457.見ていたぞ
結局、メリーさん人形に関しては放置になった。
一旦UFOの家に帰って皆で復活の儀式をすることになったのだ。
それまでに外の神関連の初級遺物手に入れときたいな。
なんかないだろうか?
メリーさん人形を回収しておき、俺たちは人形師の館を出る。
行きと違って一人増えたけど、ここの人形は数体俺のアイテムボックスに入れただけで他は放置でいいらしい。
なんでも召喚でいつでもどこにでも呼び出せるそうなので。
人形師、すげぇ。
というか、もともとナスさんは死霊使いとか死人操作とかが得意だったんだけど、この地に引きこもってからはもっぱら人形作成や操作に力を入れていたらしい。
おかげで人形師として人に教えられるくらいには極めてしまったそうだ。
これは、おそらくサユキさんの上位互換存在ではあるまいか?
「あ、そうだナスさん、クリフォトの樹ってどこにあるかわかる?」
「クリフォト? 多分ナァマの館で通行所貰わないといけない場所。場所自体はそこのキマリスが知ってる」
「ほほぅ、キマリスさんが?」
「な、なんだねチミはっ!? 知っているとも、教えないんじゃなくこれから教えようと思ってただけだからね。ひとまず人形師の館に専念した方がいいって思ったのさ」
「ま、いいか。んじゃま一旦ナァマさんとこ戻るか」
「さっきの時に渡してくれてればよかったのにねー」
……妖精さん、それには俺、同意できねぇっす。
もしかしたらだけど、ダメージ受けてるかもしれないからな、お怒りのあの方がひでぇ契約結んでくるかもしれん。
「え、なに、私なんかヤバいこと言った?」
「あー、これ、もしかしたら少年君たちに貢献してないからって理由で煉獄相当のダメージ受けてるかもっ、やっべ、ざまぁ」
「あー、だそうですよナァマさん」
「ひぃっ!? って、ナァマいないじゃん少年君っ、驚かさな……あの、その蝙蝠君は?」
「多分ナァマさんの使い魔かなぁ、ずっと近く飛んでたよ?」
「ふおぉぉぉぉぉぉぉ!?」
衝撃的過ぎたらしく謎の雄叫び上げてタップダンスをし始めるキマリスさん、情緒が不安定過ぎるかな?
「あとはコトリのイベントだけでいいのよね?」
言われて俺はイベント内容を確認する。うん、残りは二つだな。コトリさんと芽里さんの……芽里さんのイベント内容変わってるな。
「芽里さんイベントもあるけど、これは一度家に帰ってからになるだろうね。特殊イベントの内容もメリーさんの強化をしように変わってるし」
「そっか。まぁナス師匠にいろいろ教われるし、帰ってから強化しても十分間に合うでしょ」
「そうなるだろうな。明日は皆連れて最終調整しよう。この魔界でレベリングだ」
「ってことは平均200レベルにするの?」
「ん、それならボクの領地いく? あ、でも闇属性多いし強すぎるからコトリさん以外は死んじゃうかな?」
素でそんなことを言われて俺たちは目をぱちくりとする。
コトリさん以外死ぬって、俺らすでに200レベル入ってるぞ。
これで死ぬなら400以上のレベル帯になるんだけど……
「は? えーっと、キマリスさんの領地? どのくらいのレベル帯なので?」
「だいたい450前後かなぁ。ボクが500だし」
え、めっちゃ強くね? こんな成りなのに?
「なんだよぅ、そんなに見つめても照れるだけだぞ少年君。やだもう、見ないでぇ」
こんなお調子者で雑魚そうな見た目なのに……?
両手で頬隠してくねっくねし始めるキマリス。
容姿は黄色とピンクのピエロ服なのに。
「で、ででででも、キマリスの領地行くなら、ほら、いくつか関所通らないと、だから、えっと、クリフォトの方が近いし、魔物弱いし、レベルアップ最適です、ます、はい」
ナスさんの言葉ではっと我に返る。
そうだった、今はキマリスさんの領地に行くんじゃなくレベリングに最適な場所探しだ。
クリフォトの樹が近くてレベルアップに最適ならそっちに行く方がよさそうだな。
「じゃあ行こうか」
まずはナァマさんに通行証貰いに向かう。
館に入り、ナァマさんの執務室へとやってくると、ものすごい不機嫌そうな顔のナァマさんが待っていた。
顔を見た瞬間、俺はキマリスさんの手を引っ張り、前に押し出すと背中を押してさらに押し出す。そして扉を閉めた。
「はっ!? ちょ、少年君!? 待って、待ってぇ、これ贄、ボク生贄にされてない!? ねぇ、生贄にされてな「きぃまぁりぃすぅぅぅ」は、はあぁ!? ま、待ってナァマ、話せば、話せばわかるよ、ねぇ言葉はわかり合うためにあるんだよ、話し合おう、話せばわかるっ話せばぁっあ、あぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ―――――――――――――っ!?」
俺は扉に向かい、十字を切った。
成仏しろよ、マイフレンド。




