表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/1102

46.神隠し隠連暮(かくれんぼ)・10

「ええい、まだ終わらんのか! 仕方ない。こうなったらこれを……」


 あ、やっぱりなんかやらかすつもりだ。

 急いで未知なるモノさん、なんか注射器っぽいの取り出したぞ。

 しかもアレ、どう考えても大ボス出現フラグじゃん。


「ところがどっこいさせねぇぜ!」


「がぴょ!?」


 うげ、そうだった。あの人初めて出会った敵は必ず食べるって言ってた!?

 注射器っぽいのは? あ、転がってる。

 ナイスタイミング、ちょっとヤバい映像になってるけどここはできるだけ端折る方向にしよう。動画上げる時にショッキングシーン入ってたらチューブのアカウントがBANされちまうからな。なんとなく想像はできるように効果音入れとくか。どっかからフリー音源貰ってこよっと。


「うわー、見たくなかったわあんなの」


 マイネさんごめんね。視線塞ぐには遠すぎたんだ。

 俺の周りに居る三人の女の子はNPCだから塞ぐ必要ないけどここから下手に動くと彼女たち死にそうだし。


「そうだ。ツチノコさん、あそこに転がってるの取って来てくれないかな?」


「シャァ!?」


 一瞬驚いた様子のツチノコさん。喜び勇んで飛び出した。

 襲いかかるメレオン星人たちの足元を転がり雑踏に消えていく。

 うーむ、やっぱり何か役に立ちたかったようだ。


 でもこのメンバーの中だと一番弱いからなぁ、さすがに死なれると復活できるか不安だし、出来るだけ安全地帯に居て貰いたいんだけど……


「が、かぺ。ま、まら、ひね……ん、ひんで、たま、るかぁッ」


 あの野郎、頭ガッツリいかれてるのに注射器取るほう優先しやがった!?

 ツチノコさん、急いでッ!


「オオオッ」


「シャーッ」


 転がるツチノコさんが飛びかかる。

 ノーデンシス星人の指が注射器に掛かるより速く、ツチノコさんが咥え込む。

 やった、と思ったのもつかの間。ツチノコさんをむんずと掴んだノーデンシス星人が力尽きる直前にと一体のメレオン星人へとツチノコさんごと注射器を投げた。


 マズい、ツチノコさんッ!

 ツチノコさんは必死になんとかしようと体をひねるが、無理だ放物線を描く先はメレオン星人から変わらない。

 いや、投げた!?

 もはや何処に行くかも考えずとりあえず投げ飛ばして難を逃れようとしたらしい。

 注射器は別方向へと飛んで行き、そして……メレオン星人に刺さった。


 って、うぉい!?

 結局別のメレオン星人に刺さるのかよ!?


「ぐぅ、オォォォォォォォぉぉぉ――――ッ!!」


 刺さったメレオン星人が拒絶反応を示す。

 しかし、既に薬液は彼の体内に打ち込まれた後。いくら暴れようとも彼の変化は確定した後である。


「ひゃ、ひゃはははは、ひね、ひねぇ、みなごろひにひてひまぇぇぇッ」


 床に倒れたノーデンシス星人が嗤う。

 そんな彼の目の前で二倍、三倍と大きくなっていくメレオン星人。

 おいおい、まだプレイ二日だぞ、巨大生物戦はさすがに無謀じゃないですかね!?


「ギョアァァァァッ!!」


 変身が完了したらしい。天井すれすれの身体となったソレが雄叫びを上げる。


 名前:ごめす

 種族:スーパーメレオン星人 クラス:巨大生命体

 二つ名:なりそこない

 Lv:32

 HP:6302/7200

 MP:40/830

 TP:172/830

 GP:2/3

 状態:巨大化・狂化

 技スキル:

  得意武器・無手Lv22:武器を持たないことで攻撃力が上がります。

  暗殺Lv22:     相手が気付いてない場合、攻撃が全てクリティカルヒットになる。稀に即死。

  忍びの一撃Lv99:  相手が気付いていない場合、初回攻撃のみ攻撃力が10倍。

  破壊光線:       口から放出されるレーザー属性のダメージ。

  巻き付き:       舌を使って相手を拘束する。

  完全擬態:       温度も含めて周囲に溶け込む擬態能力。


 いや、完全に死にスキルじゃないですか暗殺とか忍びの一撃!?

 この巨体でどうやって隠れるというのか。


「これ、実はボーナスステージ?」


「なわけ無いでしょ!? ヒロキンさん、アレヤバいよレベルだけでも私達の倍あるし、全部の攻撃が滅茶苦茶速くなってる!」


「げぇ!? 舌の鞭ヤバ過ぎじゃねぇか!?」


「ああクソ、これは失態じゃね!? すまん、これミスったかも!」


 確かに、本来なら絶望的なミスだろう。倍のレベルを持つレイドボスとか絶対倒せない。

 たった三人のプレイヤーだ。そもそも戦う前から準備不足で勝ち目は無い。ああ、普通なら倒せない。


「いける? ハナコさん、テケテケさん」


『「当然、任せなさいッ」』


 そう、俺達だけなら、プレイヤーだけなら確実に失敗するイベントだ。

 こうなったらもう逃げるしかないだろう。

 あるいは逃げ切るのがイベント成功に繋がるのかもしれない。


 でも、ここには居るのだ。

 奴のレベルに匹敵するレベルのボスキャラが、二人も!


「未知なるモノさんとグレートマンは引き続き周囲のメレオン星人を撃退してくれっ。マイネさん、こっちに固まって。ツチノコさん戻って! 稲荷さん皆を守れる?」


「任せよ主殿」


 女性陣の前に飛び出した稲荷さんが風の魔法、いや神通力で彼女たちを防御する。

 俺とマイネさんは一応戦えるので風の結界前で近づくメレオン星人撃破である。

 稲荷さんが完全に防衛に入ったから俺達がやらないと誰も近づくメレオン星人倒せなくなるからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ