494.第三回イベント、七日目・蛇々利さん攻略戦
三日目の朝、ゲーム世界では七日目のイベントとなる本日。
未知なるモノは蛇々利さん攻略側に向かうことにした。
ちょっと興味あったものの、ネネコさんとの相撲は確実に負け確定なので、泣く泣く取りやめたのだ。
格ゲー少女からの白い眼に耐えられたなかったともいう。
「レイレイだったっけ、前回の蛇々利さんはどんな感じだった?」
「変わらずあるね。とりあえず交渉で別のゲームにして貰えないか試そうって話になったある。んで、こっちに向かうメンバーは私たちと少数の別プレイヤーたちになるね」
「じゃあまずは闇のゲーム使われる前に交渉か。一番に辿り着かないとだな」
「そういうことある」
ちなみに、同じパーティーであるりんりんやなのは別行動だ。今回は人手の欲しい散紅さん攻略組に合流したのである。
「お、居るな。蛇々利さん、ゲーム開始前に少しいいだろうか?」
未知なるモノが代表して話しかける。
「は、はい、な、なんで、しょう?」
声を掛けてきた相手が怖い、というよりは人と話すことが苦手な様子で、蛇々利は反応する。
「マインスイーパー以外のゲームはないのかな?」
「マインスイーパー以外、ですか?」
「プレイヤーの皆がかなり目が死んできててさ、もう少し攻略可能な闇のゲームにするのは無理かな、と」
「少し待ってください、ヒロキさんに、き、聞いてみます、です」
意外と話せばわかるんだな、と未知なるモノは関心する。
しばし電話していた様子の蛇々利さん。電話を終えると未知なるモノに頷く。
「で、では闇のゲーム、インベーダーを発動しま……?」
トスリ、不思議な感覚を覚え、蛇々利さんは言葉を止める。
自分の胸元から、剣が飛び出していた。
背後から突き入れられたソレに気付いた時には、口から血がこぷりとこぼれる。
「な、蛇々利さん!?」
「は、はは、やった! やったぞ!! これでもうマインスイーパーしなくてすむ。はは、勝利。俺たちの勝利だ、あははははははははっ!! み、見ろよ未知なるモノさん、あ、あんたらが言ってたんだぜ、ゲーム開始前なら一撃で殺せるって!!」
目がヤバいプレイヤーの一人が、会話中の蛇々利さんの背中側へと回り、油断した彼女が闇のゲームを唱えるより早く、暗殺を行ったのである。
凶刃に倒れる蛇々利さんが、未知なるモノたちが驚愕に目を見開く中、光となって消えていく。
「浮気者に、死を!」
「がァ!?」
ただ、消え去る最後の一瞬、胸元からナイフを取り出し投げる。
その一撃は、蛇々利さんを突き刺し殺した男の喉元へと深々と突き刺さった。
背後にいたはずの彼に、奇妙な軌道を描いたナイフが迷いなく刺さったのだ。
蛇々利さんが消え、彼女を殺したプレイヤーもまた、消え去った。
「お、おいおい……」
「た、蛇々利さんステージ、クリア、です」
「いいあるか、え、ほんとうにこれでいいあるか!?」
「蛇々利さんが復活する様子もないし、どうやら完全に死んだっぽい。闇のゲーム発動前はほんと普通の女の子ってことか……」
「すぐに倒せる攻略法だけど……ちょっとやるせない、ね」
「とりあえず皆に連絡しとくある」
レイレイが連絡を行い、格ゲー少女が板に書き込む。
その間に未知なるモノが周囲を調べ、他のプレイヤーたちと情報交換を行っておく。
プレイヤーの一人が後続のためにここに残ってくれるらしいので、彼に頼んで自分たちは先へと進む。
「なにはともあれ、新しいステージね!」
「次は誰が相手でしょうか? ネネコさんが居ましたし、既存メンバー来ちゃいますかね?」
「そうだなぁ、そうなるとメンバー的に弱そうなのから来るんじゃないか。メンバー内の弱さだと、妖精とかか?」
「私はツチノコさんが来ると思います」
「んー、個室ないし、意外とアカズさんとかどうある?」
未知なるモノたちが道なりに進むと、広場へと辿り着く。
そこにはセーラー服の少女が待っていた。
当然、未知なるモノたちからすれば初見の相手である。
「蛇々利さんやられたのね。ゲームは向こうの方が上手いからもっとかかると思ってたけど……」
「あー、その、すまん、別のプレイヤーがゲーム開始前に暗殺しちまった」
「ああ、なるほど。ではこちらも暗殺されないように早めに唱えましょうか。闇のゲーム、発動!」
闇のゲーム所持者がまだいたのか。と驚く未知なるモノたちと、先行プレイヤーたちがゲームに巻き込まれる。
一瞬後、彼らは皆、荒廃したビル群に囲まれた場所にいた。
「荒廃地?」
「あ、未知なるモノさん、また銃が落ちてます!」
「メリッサさんみたいな銃撃戦か?」
「ん? あれは人、あるか? おーい、味方プレイヤーあるかー?」
レイレイが手を振るが、相手はゆっくりと近づいてくるだけで反応はない。
徐々に手を振る速度が下がり、レイレイは青い顔へと変化していく。
「ぞ、ゾンビあるーっ!?」
第一ルート、蛇々利さんが撃破され、シルビアさんによるハザード脱出ゲームが始まった。




