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48.神隠し隠連暮(かくれんぼ)・12

 尻尾が振るわれる。

 その威力は瓦礫を粉砕して叩きつけられた壁が爆散するほど。

 しかしテケテケさんはこれを巧みな腕捌きで避け、ハナコさんは素通りさせ、グレートマンや稲荷さんには届かない。


「ケケケケケケ、こいつも、貰うわよっ」


 尻尾の攻撃が振りきった瞬間を狙い、テケテケさんの鎌がクリティカルヒット。

 尻尾が青い血を撒き散らして飛んで行く。

 放物線を描いて壁にびたんと張り付いた尻尾は、床に落ちるとともにぐねんぐねんと激しく暴れ出す。


「うっわ。トカゲのしっぽみたい」


「トカゲみたいなもんだけどなカメレオン」


「ウァッ!!」


「よし、ここまでくれば良かろう、ワシも参戦して来るぞヒロキ!」


「えぇ!? 稲荷さんも!? あー、じゃあ折角だしツチノコさんも参加させてあげて」


「ふむ、奴のようにアレ食ったらなんか凄い蛇ならんかの?」


「シャー!」


 おお、ツチノコさんが猛っておられる。巨大化するのか頭が増えるのか。プラナリアみたいになるんだろうか?


「マイネさん、こっちの警護、俺らだけですけど大丈夫そうですか?」


「とりあえず敵は後あいつだけなんでしょ? だったら問題無いわね。あ、そうだ、攻撃参加しといたほうが経験値貰えるんだっけ? とりゃっ」


 と、マイネさんが近くの瓦礫を拾ってスーパーメレオン星人に投げつける。

 こつんっと当たっただけでダメージは殆どないらしい。でも攻撃したことにはなるだろう。

 俺も参加しよっと。


 瓦礫を拾って投げたら、なぜか朱莉たちも真似し始めた。

 いや、君等は別に攻撃しなくていいんだよ?


『鬼火っ!』


 そして、ハナコさんが放った鬼火、それがスーパーメレオン星人のHPを削り切る一撃となった。いや、違うな。偶然投げた俺の瓦礫が1ポイント残ったスーパーメレオン星人のHPを削りきった。

 いや、そこで幸運発動しちゃうのかよ!?


 一際大きな悲鳴を上げて、スーパーメレオン星人が崩れ落ちた。

 どさりと倒れ、動きを止める。

 目からハイライトが消え去り、モノ言わぬ遺体となったのである。


「た、倒せた……」


「はぁー、なんかすっげぇ戦いだった。俺は殆ど貢献してないけど美味しいとこ貰ってしまった気がする」


 皆が戻ってきて完全に油断した瞬間だった。

 スーパーメレオン星人の身体がびくびくと動く。

 俺達がびくっと警戒を始め、それは内より現れた。


「ふー、堪能堪能。無事倒せたっぽいな……どした?」


 未知なるモノさん内部に居たの忘れてた。


「倒したのはいいけど、リザルトとかが無いのはマイナスポイントよね。イベント終わったのかとか、本当に倒せてるのかとかわかんないし」


「ふむ、せっかくじゃし、タマモにでも伝えておこうかの」


「あ、稲荷さん。それだったらスーパーメレオン星人の中間でさ、消えたり出て来たり繰り返してたでしょ。アレ多分バグだから報告しとこうぜ」


 とりあえずはこれでイベント完了だろう、あとはこの三人を家に送り届けるまで、かな。


「なぁ、そういえば奥の扉ってなんだ?」


「奥の扉? あ、そういえばメレオン星人がわらわら出て来た場所だっけ。一応探索しとく?」


「そうだな、もしかしたらクリア報酬あるかもだし、探索だけしとこうぜ」


 と、言う訳で、俺達は消え始めた死体からアイテムを回収していき、ノーデンシス星人やスーパーメレオン星人からもアイテムを回収しておく。

 とりあえず全部のアイテムを一度俺が回収し、後日三人で分けることになったのである。

 信用問題にもなるので最終的なアイテム総数はしっかりと報告しておかないとな。


 ドアを潜ってさらに奥に向う。

 どうやらこの部屋が最後のようだ。

 変な箱が三つ。あとは、なんか魔法陣ぽいのが設置されてるな。


「ありゃダンジョンとかにある転移陣だな」


「あ、ここってダンジョン扱いなんだ。じゃあアレ使ったら外に出れるわね」


「へー。そんなのあんのか。あ、でもNPCは大丈夫なのか?」


「グレートマンさんとか使えてるから問題無いでしょ。不安なら私達が先に行くからヒロキンさんは最後に残ってNPCの子たちから送ってくれればいいわ。無事に全員来たら連絡するわよ。あ、フレンド登録しとこうか?」


「いいんですか?」


「そういやフレ登録してないっけか。俺も頼む」


 おお、実は初フレンドではなかろうか。

 あ、違う。あの三人が居たな。もう会うことは無いと思ったからか素で忘れてたわ。


「ヒロキンさん、動画楽しみにしてるね」


「なぁ、俺の捕食シーン大丈夫か? 下手に流すと垢バンされね?」


「ヤバそうなところはモザイク入れるか全カットするから問題無いぞ。出演許可もあるから後は編集次第だな。欲しい所端折ったからって苦情は受け付けんぞ。なんなら自分たちの出てる場所だけノーカットで送るからそれで満足してくれ」


「いや、ノーカットはいらんけども」


「私は欲しいかも。後で私とグレートマンさんが出てる場所だけでいいからノーカットください」


 ノーカットと言いつつも編集するからカットありなんだけどな。

 まぁ二人がそこまで気にしてないから普通にこのまま通そう。

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