルエさん撤退、スレイさん撃破と一体はヒロキハーレム撃破してんだぞ」


「そうは言うけど、芽里さんを倒すにはニャルさん邪魔だし、ニャルさん倒すにはゾンビが邪魔だし、ゾンビを消し去るにはナスさんが邪魔でしょ。メリーさんもいつの間にか襲い掛かってく……あ」


「はぁい、今貴女の肩にいるの」


「キョウカ!?」


「クソ、キョウカがやられた!」


「逃がすか!」


 ダイスケがとっさに駆け寄るが、メリーさんは瞬転移で逃げ去ってしまう。

 あとには死体となり操られたキョウカゾンビ。


「ガアァァ!!」


「クソが!」


 ダイスケが腕力で押し留め、格ゲー少女が一足飛びに膝蹴り。

 首を吹っ飛ばしてキョウカゾンビを撃破する。


「円陣が崩れた」


「立て直しがキツい」


「一度広場を出るぞ。態勢を立て直す」


「でも行かせなぁい」


「メリーさっ」


「人面犬ーっ!? は、いいか尊い犠牲だったわ」


「アミノサン……」


 メリーさん再度の襲撃により人面犬が死に戻る。

 アミノサンは動き出そうとした人面犬の頭を踏み砕き、逃げるメリーさんにナイフを投げる。

 当たる直前に瞬転移するメリーさんだったが、ナイフも同様に消え去り、遠くで誰かの悲鳴が聞こえた。


「当たったかな?」


「今の当たるのか!?」


「必中スキル付けたから多分当たったと思うんだけど」


 これでメリーさんも迂闊に攻撃しに来ることはできなくなる、といいのだが。

 

「とりあえず、ナスさんも芽里さんもニャルさんも前に出てくるタイプじゃないのだけは救いか」


「後方支援だから迫ってくるのはほぼゾンビだものね。人形もほとんど倒したし」


 キョウカが居なくなったがゾンビ特攻のヒナギがまだ残っているのでそこまで戦力の低下はない。

 しかしゾンビの数は未だに多く、被害者が増えるごとに増えているので終わりすら見えない。


「向こうのチームが潰れた!」


「ミツヅリさんたちもゾンビの群れに隠れて生存してるかわかりませんよ」


「ヨシキたちはどこだよ、あいつらが居れば神聖属性スキル使えるだろ」


「未知なるモノさん、スレの方でヨシキさんたちルースさん攻略に向かったみたい」


「こっちは放置かよ!? ええい、ブレイド、必殺でドバっとできるか?」


「タメがいる。その間無防備だ」


「わかった、俺の後ろに、準備出来たら頼む」


「了解!」


 勇者ブレイドが前衛から一度引っ込み、未知なるモノが二方向分を受け持ち迎撃を始める。


「準備完了です」


「よし、デカいの一発ぶっかませ!」


「リロードブレイブ、我が力の全てを糧に! くら「私、メリーさん、今、貴方の肩にいるの」あ……」


「ブレイド!?」


「そう来ると思ったぜ!」


 勇者ブレイドがメリーさんのハサミで首を割かれる。

 一秒にも満たない間に、タツキの振るった剣がメリーさんを串刺しにした。


「がっ!?」


「スキル燃焼。バーニングソードッ!!」


 タツキの手にした剣が燃え上がる。

 当然、貫かれていたメリーさんもまた炎に包まれた。

 声にならない悲鳴が漏れる。


「悪いなメリーさん、あんたはここで、くたばりな!」


 炎が猛る。小さな人形は逃げ場すらなく燃え盛り、そして……

 内包する残滓の全てを放出した。


「……は?」


 勢いよく噴出する名状しがたき粘体がタツキを包み込む。


「あ。ぎ、があああああああああああああああああああああああああああ!?」


 悲鳴と共に残滓に塗れ、混ざり合う。

 パーティーメンバーに知らされるタツキの死亡と、蠱毒の容器として噴出した虹色の液体が地面に溶けて消えていった。


「いや、最後の最後でえげつねぇよメリーさん……」


 心象具現として場を支配していた電話墓場が消失する。

 未だゾンビに囲まれたままのメンバーだったが、どっと疲れが押し寄せその場に倒れたくなったのだった。

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