55.そのままなのか
神社を通り過ぎて奥の森へ。
UFOを見付けた場所までやってくると、案の定。宇宙船はそのままそこに存在していた。
どうやら見に来た奴もいないらしい。
「これ、ずっとここにあんのか?」
「遺体回収した後にアイテムボックス入らないか試してみようか?」
「あ、それいいわね。回収出来るんだったら別荘に使えるんじゃない? 私秘密基地欲しかったのよねー」
基地は良いけど場所が無いだろ。
とりあえず中に入ろうぜ。回収出来るかは後でな。
「グレートマンさん、一応生き残りがいるかもだから警戒お願いね」
「ウァ!」
再び宇宙船の内部へと入る。
うーん、やっぱり回収は無理かなぁ。
ダンジョンみたいなもんだし、プレイヤー入ってる状態で回収とか出来ちゃったら大問題だしなぁ。
「敵、いねぇな」
「まぁ、全滅させたはずだし」
「居たらここに宇宙船放置しないんじゃない?」
だよなぁ。多分宇宙船動かして本星に報告向うんじゃなかろうか?
前回向わなかった部屋等も一応確認していく。
取り残したアイテムがあれば回収していくのだが、未探索の場所なのに敵はいなかった。
どうやらボス戦の時に余剰戦力もすべて投入されてしまったようだ。
あっけなく辿りついた大広間には、昨日と同じ状態のままの遺体が四つ。
一先ず台の上に寝かされた二人の脈を計るが、やっぱり心臓動いてない。
埋めるのは確定だな。
問題は何処に埋めるかだけど……
「というか、人間は死んでもアイテムにならないのか?」
「そういえば、PKの人が倒した相手はアイテム落とすんだよね?」
「じゃあまだ生きてる? あるいは生き返るイベントがある、とか?」
「それはないじゃろ。儂は知らんぞ?」
俺の意見が稲荷さんに否定されてしまった。
「となると、何かしらのイベントがまだ残ってるってのが一番か」
「他の人から記憶がなくなるのは朱莉ちゃん関連らしいから放置するとして、一番怪しいのは?」
「UFO関連。次に神社関連か?」
といったところか。
実際のところ分からないんだけど、あー、ここに輝がいてくれればいろいろ説明してくれるんだけどなぁ。あいつフレンド登録してチャット出来るようにならないかな?
さすがにNPC相手には無理か? 今度聞いてみよう。
とりあえず回収するか。
未知なるモノさんが二人を担ぎあげ、グレートマンが残りの二人を抱え上げる。
力仕事ありがとうございますっ。
二人が戦闘に参加出来なくなったので必然的に索敵も可能な俺が先頭に。
テケテケさんが傍で守ってくれてるけど、ちょっと恐い。
相手が透明だから余計になぁ。
まぁ観察してただけで看破系覚えたからいいけども。
とりあえず、戻るよりはモニタールーム通った方が速いので、そのまま直進。
敵の遺体は、全部アイテムに成ったからか消えてるなぁ。
血溜まりもないし綺麗なもんだ。宇宙船、欲しくなるなぁ。
「あ、そうだ。グレートマンさんや、このコントロールルームで所有権の譲渡とか出来たりしないかな?」
「うぁ?」
ちゃんと伝わったかは分からないが、一瞬だけ困惑したような声をだしたグレートマンさんが機械をいじり始める。
「ウァッ!」
「え? なに? おお、日本語になってる!?」
どうやら表示言語機能を日本語にしてくれたようだ。
御蔭で表示されたモノが何を指してるのか大体分かるようになった。
一部表示がおかしいのもあるけど、恐らく日本語に対応できてない奴なんだろう。
えーと権威譲渡は……
ノーデンシス星人が最高管理者になってるのか、これを解除するには彼の持つノーデンシス星人宇宙船搭乗許可証を隣にあるスキャナにかざして認証したあと、自分の許可証をかざすと登録し直せるらしい。
俺の許可証なんてないんですが?
まぁいいや、とりあえず指紋認証とかしてみるか、ノーデンシス星人の許可証はあるからこれをかざしておこう。
とりあえずかざして登録を解除。それから指紋認証……お、いけた。
これで俺の専用宇宙船完成、かな?
―― 宇宙船の所有者に成りました! これより宇宙への進出が可能になります ――
え、待って。開始数日だよまだ。地球の未探索地域放り出して宇宙に出るとかさすがにどうなのか。
とりあえずこの宇宙船使って外の世界に出るのは数年後とかになりそうだ。
それまではアイテムボックスの中に仕舞っておこう。
アイテムボックス入るかな?
「うわぁ、マジで宇宙船手に入れてるし!?」
「手に入るんだなぁ、宇宙船」
「とりあえず俺で登録したけど、宇宙船欲しかったりする?」
「まぁ欲しくはあるけど、次見付けた時でいいかな。どうせ乗りたい時は乗せてくれるんでしょ?」
「まぁ。こんだけ広いしねぇ。操縦の仕方とかも調べないとだし。うっわー、いきなり覚える事増えたなぁ」
オートで動かしたら母星に帰りそうだし、一先ずマニュアル操作できるように説明読まないと。




