459.最終調整
イベントが明日へと迫った本日。
テイム済みの仲間を引き連れ、俺は最終調整のレベリングにやって来ていた。
クリフォトの樹周辺でちょうどいいくらいのレベル帯らしいので、俺たちはここでレベル250まで全員のレベルを底上げすることにしたのである。
いやー、闇のゲーム組が一番レベル低かったけどパワーレベリングしたから上がる上がる。
この周辺は闇属性スキル使える奴もいないそうなので、楽しくレベル上げが捗った。
ついでにクリフォトの実がいくつかなってたのでもいでみた。使用する場所があるかはわからないけど、アカズさんとかも呪物だし使用するようになるかもなので取り置きである。
レベルアップ中に運営さんから今回の特殊マップが送られてきたので、目標レベルに到達したメンバーから休息がてらマップの情報を頭に叩き込み始める。
『へー、三つに道が分かれるのね』
「各所にメンバーを配置して各個撃破されていくスタイルみたいだね。しかもこっちのメンバーは撃破されたらこのマップから退去させられることになるらしい。つまり、復活して再参戦は出来ないわけだ」
「それで21日凌ぎ切るとか無理じゃない?」
そうこの世界で21日だ。
さすがにイベント開始時間がこっちの世界で六時間ずつとか決まってるけど、こんな日数耐え切れとかいくら強くても死ぬだろうなぁ。
下手したら最初の10日までに全滅なんてこともありそうだ。
そうならないために初日から作戦使っていろいろやんないとな。
現実世界だと7日分な訳だけど、朝、昼、夜で参加人数とかも変わるだろうし、倒したプレイヤーもデスペナルティーこそあれゾンビアタック可能だからなぁ。
例えば、最初の広間にコトリさん設置したとして、コトリさんが全戦闘持ちこたえられるか、と言えば、無理である。
いくら無敵に近いコトリさんとはいえ、ゾンビアタックしまくってくるプレイヤーが数千万となればHPの減りも早まり、七つの魂すら使い切る可能性が高い。
そしてジョーカーであるコトリさんが早々に脱落してしまうと、さすがに21日は持たなくなるだろう。
やるとしても半分削られるまでだ。それ以降は一度撤退させて耐え切らないといけないだろう。
誰をどこに配置するか。そしてどれだけの時間耐え切るか。
しかも守らないといけないルートは三つ。戦力を三つに割かないと俺の居る最終ゴール地点にすぐさまプレイヤーがやってくるはずだ。
いくら俺たちのレベルが突出してると言ってもプレイヤー全てが敵になって勝ち切れるかと言われると素直には頷けない。
いくつも奥の手を用意して、トラップを用意して、他にもいろいろ準備して、それでも勝率は低いとしか言えないだろう。
とりあえず今までで下準備は終えている。
あとはプレイヤーたちとのガチ勝負。
できるだけレベルを上げて皆が倒される時間を少しでも増やすしかないだろう。
「なんだか最強になった気がシマース! 銃弾打ち放題まだデースか!」
「はぁ、何で私までこんな無謀な挑戦に……」
「しかシヒロキ殿、我らもレベリングして、いいのか?」
「アイネさんの同種族さんたちも参加してもらいますよ。イベント中は死んでも終了後復活できるそうですから、出来るだけのメンバーに声を掛けてますし、皆さん手伝ってください」
「ふん、なぜ我まで貴様の手伝いなどせねばならんのだ」
「あらー、テインは人間相手なのに戦いたくないのかー」
「馬鹿を言うな、相手が人間なら遠慮はせん。手伝う気はないが人間どもを殺すのは率先してやってやる」
「頼りにしてますテインさん」
イベントにはどうにか滑り込む形で仲間を増やせたかな。
とはいえ、これでもまだ不安は残る。
相手より差が開きすぎてもダメだし、俺たちが弱すぎてもイベントは盛り上がらない。
ただのプレイヤーとテイムキャラだけで他のプレイヤー全員など相手に出来る訳がないのだ。
だから知り合いに声をかけまくってなんとか軍団としての体裁は整えることができた。
まぁ知り合いっていってもAIのこの世界にいるキャラたちだけどな。
タヂさんたちも遊び感覚なら手伝ってくれるらしい。
さて、コトリさんたちはレベリングして貰うとして、俺たちは250超えたからイベント配置考えていかないとな。
とりあえず、そうだな。プレイヤーがバラける前に一度急襲しておこうか。
上手く行けばこれで数日稼げるんじゃないか?
となると、やはり開幕一番はコトリさん襲撃しかあるまい。
呪殺結界で広場閉じ込めての蹂躙。
阿鼻叫喚で運営に抗議殺到? 知らねぇな。俺はイベント任されたから全力を尽くしているだけさ。
くっくっく。さぁて最初の脱出迄何日かかるかなぁ?
あ、でも万が一負ける可能性も考慮して、半分死んだら撤退するように伝えておこう。
さすがに無いとは思うけど、いや、プレイヤーの数も多いし万が一はあり得るか。
もしもコトリさんが撤退した場合のフォーメーションも考えておくか。




