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456.メリーさんの進化先

「メリーさんが自立行動……」


 人形師から進化について説明された芽里さんは若干の困惑を見せながらも進化先について必死に考える。


「基本的な能力を伸ばすなら素材の強化。呪物化するなら呪詛、神格化するなら信仰物、機械を組み込む機械化、他にも進化先はある、か」


「呪詛ならミツハさんとオカミさんの呪詛玉あるけど?」


「初期だからあまり強い呪物を使うと爆散するよ」


 マジすか。

 ってことは帯に短し襷に長し、この呪物の使い道がないじゃないか。

 メリーさん爆散とかになったら芽里さんに殺されてしまう。まぁ今もすでに爆散したような状況だけども。

 となると、軽めの呪物とか信仰物使えばいいのか。

 なんか持ってたかな?


「えっと、俺アイテムこんな感じで持ってるんすけど、どれか使えそうなのあります?」


「随分ため込んでるね……」


 と、近づいてきた人形師さんがアイテムボックスの中身を覗いてくる。

 ん? この人、胸がある。女性なのか!?


「ん? なに?」


「いや、女性なんだなぁ、と」


 ばっと俺から飛びのき胸を隠す人形師。

 そんな警戒しなくとも。


「女性ならなんでもいいのかヒロキー」


「違うよ妖精さん。俺は別に女性だからどうこうしたいとかじゃなくて、人形師さんの性別不明だったから胸があるし女性なのかな、と思って聞いてみただけなんだって」


「へー、まぁそういうことにしとくけどー」


「だからさぁ、胸があるから女性ってのは先入観なんだってば。ボクは男性でも女性でもあるんだよ、ふふん。だから少年君の考え方は間違って「胸があるなら女性だ、良し通れ」なんでさっ!?」


「ふふ……」


 おっと、俺たちのやり取りで肩を震わせたのは人形師さん。

 どうやら警戒を解いてくれたらしい。


「もしよければ自己紹介とかして貰えたり、します?」


「構わないけれど、わ、私はその、醜いし……」


「あー、その辺りヒロキは問題にしないわよ、雌なら何でもいい人だから」


「さすがに俺だって選ぶ権利はあると思うんだ」


 ぱさり、意を決したようにフードを取り去る人形師さん。

 隠されていた顔が露わになる。

 頭にハエの被り物でもしているような複眼が取り付けられ、青いパーマミディの髪が美少女にくっついていた。

 うん、美少女だ。普通に血色悪いだけの美少女ですわ。


 ハエの被り物というか複眼が額上部にあるから、ベルゼブブとかだろうか?

 しかしベルゼブブは館の主ってだけで人形を操るとかは関係なかったはず。


「ナス、といいますです、はい」


「ナスさんか。改めて、ヒロキといいます。よろしく」


 と、手を差し出すと、キョトンとしたナスさん、すぐにはっと気づいて手を握り握手する。


「あ、あああ、あの、いいのですか? ほ、ほら、ハエ女とかあまり好かれる存在じゃないですし」


「いや、俺からすると可愛いですよ、ナスさんは」


「そ、そそそ、そう、ですか。か、可愛い……そんなこと言われたの、生まれて初めて……」


 ―― ナスさんをテイム可能になりました、コマしますか? ――


 まって、何でそんな意味不明なメッセージがここででてくるの!?

 とりあえずYESで。

 

 ―― ナスさんをテイムしました ――


「やっちゃったよオイ。ヒロキがまた女の子増やしたぁ」


「妖精さん、可哀想に、さぁボクの胸でお泣きー」


「うわーん、と見せかけてドロップキィーック!!」


「ごふぁっ」


 妖精さんとキマリスさんは何遊んでんのかな?


「え、ええと、その、よろしく?」


「ああ。なんかテイムしちゃいましたけど、よかったですか?」


「は、はい、私などでよければ」


 照れるナスさん。なんだこれ。初恋かっ。


「あ、そうだ、えっとですね。使える素材でしたよね」


 そういえばそんなことしてたな。

 

「えっとですね。腐った肉を使えばゾンビ人形ができます。黒い闇と小さな呪いで呪物化、ヌルヌルジェルと消化液でドロドロ人形、似髻虫を使えば地獄人形、鬼蜘蛛を使えば絡繰り人形、毛羽毛現の毛を使えば呪いの市松人形、人魂を使えば自立型メリーさん、機械人形も作れますね、あとメタル人形も可能です。生きてる鎧の素材を使えばリビングドールもできますね。あとは……玉虫色のナニカを使えば、あ、いや、これは強すぎるかな、もう一ランク下の外の神素材ないですかね?」


「玉虫色のナニカ……それもありかしら?」


 コトリさんがなんか思案顔になった。


「あ、これ使えますね、天使の羽、これなら神聖系人形にも進化できますよ」


「んー、おすすめはある?」


 芽里さんの言葉にナスさんが考える。


「えっと、これだけあるなら、全部混ぜとか、やってみます?」


「え、大丈夫なの!?」


「ちょっと芽里さんにも仕事して貰うけど、多分できる、かな? 可能なら外の神と神系存在、悪魔系存在の力を借りたいところです、はい」


 外の神と神様と悪魔。

 悪魔はキマリスさんでいいとして、外の神……ニャルさんとテインさんがいるな。

 神様は……


「神様って神仏系でもいいの?」


「神聖属性なら、あ、でもそこにいる天使じゃだめ、です。神としての格がないと」


 なら稲荷さんでも可能そうだ。無理ならタヂさんにお願いしよう。

 それも無理ならミツハさんとかオカミさん、いや、神となるならブリギッドさん方でもいいのか?

 こうして考えるといろんな存在と知り合いだなぁ俺。


「あと呪物代表として、そこの黒髪の人もいた方がいいかな」


「芽里さんのためなら喜んで。あ、旦那様、代わりと言ってはなんですが、ミツハさんとオカミさんの呪詛玉と、玉虫色のナニカ、貰ってもよろしいですか?」


「こんなのでよければ、どうぞ」

 

 早速渡してみる、が、コトリさんは受け取るだけ受け取ってクラスアップはしなかった。

 やっぱりまだ何か足りないのか。

 多分クリフォトの実が手に入らなかったとき用に持ってるんだろうなぁ。

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[一言] 破壊と殺戮の中庸神格を持った呪殺人形メリーさんと芽里さんになるか!?
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