489.第三回イベント、五日目・侵攻停滞
第一ルートに向かっただぬは、その会場に辿り着く。
広場にやって来たとたんにすでに展開されていたデスゲームに巻き込まれていく。
デスゲーム会場では一対複数のマインスイーパー戦が行われていたが、戦っているメンバーの目がすでに死んでいる。
だぬは思わず焦りを覚えた。
これは、選択肢を間違えたかもしれない。
「よぅ、英雄。話は聞いてるぜ」
「お、おぅ、こっちはどうだ?」
「見た通り、ここ数日ずっとマインスイーパーだ。あの猫背の女一度も失敗せずずっとアレやり続けてるんだぜ。ふふ、もはや虚無ってきたとこさ」
やべぇ、精神的に、殺される……
だぬはすでに感情を殺されたプレイヤーたちを見る。
決して敗北することなく、死亡することなく、ただひたすらに地雷を除去する女により、感情だけを奪われていくプレイヤーたち。マインスイーパーを行えば行うほど感情が死んでいくらしい。
どれだけゲームに参加したかは目を見れば一目瞭然だった。
「俺らは爆発しても一回休みで見学するだけ、同時に100人戦えるが、蛇々利さんを倒すには彼女が爆発でミスった時に俺らの誰かがその面をクリアしなけりゃならない。でも、爆発しねぇんだあの女っ!!」
この戦いではまず相手がミスしなければ戦いに勝利できない。
つまり、蛇々利さんがミスしてからが戦いなのだ。
それまでは、虚無でしか、なかった……
第二ルートにやってきたのは未知なるモノと格ゲー少女。
広場に付いたらゲーム場に強制加入され、サバゲ―のような格好になっていた。
手には水鉄砲を一つ持ち、体には的の書かれた服を着こんでいる。
「おー、意外と本格的」
「こりゃ俺のスキル関係なさそうだな」
「あ、でも速度系とか直感スキルは使えるかもですよ」
「ああ。そういや、そうか。なら俺も活躍できそうだ」
「私はレベル低いですけど速度系や感知系多いですからちょっと有利かもですよ。っと!」
二人で話していると、遠くからペイントが飛んでくる。
ぎりぎりで躱した格ゲー少女はサイドステップと同時に反撃を行っていた。
しかし、手にした水鉄砲はぴゅぅーっと数メートル先を濡らしただけで終わった。
「威力弱!?」
「アッハー、強い水鉄砲はそこらへんに落ちてマース。でもざぁんねん。今回のあなたたちは私の獲物デース。銃殺デース!!」
「チッ、この武器だと分が悪いか」
相手の武装を見て思わず舌打ちする未知なるモノ。目の前に現れたメリッサはガトリング砲を肩に背負い、スナイパーライフルにアサルトライフルを装備していた。
ハンドガンタイプの水鉄砲一つではさすがに分が悪すぎた。
さすがに物量に押された二人が死に戻る中、メリッサによる無双状態はさらに続き、数多のプレイヤーを死に戻りへといざなっていくのだった。
第三ルートでも、死に戻るプレイヤーの数は増加していた。
まず片手で頭上にカードを掲げた状態でアスレチックを行うことに無理があるのだ。
それでもプレイヤーたちは諦めなかった。
死ねば死ぬほど散紅によるメスガキムーブがなされるとしても、彼女に一泡吹かせねば、分からせねばならぬと、プレイヤーたちはこぞってアスレチックコースに挑む。
「ほーんと、馬鹿ばっかー。なぁーんで分かんないかなぁ。自分たちが無駄なことしてるんだってさー、ざーこざーこ」
「クソがーっ!!」
憤怒の顔でアスレチックに挑み消えていくプレイヤーを見送りながら、案内人は顎に手をやり考える。
それはふとした疑問だった。
アスレチック脱出インディアンポーカーゲーム。
アスレチックはわかる。インディアンポーカーも亜種ではあるけどわかる。
では、脱出とは?
そこに気付けば、散紅の告げる、無駄なことをしている、という言葉が気になってくるのである。
つまり、インディアンポーカーもアスレチックも、実は関係ないのではないか?
脱出、何を脱出? ゲームなのだから何かしらのヒントが存在するはずだ。
しかし、今日来たばかりの案内人では答えは出せず、時間いっぱいまでただただ唸り続ける案内人だった。
三つのルートが今だ攻略されない五日目。ルートを外れた者たちもまた、敵と対峙していた。
三つのルートの間にある森、ここを行くプレイヤーたちは、アイネさん率いるアベイユ星人部隊と遭遇していた。
全力を尽くすプレイヤーたちと地の利を得て狩りを行うアベイユ星人たちとでは、力が違いすぎた。
かなりの数がいようとも、プレイヤーたちは森の奇襲者相手に、まさになすすべなく討ち取られていたのである。
そして、ルートを迂回して外の森を行くルートを選んだ者たち、りんりん達もまた、ソレに遭遇していた。
「ふふふ。まぁせっかくご招待いただいたのだから……遊びましょうか、プレイヤーの皆様」
外の森、その一角に張り巡らされた糸の群れ。
つぅーっと糸を伝って降りて来たソレが、糸に絡まったりんりん、レイレイ、なのを見下ろす。
アラクネ服飾店からの助っ人たちが、罠を張って待っていたのである。




