表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

565/1138

562.第三回イベント、十六日目絡繰決戦1

 芽里さんステージは他のステージよりも進みは遅かった。

 人形たちもまだ残っているし、芽里さんによるプレイヤー操りは健在。

 これに加えてメリーさんがどこからともなく襲い掛かってきて、芽里さんを狙うとニャルさんが防衛してくる。

 そして追加のナスさんによるリビングデッドの群れである。


「こりゃきっついな」


「あの未知なるモノさん、ヨシキさんたち別のとこ行くって」


「マジかよ!? あいつらの神聖スキルはこっち用だろ!?」


「なんか別の場所で天使が出て来たらしくて、天使との闘いは自分らの専売特許だから、って」


「最悪かよ。ええい、ここにいるメンツで知り合いは?」


「この近くにいるのは勇者ブレイドさんとあそこに槍の人が居ますね確殺攻撃持ちの」


「ミツヅリな。あとマタギの人も来てるな。ただ、さすがにちょっと戦力が少ないか」


「群がられると詰むし、詰んだら敵の仲間入りですからね。死に戻りも極力減らすってことでゾンビアタック部隊がこっちに来なくなってます」


「ヨシキたちがこっちに来るのを待つのが得策か。全員死ぬことなく敵を少しずつ削る。これしかねぇな」


「りんりんさんたちもこっちいないし、もう少しゾンビ特攻持ちが居てくれたら……」


「呼んだ?」


 格ゲー少女と未知なるモノが会話していると、そこにやってくる六人と一匹のチームが合流する。


「おひさっす未知なるモノさん」


「お、今日はこっち来たのかタツキ君」


「ええ、ここが一番苦戦気味って聞きましたんで。それにキョウカとヒナギが神聖スキル持ってるので。特にヒナギは巫女職なのでゾンビへの特攻持ちです」


「いいね、ぜひ手伝ってくれ」


「しかしよぉ、ゾンビや悪魔まで使役するってヒロキのあんちゃんどれだけ戦力増やしてんだろぉな。おいちゃんが出会ってた時期にゃここまで酷い戦力じゃなかったはずだろ?」


 と、声を掛けてきたのは人面犬。おっさん顔の犬はアミノサンに抱えられてご満悦だ。女の子好きのダメ犬である。


「さて、ダイスケ、アパポテト、ヒナギの護衛頼むぞ。キョウカと俺は突撃。アミノサンは補助を頼む」


 リーダーのタツキが指令を出し、パーティーメンバーが動き出す。

 皆が一角を陣取り円陣を組んでゾンビたちに対抗する。

 皆を守るようにタツキ、キョウカ、格ゲー少女、未知なるモノ、勇者ブレイドが円陣組んで迎撃を始め、その中心にいるアミノサンが補助魔法を唱えだす。

 アパポテトが攻撃魔法で応戦を始め、ヒナギが札を投げていく。

 札はひらりと舞うことはなく、一直線にゾンビに飛びつき、爆散。

 ゾンビは一瞬で消失し、周囲にいたゾンビも余波で体の半身を消失させていく。


「浄化の札、結構使える。どんどん行きます!」


「浄化って感じのエフェクトじゃねぇよ、爆散してるだろこれ」


「つべこべ言わない。物量に押されないようにしなさいよタツキ!」


「わかってるさ! っと、ゾンビによって動きも違うのか!?」


「実力者のゾンビは無駄に強いから気をつけろ。生前の動きをトレースしてくるみたいだ」


 タンク役だったゾンビは他のゾンビを守りながら攻撃してきたり、暗殺系ゾンビはこちらが別のゾンビと戦っていると高確率で死角から襲い掛かってくる。

 魔法使いゾンビはその場で魔法を唱えようとして杖を掲げたり。とはいえゾンビなので詠唱も出来ず、リッチなどの死霊ではないので魔法が発動することもない。

 ただ杖を突きだすだけの動作だ。

 弓使いのゾンビも引く力が強いのか、弓の弦をぶちりと引き裂くので脅威にもならない。


「遠距離ゾンビは放置でよさそうだな」


「間抜け行動オンパレードだから映像に残しておいて後で本人に見せてあげよう」


「アパポテト……それ自分がやられると思うわよ」


「はは、そんな馬鹿なことあるわけないだろ。こっちは皆に守られてんだぞ! 誰が防衛の内側に来るって「私が来た、なんつって」あ、やべ……」


 気付いた時にはアパポテトの肩に乗っているメリーさん。

 気付いたアパポテトが反応するより早く、その首を鋏で切り裂く。


「では、ごきげんよう」


 誰かが反撃に移るより早く、瞬転移で逃げ去るメリーさん。

 

「未知なるモノさん!」


「ああ、任せろ!」


 死亡してしまったアパポテトの体をすぐさま掴み上げ、遠くに投げ捨てる未知なるモノ。

 少し時間をおいて、アパポテトゾンビが動き出す。


「クソ、まさか侵入されるとは、(V)o¥o(V)さんは何してたんだ!?」


「あの人はミツヅリさん所で戦ってますよ、こっちには今日は来てません!」


「嘘だろ。ってことはメリーさんの接近に俺たちだけで対処しなけりゃいけないのか!?」


 未知なるモノは冷や汗が流れるのを感じた。

 まだメリーさんの気配を感じる術は持っていない(V)o¥o(V)だけが気配を察知出来ているのだ。

 このままではメリーさんに急所を潰され、内側から瓦解させられるかもしれない。

 あるいはそちらに気を取られた誰かがゾンビにやられ、全滅する可能性だってある。

 今までと違い、死ねない戦いでの高死亡率戦闘は彼らにかつてないストレスを与えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ